農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 145 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/27 14:18   >>

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 死なせたくない。今度こそ。
 そう――――強く、願う。
「シュバルツさん。私たち、貴方たちを助けに来たんです」
「今度こそ、皆を助けたい――――そう願っています」
 ハヤブサの心を代弁するように、甲斐姫と孫尚香が口を開く。
「シュバルツ……」
「……………」
 ハヤブサからも懸命に見つめられ、さすがにシュバルツも、遂に決意したように顔を上げた。

「分かった……。皆を至急集めよう」

 シュバルツの言葉に、3人ともがその面に安堵の色を浮かべる。とりあえず、第一関門突破だった。シュバルツはすたすたと歩き出すと、付き人として待機していた村人に声をかけていた。

「済まないが、長老と組頭以上の者を、集会所に集めてくれ。私から緊急の話があるからと」

「分かりました。妖魔たちの方はどうします?」
「そちらにも声をかけてやってくれ。大事な話だから――――」
「分かりました」
 話を聞いた村人が、固い表情で走り出していく。
「何か……空気が違うわね。もしかしたら、うまくいくかしら」
「そうね……。皆が、早く脱出を決意してくれれば――――」
 そう話す女性たちの横で、ハヤブサも頷いていた。
 危機意識が高い村人たちの裏に、太公望の影がチラチラと見え隠れする。
「状況はお膳立てしておいてやった。だから、後はお前たちが掴み取れ」
 そう言って不遜に笑うあの白髪の青年の顔が、浮かんでくるようだ。
(やってやろうではないか……! 必ず皆を、そしてシュバルツを、救って見せる――――!)
 ハヤブサはそう決意しながら、空の果てを睨み据えているのだった。


 シュバルツの呼び掛けに応じて、村人たちと妖魔たちは、すぐに集会所に集まってきた。
 もう何度も何度も皆でこうして集まっているのだろう。少し慣れたような感じが、集会所の皆から伝わってきていた。
「おっと、すみません」
 少し遅れてはいって来た妖魔が、入り口近くに居た甲斐姫の肩にぶつかる。
「あ、いえ……」
 振り向いた甲斐姫は、妖魔の姿を見て軽く驚いた。何故なら、その妖魔の額には鉢巻の様な布が巻かれ、皆そこに大きな鳥の羽を挿していたからである。
「あの、すみません」
 思わず甲斐姫は、その妖魔を呼びとめていた。
「ん? 何だ?」
 振り返った妖魔に、甲斐姫は鳥の羽を指しながら聞いてみた。
「あの……それは?」
「ああ、この額のヤツか?」
 問われた妖魔は額の羽根を触りながら屈託なく笑う。
「これはまあ、『友好の証』って奴だな! 『俺たちは人間を襲いません』って言う、まあ、印みたいなものだ」
「村の奴らは、そんな印わざわざつけなくても、と、言ってくれたんだが――――」
 甲斐姫たちの会話に、別の妖魔が入ってくる。
「近頃、妖魔も人間も、戦に巻き込まれたりして物騒だろう? 万が一この村が、他の妖魔に襲われたりして戦場にならないとも限らねぇ」
「そん時に、皆が俺達をちゃんと区別できるようにってな! これをしておけば、お前たちも俺たちも――――混乱しなくて済むだろう?」
「ええ! ええ、確かに――――!」
 甲斐姫は思わずこくこくと頷いていた。敵と味方の妖魔の区別がつかなくなる心配が、これでかなり解消される事になる。この配慮は、本当にありがたかった。
「すごいわ! 誰の提案なの?」
 問う甲斐姫に、その妖魔は少し決まりの悪そうな笑みを見せる。
「いやこれは、俺たちの発案じゃなくて……」
「ちょっと前に、俺たちの村を訪ねて来てくれたお武家さんたちの提案なんだよ。えらい老け顔の奴と、鈴の音がうるさい奴だったけどな」
 その話を横で聞いていた孫尚香が、横で思わずブホッと吹き出していた。
「ど、どうしたの? 尚香……」
「い、いえ、ごめんなさい……。その人たちって、『呂蒙』と『甘寧』って名前じゃなかった?」
「ああ、1人はそんな名前だったかな? でももう一人は――――」
「あいつの名前『おっさん』じゃなかったのか!?」
 その言葉を聞いた瞬間、孫尚香の腹筋は崩壊してしまっていた。
「どうしたの? 尚香、大丈夫?」
 気遣ってくる友人に「何でもない」と返して、必死に笑いを収めようとするのだが、一度緩んでしまった腹筋は、どうにも戻りそうになかった。
「あの〜。そろそろ話を始めるが……大丈夫だか?」
 村人にそう声をかけられるまで、集会所には彼女の明るい笑い声が響いていたのだった。


「今日集まってもらったのは他でもない。百々目鬼軍に大きな動きがあった。それを皆に報告しようと思う」
 シュバルツの言葉に、村人たちが固唾をのんで注目する。重苦しい空気の中、シュバルツは言葉を続けた。
「百々目鬼軍の次の攻撃目標が、どうもこの村らしい。ハヤブサたちはその動きを掴んで、私に知らせに来てくれたんだ」
「――――! そうだったんですか……」
 村人たちの注目が、一斉にハヤブサたちに集まる。それに3人はそれぞれが軽く頭を下げて答えた。
「何時、相手は襲撃を仕掛けてくるか……までは、分かりますか?」
 村人からの質問に、シュバルツはしばし間を置いてから答えた。

「ハヤブサからの情報によると―――――今夜だ」

「今夜!?」
「それはまた、急な………」
 シュバルツの言葉に、村人たちがざわめき立つ。動揺する空気を押さえるように、シュバルツが声を上げた。
「皆、聞いてくれ! 前々から話していた通り、この村では敵を迎え撃つ事は出来ない。皆で避難する事を提案する」
「しかし……! 避難と言っても……!」
「何とか――――この村に留まる事は、出来ない物ですかいのう……?」
 老人の言葉に、シュバルツは首を振った。
「前にも話したと思うが、この村は見晴らしの良い平坦な場所にある。敵の侵入を防ぐ術もなければ、皆の安全を確保できる場所も無い。ここで敵を迎え撃つには、不利過ぎるんだ」
「そ、そんな………!」
「やはり……村を捨てて、逃げるしかないのか――――?」
 村人たちの空気が、重苦しくなっていくのが分かる。そんな中、村長が口を開いた。
「避難するのは仕方がないとして……避難先はどうする? 我々を受け入れてくれるような所は、あるのか?」

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