農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 149 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/02 20:02   >>

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「シュバルツ……!」
「どうして……! 結局私は何もできずに――――!」
 そう言って泣きじゃくる、愛おしいヒト。
「…………!」
 ハヤブサは慰める言葉を失ってしまって、ただ、抱きしめることしか出来なくなってしまった。

 本当に、どうしてやればよかったと言うのだろう。
 この村は今夜、間違いなく襲撃を受け、滅ぶ運命にある。このままここに留まり続ければ、全滅する事は避けられないのだ。
 それでも皆を救おうと願うのであれば、こちらが「逃げろ!」と、言ったタイミングで、村人たちが迅速に動く必要がある。動いてもらうには、村人たちの間に、相当の高い危機意識を植え付けなければならない。
 しかしそれは同時に、村の平安を願うシュバルツの気苦労を増やし、苦しめる事に他ならなかった。平和に過ごし、明日も同じように朝日が昇ると村人が信じたままでは、誰も救えないのだから。
 それは何とも皮肉な話だった。村が平和なままであれば――――シュバルツはここで、穏やかな日々を過ごす事が出来たであろうに。

「シュバルツ………」

 ハヤブサはせめて、想いを込めてシュバルツの身体を抱きしめた。

「大丈夫だ、シュバルツ……。俺はたとえどうなろうとも、絶対に――――お前の味方だから……」
 そう。
 それだけは伝える。
 それだけは、自分の中では絶対的に揺らがない物だから――――
「ハヤブサ……」
 腕の中で、涙をぽろぽろと零し続ける愛おしいヒト。
「済まない……!」
 また、謝られる。
 このヒトはいつもそうだ。
 謝る必要なんて何もないのに。
 お前は、やっと気持ちを零せたんだろう?
 やっと、涙を流せたんだろう?

 ならば、存分に泣いてくれ。
 心を零してくれ。
 俺は受け止め続けるから――――

「謝るな……」

 シュバルツを抱きしめながらハヤブサは今、確かにこれ以上ないと言う程の幸せを感じていた。

「………………」
 忍者二人がそうしているのを、外から女性二人もこっそりと見ていた。
「うっ……く……! ひぐっ……!」
 甲斐姫がその光景を見ながら、涙をぼろぼろと零している。
「甲斐……ちょっと泣きすぎよ………」
 あまりにも嗚咽を漏らす友人をたしなめるように、孫尚香が声をかける。それに対して、甲斐姫も反撃に出た。
「しょうがないじゃない! 私こういうの本当に弱くて……!」
「それならそれで、もうちょっと声を殺しなさいって。中の二人に気づかれたらどうするの?」
「もう! 尚香だって、泣いているくせに……!」
「そ、それは……! でもあなたほど泣いてませんから!」
「ぐ……! 言ったわね……!」
 悔しそうな顔を見せる甲斐姫に、孫尚香はにやりと笑いかける。
「ほらほら、悔しかったら、早く泣きやみなさいよ?」
「うるさい! 言われなくったって――――!」

「あの〜、すみません」

 いきなり不意打ちの様に声をかけられ、女性二人がビクッと小さく飛びあがった。恐る恐る振り返ると、村人が1人、立っていた。
「な、何?」
 顔をひきつらせながら何とか笑顔を作る甲斐姫たちに向かって、村人はきょとん、としながらも用件を切り出した。
「シュバルツさんは居るだか? ちょっと確認したい事が……」
「えっ!? シュバルツさん!?」
 女性二人は慌ててしまった。シュバルツはまだハヤブサの腕の中で泣き続けている。出来ればもう少し――――そっとしてあげたいところだったからだ。
「ちょ、ちょっと待って! 居るには居るんだけど……その……!」
「立て込んでいると言うか……出なおした方が良い様な気が――――」
 そう言って女性二人は、シュバルツとハヤブサの姿を村人から何とか隠そうとする。しかし哀しいかな――――集会所の建物自体に扉が無く、窓も、あけすけの状態だった。女性二人の努力空しく、結局村人は、ハヤブサに凭れかかって泣きじゃくるシュバルツの姿を見てしまう。

「……………!」

 村人はしばし息を飲んでそのまま固まってしまう。
「あ、あの〜……大丈……夫、ですか?」
「こ、これは、その……つまり………」
 孫尚香と甲斐姫は、固まった村人の様子に心配して声をかけた。だが村人はそれには答えず、茫然と踵を返した。

「シュバルツさん……!」

 そう言いながらとぼとぼと歩いて行く足取りが、とても重く、暗い。まるで今から、通夜か葬式にでも行くような雰囲気だ。それを見送った女性二人は、おろおろするより道が無く。
「尚香……どうしよう……!」
「ど、どうしようと、言われても――――!」
 そうやってうろたえている所に、また別の村人がやってくる。

「あの……シュバルツさんは……」

「あ……! ちょっと待って……!」
「今は……その……!」
 女性陣二人は必死に中の忍者二人を村人から隠そうとするのだが、やはりその努力は徒労に終わり、中の様子を見た村人が衝撃を受けて、やはり足取り重くそこから立ち去って行く。そう言う事が、何回か繰り返された。孫尚香も甲斐姫も、最初は必死に村人たちに対処しようとしていたが、しまいの方は二人の間にもあきらめムードすら漂っていた。村人たちは皆一様に――――とぼとぼと足取り重く、そこから去っていく。
「尚香……ど、どうすればいいのかな……」
「さ、さあ……も、もう、なるようにしか……ナラナインジャナイカナ……」
 甲斐姫の問いかけに、孫尚香も苦笑いするしか無かった。

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