農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 166 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/27 23:44   >>

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「前の時間軸の戦いが終わってからも、私はずっと考えてた……。どうすればよかったんだろう、何がいけなかったんだろうって」
「…………」
「私が一度に守れるのは、どう足掻いたってせいぜい一人か二人。その間に貴方はたくさんの人を守っていた……。現に、私も何度も守られた……。そして、貴方に多くの傷を負わせてしまった……」
 そして自分は、傷だらけのまま再び戦場に舞い戻ろうとするシュバルツを、止める事さえできなかった。あまりにも未熟だった自分。ただ、苦い後悔だけが残された。
「だから、ずっと考えていたの。もしも、また同じ戦場に、私が戻る事が出来たら――――」
 彼女の腕の中の、金拵えの刃がきらりと光る。

「皆を守る貴方を、私が守る!!」

「―――――!」
 驚き、息を飲むシュバルツを、甲斐姫はまっすぐ見つめる――――と言うよりは、睨み据えていた。もしも、ここに彼女の友人である孫尚香が居たならば、「目つきに気をつければ良いのに」と、必ず言った事だろう。
「その方が、効率よく皆を守れると言う、事実に気が付いた!!」
「……………!」
 呆然としてしまうシュバルツに、甲斐姫は更にたたみかけて来た。
「私が守れるのは1人か2人。その間に貴方は、10人も20人も守る。だから、私が守る人間を貴方に絞れば………私もたくさんの人を守れる。どう? 理屈はあっているでしょう?」
「そ……それはそうかも、しれないが……」
 この甲斐姫の、ある意味めちゃくちゃな理屈に、どう言葉を返していいのか分からなくて戸惑うシュバルツに、彼女の金拵えの刃がビシッ! と、向けられた。
「だから私はこの戦場で、皆を守る貴方に追いついて――――絶対に、守ってみせる!!」
 甲斐姫の眼差しに、挑戦的な光が宿る。

「絶対に……負けないんだからね!?」

 彼女の向けられる真っ直ぐなその視線は、決して逸らされることはない。
 守る――――と言うよりも、まるで戦いを挑まれているかのような甲斐姫の様子に―――――シュバルツの中の『何か』が疼いた。
 そう。
 挑まれたら修業をつけたくなってしまうと言う、彼の中の『何か』が。

「フッ、面白い!」

 シュバルツの方の瞳にも、俄然挑戦的な光が宿る。

「ならば、君がどれだけ私の動きについて来られるか、試させてもらおうか! 行くぞ!!」

 そう叫んだシュバルツの姿が、甲斐姫の前からフッと消える。
「上等……! 行くわよ!!」
 甲斐姫もそこから、猛然とダッシュを開始した。


 村人たちは、ただ茫然としていた。
 いや、村人たちだけではない。共に逃げていた妖魔たちも。そして、百々目鬼軍の妖魔たちすらも。

「どうした! どうした! どうしたああああああ――――ッ!!」

 先程から、やけにテンションの高い風が走り回っている。その後ろから「負けるもんかああああっ!!」と、甲斐姫が突進するように走っていた。

「な、何だべ? 今のは……」
「今の……まさか、シュバルツ、さん?」
「ま、まさか――――」

 茫然と呟く村人たちの横を、また風が「ははははは!」と、高笑いをしながらすり抜けて行く。村人たちの中には、しばらくそれに目を奪われて、走るのを止めてしまう者も出てくる始末だ。
「何をしている!? 走れ!!」
 そう言う者たちは、戻ってきたシュバルツに喝を入れられて、また、慌てて走り始めていた。

「こんちくしょオオオッ!!」
 甲斐姫は歯を食いしばりながら走り回っていた。
 覚悟をしていたとはいえ、シュバルツの動きはとにかく早い。想像していたよりもずっと――――下手をすれば、見失いそうになってしまう。
「どうした!? 足が止まっているぞ!!」
 そのたびに向こうから声をかけられるものだから、甲斐姫の闘争心に、ますます油が注がれてしまう。
「おのれ!! 絶対負けない!!」
「そらそら!! まだまだスピードを上げるそ!!」
「クッ……! こっちだってッ!!」
 戦場を走り抜け、敵を倒し、味方を助け続けるシュバルツに、食らいつく様について行く。
 それでも時折シュバルツから、こちらを気遣われたり守られたりするから――――ますます甲斐姫は意地になってしまう。
(負けるもんか……! 絶対に――――!)
 ふとシュバルツが、転んでしまった老婆を助ける。
「!!」
 甲斐姫はここだ、と、ばかりに踏み込んだ。
「ひゃははは!! 馬鹿め!! 隙だらけだ!!」
 案の定、そんなシュバルツに斬りかかって行こうとする百々目鬼軍の妖魔が居たから――――

 ガキッ!!

 甲斐姫の金拵えが、その妖魔を過たずに仕留めた。
 どうだ! と、言わんばかりに鼻息荒く振り返る甲斐姫に、シュバルツはフッと柔らかい笑みを見せて応える。
「まだ行くぞ!! ついてこれるか!?」
「当然でしょ!! 舐めるんじゃないわよ!!」
「上等だ!!」
 そう言うや否や、また、猛ダッシュを始めるシュバルツ。甲斐姫も、負けずにそれについて行く。

「絶対に、負けるもんかああああっ!!」

 甲斐姫の元気すぎる叫び声が、戦場に響き渡って行った。

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