農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 155 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2014/12/10 22:34   >>

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「でも、シュバルツさんはあの時、何もしゃべってはいないんでしょう?」
「そうらしいな」
 ハヤブサの言葉にケイタも「そうなんだ……」と口の中で呟きながら、尚も首を捻っていた。
「どうした?」
「あ……えと、その……」
 ハヤブサに問い返されて、ケイタはしどろもどろになってしまう。ケイタはハヤブサとシュバルツの声がとても似ている事に気づいてしまった。だけど、それをハヤブサに告げていい物かどうか、迷っていた。
 ハヤブサも、ケイタがこちらをちらちら見ながら口ごもっている理由を何となく察してしまう。小さなため息をつきながら答えた。
「……残念ながら、俺もあの場では口を開いていない。言っただろう。俺もあの声を聞いたと。よくシュバルツと俺の声は似ていると人には言われるが――――」
「すみません! 僕も、貴方に最初声をかけられた時、てっきりシュバルツさんに声をかけられたのだと思って――――!」
 だから、とても驚いてしまってすみません、と、ケイタが必死に謝ってくる。それに対してハヤブサは、多少苦笑しながら首を振った。
「別に謝られる事ではない。気にするな」
「でも……シュバルツさんでも、ハヤブサさんでもないとなると、あの声は一体……? やっぱり、神様だったのかな……?」
「さあな………」
 ケイタの問いかけに答えながら、ハヤブサは空を見上げていた。
 自分とシュバルツとよく似た声の持ち主を、自分はあと1人、知ってはいるが――――。
(まさかな………)
 何処までも抜けるような青い空に、もう、桃の花は舞ってはいなかった。ただ、ハヤブサの頬を撫でるその風は、何処までも優しかった。


 村の西の出入り口の所に、人も妖魔もどんどん集まってくる。
「よし! 皆、各組ごとに点呼を取っておいてくれ! 馬が要る者も言ってくれよ! 手配してあるからな!」
 シュバルツがそう指示を出しながら、皆の間を縫うように歩いている。そこに、ハヤブサが追いついて来た。
「馬があるのか?」
 ハヤブサは少し驚いていた。前の時間軸の中では、馬など――――数えるほどしか村にはいなかった筈だからだ。
「ああ。数日前だが『馬商人』と、ここの村から行商に出ていた者が知り合いになって――――」
「馬商人?」
 何となく太公望の匂いを感じ取りながらもハヤブサは問い返した。
「ものすごく格安で、良い馬を沢山買わせてくれたんだ。この辺りも不穏になって来ていたし、馬は必要だと感じていたから、こちらとしてはものすごく助かったのだが……」
「そうだな……。わしらも気の毒だからもう少し値を上げてくれても良いと言ったのだが――――」
 二人の会話に、村人が1人入ってくる。どうやら、彼がその行商に出ていた本人の様だった。
「そんなに安かったのか?」
 問うハヤブサにシュバルツがため息をつきながら話す。
「だって馬50頭を桃10個と交換してくれたんだぞ!? そんな無茶苦茶な話があるか!?」
「―――――!」
 あんぐりと口を開けるハヤブサに、シュバルツの力説はなおも続く。
「しかも! 渡された馬に問題でもあるのかと思ったら! 皆健康体だし毛艶も良いし、よく走るし――――!」
「何か、西涼の方で育った馬だとか言っていたなぁ? その馬商人は……」
 村人のその言葉に、思わずハヤブサは問いかけてしまう。
「そ、その馬商人って、大きな筆を持っていなかったか?」
「よく分かっただな!?」
 村人のその言葉に、彼はひっくり返りそうになってしまった。
「五郎さん、もう一人商人さんが居たべ? 何か変わった武器を持っておったが……」
「あれは『撃剣』と言う武器だ。紐に繋がった剣を操って戦うんだ」
「はあ〜……さすがシュバルツさん」
「……………!」
 感心する村人たちの横で、ハヤブサは痛む頭を必死に押さえていた。
(馬商人と言うのは、馬岱殿に徐庶殿だな……! それにしても太公望め……! 本当にあからさまな介入を――――!)
「おまけにその商人、『これから必要になるだろうから』って、火薬まで分けてくれたんだ……! ハヤブサ、どう思う?」
「……良いんじゃないのか? 人の好意は素直に受けておけば」
 ひきつるハヤブサの顔に気づいているのかいないのか、シュバルツはため息をつきながら尚も零している。
「さすがにそれだけもらってこちらが桃10個では気の毒だったのでなぁ。一応商人達を引き留めて、何とかこちらが備蓄している米と野菜をせめて渡そうとしたんだが――――」
「『そんな大量に持って帰れないから』とかなんとか言われて、断られちまったんだよなぁ。あの人たち、あれで商売成り立つんじゃろうか?」
「そんな事言いながら五郎さん、無理やり持たせてたじゃないか」
「そりゃあそうじゃろう。あれだけ親切にしてくれた人、手ぶらで返しちゃったら罰が当たるべ」

「あの〜、ちょっと良いですか?」

 皆がそうやって話し込んでいる所に、声をかけてくる者が居た。振り返ると、そこに孫尚香が立っていた。
「どうした?」
 問いかけるハヤブサに、孫尚香は真剣な眼差しを向けてくる。
「シュバルツさん……。馬があるのなら、何頭かお借り出来ないでしょうか?」
「それは構わないが……何をするつもりなんだ?」

「少し早いかもしれないけれど、劉備様の城に援軍を頼みに行きたいの」

「えっ?」
 少し驚くシュバルツに対して、ハヤブサは全く動じずに声をかける。
「もう、行くのか?」
 ハヤブサの言葉に孫尚香は力強く頷いた。
「甲斐と話し合って決めたの。これだけの大人数が移動するんですもの。助けの手は絶対に多い方がいいと思うの」
「それはそうかもしれないが――――」
 孫尚香の言葉に、しかしシュバルツは異を唱える。
「我々と劉備殿の間には、接点がない。君の気持ちはありがたいが、劉備殿にあまり迷惑をかける訳には――――」
「……そうだな。孫尚香、行ってくれるか?」

「ハヤブサ!?」

 驚くシュバルツに振り返ると、ハヤブサは言葉を続けた。
「確かに、彼女たちの言うとおりだ。これだけの人数が動くんだ。全員を守り切るには、援軍は絶対に必要だ」

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