農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 162 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/21 17:38   >>

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「分かりました」
 劉備にこうも強く言われてしまっては、孔明としてもこれ以上反対する事は出来ない。彼も頷いた。
「では関羽。尚香殿と共に行ってくれるか?」
「はっ!」
「兄者! 俺も行っても良いか!? 何だか面白そうだ!!」
 張飛の言葉に玄徳は苦笑する。
「張飛が行くのなら趙雲も一緒に連れて行け。張飛……くれぐれも、暴れすぎるなよ」
「分かってるって!」
「では、行って参ります」
 関羽に続いて張飛、趙雲も櫓の上から駆け降りて行く。皆が出て行ってから、玄徳は孔明の方に振り返った。
「……済まなかったな、孔明。だが私は、例え裏切られたとしても、助けを求めてくる尚香殿を突き放すような真似は――――」
「大丈夫ですよ、わが君。尚香殿に続いて関羽殿もあのような反応を見せた、と言うことは、本当に助けを求めている者が居るのでしょう」
 そう言ってから、孔明は少し苦笑気味の笑顔を見せる。
「ただ……私の役目は『疑うこと』です。ですから、こうして苦言を呈する事もありますが――――」
「ああ。分かっている……。いつも済まぬな。ありがとう」
「いえ………」
 孔明は改めて、玄徳に向かって一礼をする。
「それでは、関平と共に炊き出しの準備をしてまいります」
「ああ。頼む」
 その言葉を受けて、孔明も関平と共に玄徳の前から退室した。
 ただ孔明は、玄徳の前から退去した後、関平にひそかに耳打ちする事を忘れてはいなかった。

「関平……炊き出しの用意をするとはまた別の部隊を、秘かに城内に潜ませておいてください」

「――――!?」
 ギョッと驚く関平に対して、孔明は静かに言葉を続けた。
「これは、念のための措置です」
「念のため……ですか?」
 聞き返す関平に、孔明は頷いた。
「ほぼ心配ないとは思いますが、万が一、あの尚香殿が偽物で、城内の民やわが君が危険に曝されないとも限りませんから――――」
 孔明のこの言葉に、関平は生唾を飲み込む。
「わ、分かりました……。城内の民たちには気取られぬように、秘かに兵を配置しておきます」
「頼みます」
 関平は律儀に孔明に対して一礼をすると、踵を返して足早に走り去って行った。一人残った孔明は、一つ大きく息を吐く。

「さて、私は炊き出しの準備をしましょうか」

 彼はそう独りごちると、今度は炊き出しをする場所、材料の調達、鍋の数などを頭の中で計算し始めていった。


 村人たちと妖魔隊の集団が移動する速度は、次第に早くなっていた。
「襲撃があるかもしれない」と言うハヤブサからの情報が、彼らの足を速めさせていた。
「落ち着いて! 大丈夫だ! 必ず皆を守るから――――!」
 ともすればパニックに陥りそうな村人たちを、シュバルツが呼びかけて支える。その声に呼応するかのように、人も妖魔も、互いを支え合って走り続けた。その集団の最後尾を守っていたハヤブサであったが、ついに百々目鬼軍の上げる砂埃が、彼の視界に飛び込んできた。

「先に行け!! 早く!!」

 ハヤブサは足を止めて、皆に先に進むよう促す。殿の役目を果たすべく、龍剣の柄に手をかけて、構えた。
「我々も戦います!!」
 そんなハヤブサに、武装した妖魔の一団が声をかけてくる。
「いや、お前たちは――――」
 妖魔たちの戦いの能力がどれほどのものか測りかねたハヤブサは、彼らの申し出を遠慮しようとした。しかし、そんな彼に声をかける者が居た。

「この者たちの実力は、なかなかのものだぞ。私が保証する」

「シュバルツ!」
 驚くハヤブサの眼前で、愛おしいヒトがにこりと微笑む。
「ついに来たようだな」
 そう言いながら彼もまた、百々目鬼軍の上げる砂埃を見据える。
「我々は、いつでもいけますぜ!!」
「あいつら……! もう許せねぇ! 八つ裂きにしてやる――――!」
「まあ待て。落ちつけ」
 彼の周りに集まって、いきり立つ妖魔たちを宥めてから、シュバルツはハヤブサに声をかけた。
「この者たちは、私と共に妖魔の村で戦ってくれた者たちなんだ。戦い方も、熱心に学んでくれて――――」
「我々も、自分の村を守る必要があったからな」
「シュバルツ殿の修行は、本当にきつかった……。だがおかげで、こちらもだいぶ鍛えられた」
 妖魔たちのそんな話を聞きながら、ハヤブサは、シュバルツがかつて弟に修業をつけて、一人前のファイターになる手助けをしていた事を思い出す。ハヤブサはこの話を、シュバルツとキョウジの弟であるドモンから直接聞いていた。
 そうだった。元々こいつは、こんな風に世話焼きな奴だった。
(……て、言うか、農作業の手伝いに子供たちの世話、妖魔の村のトラブルの対処に加えて、彼らに修業をつけていただと? こいつ本当に、寝る時間あったのか!?)
 ハヤブサは思わず、愛おしいヒトの顔をまじまじと見つめてしまう。
「どうした?」
「い、いや、別に………」
 シュバルツに問われてハヤブサは視線を逸らした。しかし、知らず深いため息を吐いてしまう。
(これだけいろいろと『出来る奴』なのに……こいつの自己評価は恐ろしく低いんだよなぁ。一体どう言うことなんだ……)
 もっと自分が有能であることを自覚しても、別に罰など当たらないと思うが――――
 そんな事を考えてしまうハヤブサの目の前で、妖魔たちがシュバルツに声をかけていた。
「シュバルツ殿……まさか、この期に及んでも『殺しては駄目だ』などと、言わないよな?」
 シュバルツは妖魔のその言葉に、目を閉じてしばらく沈黙していたが、やがて、ため息と共に顔を上げた。
「やむを得ないな……。もう、話し合いなどと言っている場合ではない」
 向こうは完全に、こちらを蹂躙するつもりで来ている。そんな相手に、もう手心を加える余地はなかった。

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