農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 133 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/11/11 23:59   >>

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「かぐやよ。一つ確認したいのだが――――ここに居るハヤブサとシュバルツの間には、過去の接点が出来ている。と、言う事は、ハヤブサの縁を使って、先程の戦に戻ることは可能だな?」
「はい。左様にございます」
 太公望の確認に、かぐやは頷いた。
「ケイタ様の縁をたどり、ハヤブサ様が過去に行かれた事によって、ハヤブサ様とシュバルツ様の間には、新たな縁が産まれてございます。ですから、ここにいるハヤブサ様の縁を使って、先の戦の場に戻ることは可能にございます」
 かぐやの説明に、太公望は「うん」と頷く。それから彼は関羽たちの方に振り返り、おもむろに口を開いた。

「そなた達の報告のおかげで、先の戦の状況が手に取る様に分かった。そして――――お前たちの戦に『何』が足りなかったのか、もな」
「…………?」
 太公望が言わんとしている事が咄嗟に分からず、皆が怪訝な顔をする。それに太公望は「フフフ」と、笑みを浮かべると、パシン、と、打神鞭を手の内で鳴らしてから、言葉を続けた。

「……状況のお膳立てをしてやる」

「お膳立て?」
 きょとんとする甲斐姫に、太公望はにやりと笑う。
「どうせなら、『全員』を助けないか?」
「え………?」
「村人が全員逃げられるように……あの青年を悲劇から助けられるように――――」
 話しながらつかつかと歩く白髪の青年は今、完全に『策謀家』の顔をしていた。

 面白い。
 これは『運命の女神』からの挑戦状だ。
 あの戦場が生贄として、村人の、そしてシュバルツとか言う者の『血』を何が何でも欲していると言うのなら――――

 覆してやる。
 この私の智謀で。

「この私が、状況を整えてやると言っているのだ。全知全能たるこの私がな」
「―――――!」
 酷く不遜で、傲岸な物言い。しかし、それだけの事を言っても許されるほどの知略を、この太公望は兼ね備えていた。その彼が今――――本領を発揮しようとしているのだ。
「要は、あの日に至るまでの時間軸の中で、村人たちが最良の判断を取れる様に、そして、素戔鳴軍を迎え撃つ事が出来る様に――――状況を転がしてやればよいのであろう? 何、ちょっとしたパズルを組み上げる様なものだ。まあ、人の子たちの努力が相応に必要にはなってくるが――――」
 そう言いながら太公望は、関羽たちの方にちらり、と視線を走らせる。すると、その視線を受けた関羽たちや、その周りの武将たちも――――目つきが変わった。太公望の挑戦的な物言いを、受けて立とうと言う眼差しだった。
 その意気やよし、と見て取った太公望が、もう一度パシン、と、手の内の打神鞭を鳴らす。
「よし――――! では、使える『縁』は全部使う!! かぐやよ! 存分に働いてもらうぞ!!」
「は、はい!」
「では、半兵衛! 左近! ついて来い!! 生き残った村人たちと妖魔たちの話を聞きに行くぞ!! 片っぱしから、一人残らずだ!!」
「うえ!? マジですか!?」
「はいはい、分かりましたよ」
 名指しされた竹中半兵衛は悲鳴を上げ、島左近は苦笑しながらその腰を上げる。そのほかにも何人か「私も手伝います」と、自主的について行く武将たちが居た。
「そして、龍の忍者!」
「――――?」
 陣屋を出て行く直前の太公望に呼びかけられ、ハヤブサは振り向く。すると、太公望の方もゆっくりと振り向いて、打神鞭をピシッと、ハヤブサの方に向けてきた。
「最終的にはお前の『縁』を使う。だから、それまでに絶対に傷を治しておけ」
「言われずとも」
 太公望の言葉にハヤブサは即答する。それを見届けた太公望は、フッとその面に笑みを浮かべると、すぐに踵を返した。
「では行くぞ!! ぐずぐずするな!!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! ねぇそこの君、生き残った村の人たちっていったいどれぐらいいるの?」
 半兵衛の問いかけに、近くに居た兵が慌てて答える。
「あ、はい。きちんと把握している訳ではないのですが、100人弱ぐらいは、少なくとも……」
「100人!?」
「妖魔たちの数も合わせると、もっと増えると思います」
「う〜ん……思ったよりは少ない、かな?」
 そう言って苦笑する島左近に、半兵衛は顔をひきつらせながら答える。
「でも、どの程度まで詳しく話を聞けばいいのかも検討がつかないし……。うわ〜! 意外に難作業かもしれないなぁ」
「……まあ、手分けして聞き取りましょう。皆でやれば、早く済む筈です」
 そう言って励ましてくる真田幸村に、島左近も一つ、大きく息を吐く。

「……後は、使える『縁』がどれぐらいあるか、ですな。沢山あればいいんですが――――」

 左近の言葉に、皆一様に頷いた。

「……どうしたんだ? あの坊やは」
 太公望が陣屋から出て行った後、女媧が伏犠に声をかけてきた。
「いつも冷静なあの坊やが――――何だか、怒っているようにも見えるが」
 女媧の言葉に伏犠は、はははは、と、軽く笑ってから答えを返した。
「……怒っておるのだろう。あの坊やは基本、人の子の方に肩入れをする。今回あれだけたくさん人の子たちに目の前で泣かれて、黙っていられなくなったのだろう」
 伏犠のその言葉に、女媧もなるほどな、と、苦笑を返す。
「まあ、どっちにしろ、久々に本気を出した坊やを見られると言う訳だ。楽しみになってきたのう!」
 そう言ってカラカラと笑う伏犠の横で、女媧は少し考え込んでいた。
「それにしても、二度も助けられなかったあの青年が少し気になるな……。変な『運命の悪意』に絡まれてなければいいが……」
「運命の悪意? 何じゃそれは?」
「たまにあるんだ。何をやっても、どうやっても救えない『命』と言うのが……」
「…………!」
 小さく驚く伏犠に、女媧も苦い顔を見せる。
「もし、あの青年がその『運命の悪意』に魅入られていたら厄介だ。何度そこでその時間軸をやり直しても、どうやっても死んでしまう可能性がある。そうなってしまうと、我々も運命の階段(スパイラル)に取り込まれて――――」
「……同じ時間軸を、何十年、何百年と繰り返してしまう可能性があるのか?」
 伏犠の質問に、女媧はそうだと頷いた。伏犠はしばらく考え込むように顎に手を当てて沈黙していたが、やがて、ぱっと明るい笑顔をその面に浮かべて顔を上げた。
「……それは笑えん話じゃが……しかし、大丈夫だろう」
「――――! 何で、そう思うんだ?」
 問い返す女媧に、伏犠はあっけらかんと答える。
「ここに居る連中は、皆、そう言う『死』の運命を覆して来た者ばかりじゃ。今だって見てみろ。あの妖蛇に対抗する事など不可能と思われていた人の子たちが、それを可能にしつつあるじゃろう?」
「それはそうかもしれないが――――」
 伏犠のこの言葉には、女媧も反論する言葉を失う。確かにそうなのだ。一度妖蛇の攻勢によって、滅びの淵まで追いこまれていた人の子たち。それが今や、妖蛇に対抗する兵力は膨れ上がり、それを攻略する糸口まで掴み取ろうとしている。最初2、3人の武将しかいなかった討伐軍の状態を考えると、それこそ、信じられない快挙だと言える。
「だから、今回もきっと大丈夫じゃ! それにあの坊やも手を貸すんだ。人の子たちの底力を信じようぞ!」
 そう言ってカラカラと笑う伏犠の横で、女媧は小さくため息を吐いていた。
「……全く、楽観的でいいなお前は……。少し、羨ましいぐらいだ」
「そうか? お主こそ、あまり悲観的にはならぬ方がいいぞ? でないと――――」
「でないと――――何が言いたい?」

「…………!」

 女媧がじろりと睨んでくるので、伏犠は慌ててその口を塞いだ。女性に対してかなり失礼な物言いをしようとしていた事に気付いたからだった。
「何でもないが…………聞きたいか?」
「聞きたくない!!」
 つっけんどんに答えを返してくる女媧に、伏犠はまたからからと笑った。

「まあ、まずは坊やのお手並みを拝見といった所かのう。我々にも出番があると良いがな」
「……………」
 伏犠のその言葉には、女媧は答えを返さなかった。ただ――――今度こそ、ハヤブサの願いが叶えばいい。女媧はいつしか、祈る様にそう思っていた。

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