農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 159 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/17 14:43   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

「では、行こう! 劉備殿の城へ――――!」
 こうして、村人たちと妖魔たちは、城へ向かって移動を開始した。始まったのだ。今度こそ、皆が生き延びる道を掴み取る、戦いが。


 難民となってしまった村人たちと妖魔たち。だがその道行きは、大きな混乱も無く、整然としたものであった。甲斐姫が先頭に立って一団を先導し、村人たちの周りを武装した妖魔たちが守り、ハヤブサが殿を務めている。シュバルツはその一団の中間から後方の辺りで、何かあったらすぐに何処へでも対応できる場所に位置していた。
 天気も良く、陽もまだ高い。このまま何事も無ければ、無事に劉備の城にたどり着けそうであった。
(やはり、馬が居るのはいいな)
 集団の最後尾から皆を眺めながら、ハヤブサは思う。歩くのが困難な者や荷物を載せたり引いたりしながら、馬達は進んでいる。やはり、それがあると無いとでは、進むスピードが断然違ったものになっていた。
 集団の中からは雑談が聞こえ、時折、笑い声すら聞こえてくる。状況が状況で無ければ、まるで皆でハイキングにでも来ているような様相だった。
(前の時間軸では、襲撃されたのは夜だ。今回も、そうであるのならばいいが……)
 平和な道行きながらも、龍の忍者は油断なく、辺りに『気』を張り巡らせていた。それ故に―――――龍の忍者はその気配を捉えた。
「―――――!?」
 何かの鋭い視線を感じて、ハヤブサは振り返る。それと同時に茂みの中から何かが走り去る音がした。ざっと、ハヤブサがその茂みに飛び入ると、前方に猛スピードで走り去っていく妖魔の姿が視界に飛び込んでくる。
「…………!」
 ハヤブサは無言で小弓を構え、矢を放とうとする。だがそれよりも早く、その妖魔は姿をくらましてしまっていた。
(――――チッ!)
 ハヤブサが小さく舌打ちをしていると、彼の動きについて来ていた妖魔に声をかけられた。
「ハヤブサさん? どうしたんですかい?」
「済まないが、シュバルツに知らせて来てくれないか?」
 ハヤブサは、走り去った妖魔の方を見やりながら言葉を続ける。

「『斥候』が居た。襲撃があるかもしれないと」

「…………! わ、分かりました! すぐ、知らせてきます!」
 ハヤブサの言葉を聞いた妖魔が、慌てて踵を返して走って行く。
(やはり……! このまますんなりとはいかないか。あの斥候、仕留められればベストだったのだろうが……)
 ハヤブサは見失った妖魔の方を見やりながら、ギリ、と、歯を食いしばっていた。


「百々目鬼様!! 報告いたします!!」
 妖魔と人間の村を襲撃するべく、準備をしていた百々目鬼の元に、放っていた斥候が帰ってくる。
「何だ?」
「今から襲撃に行く所の妖魔と人間の奴らが、村より脱出しているようです!」
「何ぃ!?」
 全く意想外の報告に、百々目鬼は思わず瞠目してしまう。
「どう言うことだ……?」
「我らの襲撃が、奴らにばれたのか?」
 周りの妖魔たちからも、どよめきの声が上がる。村人たちが寝静まったところを、夜襲するつもりで準備を進めていた。戦う事もろくに知らない、素人同然の集団。踏みつぶすように蹂躙できると信じて疑っていなかった。それがまさか、先手を打たれて逃げ出される事になるとは。

「我らの中に、『内通者』でもいるんじゃないのか?」

 誰かの放ったこの一言に、その場に居る者たちの間に流れる空気が、一気にとげとげしい物へと変わる。
「な、何を言うんだ!!」
「そう言う事を言い出すお前が、一番怪しいんじゃないのか!?」
「何だとォ!?」
「人間なんぞに迎合する輩が、我らの中にもいると言う事か!?」
 まさに一触即発の不穏な空気が漂い始めた時、百々目鬼が口を開いた。

「奴ら、『仙桃』を持ちだしているのか?」

「いえ、そこまでは」
 斥候に当たっていた妖魔が首を振る。
「ただ、それなりに荷物は持ち出して避難していたようですから、もしかしたら、仙桃も持ち出しておるやもしれません」
「そうか………」
 斥候のその言葉に、百々目鬼はしばらく考え込むように顎を手に当てていたが、やがて、瞳をぎょろり、と妖しく光らせながら、皆の方に振り返った。

「………今から討って出るか」

「百々目鬼様!」
 言い争いを止めて、皆が一斉に百々目鬼に注目する。
「元々あの村の妖魔の奴らも、そして村人も――――戦いにおいては素人同然。わざわざ夜襲なぞかけなくとも良いと思っておった。踏みつぶすように蹂躙できるだろう」
「では――――?」
 気色立つ妖魔たちに、百々目鬼は頷く。
「だいたい、人間なんぞと共存しようなどと言う主張を聴くだけでも虫唾が走ると言うのに、仙桃まで手に入れておる。あんな奴らには過ぎた代物だ。我らが手に入れた方が、余程有効に使えると言うものだ」
 百々目鬼のその言葉に妖魔たちは頷き、「そうだ、そうだ!」と、迎合の声を上げる。それに百々目鬼は目を細めながら満足そうに頷くと、さらに言葉を続けた。
「奴らがこちらの襲撃を予測して逃げだしたと言っても、所詮老人、女子供が居る集団。そんなに足も速くない筈だ。奴らの持ち出した食料品や家財も、総て奪い尽くしてやるとするか」
 オオッ! と、妖魔たちから声が上がる。軍の皆が血に飢え、意気も高いと見て取った百々目鬼は、号令を下す事にした。

「よしっ!! 出陣だ!! 人間どもから分捕った者は、皆我が物にして構わぬぞ!!」

 その言葉に百々目鬼軍の者たちは、歓喜の声を上げたのだった。


「―――――!」
 かぐやの光陣に入り、彼女に導かれるままに目を閉じた関羽が次に目を開けた時、望む時間軸の城の中に居ると悟った。ただ、目の前に居る人物に驚いて、思わず声を上げてしまった。

「兄者!?」

 前の時間軸ではいなかった筈の、劉備の姿がそこに在ったからだ。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

されど、龍は手を伸ばす。 159 ――無双OROCHI異聞録――― 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる