農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 181 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/01/19 23:07   >>

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「おのれ!! 逃げるな!! 待てい!!」

 忍者二人を追いかけながら、素戔鳴は雷撃を放ち続ける。そしてその背後からも、矢が飛んでくる。ハヤブサは時折振り返りながら矢を叩き落とし、シュバルツはその背後でひょい、ひょい、と、矢を避けていた。相変わらず彼は、抜刀すらしていない。
「シュバルツ!!」
 矢と叩き落としながらハヤブサが叫ぶ。
「ん? どうした? ハヤブサ」
「どうしたじゃない!!」
 もの凄く危機的状況の筈なのに、ひょうひょうとしているシュバルツに、ハヤブサは思わず叫んでしまう。
「お前!! 今がどう言う状況か、分かっているのか!? 少しでも攻撃が当たれば」
「死ぬんだろう? よく分かっているよ」
「――――!」
 ハヤブサの言葉が終わる前ににこやかに返事をしてきたシュバルツ。その笑顔に、何故か異様な物を感じてハヤブサは言葉を失ってしまった。そこにたたみかけるように――――シュバルツがいきなりハヤブサに向かって距離を詰めてくる。
「シュ、シュバルツ?」
「……………」
 ハヤブサの呼び掛けにもすぐには応えず、笑顔のままひょいひょいと矢を避け続けているシュバルツ。しかしその笑顔か何故か怖くて、ハヤブサは思わずシュバルツに問いかけてしまう。
「ど、どうした? お前……様子が変だぞ?」
「そうか?」
 しれっと返されて、息をのんでしまうハヤブサ。だがそれで、却って確信した。シュバルツは、やはり――――
「お、おまえもしかして……怒ってる?」
 恐る恐る問いかけるハヤブサに、シュバルツは『にこり』と笑って答えた。

「ああ、怒っているよ」

「―――――!」
 あっさり認めたシュバルツに、ハヤブサは思わず息を呑んでしまう。そんなハヤブサに対してシュバルツは恐ろしい程爽やかに微笑みかけて来た。

「……私も随分見くびられたものだな、ハヤブサ」

 その穏やかな声音と笑みに、ハヤブサは背筋に寒気が走るのを感じた。
 何故だ。
 後ろで雷撃を飛ばしながら怒鳴りまくっている素戔鳴よりも
 今――――目の前で微笑んでいるシュバルツの方が、はるかに恐ろしく感じる。

「私とて、一応武人の端くれだ。自分の身一つぐらい、何とでも守れる」

 そう言いながらシュバルツは、素戔鳴と仙界兵の攻撃を避け続けている。忍者二人は近距離で会話をしながら避ける動作をし続けているが故に、その動きは完全にシンクロしていた。

「それなのにお前ときたら、私が戦いに出たらすぐに死ぬようなことを言う……。つまり私の力量は、お前の信用を得るには足りていない、と、言うことでいいのか?」

「ご………!」
 誤解だ―――――! と、ハヤブサは叫びたかったが、喉に声が引っ掛かってしまって、うまく言葉を発する事が出来なかった。今ハヤブサは、完全に目の前のシュバルツに気圧されてしまっていた。

「心配するな! ハヤブサ! ろくに戦うことも出来ない私は防御に専念するさ! お前の戦いの邪魔をするようなことはしない!」

 そう言って爽やかに微笑むシュバルツが、完全に笑っていない目をこちらに向けてくる。彼から殺気が漂っているように感じられるのも、最早気のせいではないだろう。龍の忍者は悟らざるを得なかった。自分は今――――最も怒らせてはいけないヒトを、怒らせてしまったのだと。

「それに、いざとなったら――――」

 シュバルツの眼光が一瞬鋭く光ったかと思うと、いきなりハヤブサの身体を鷲掴む。
「へっ?」
 間抜けな声を上げた龍の忍者の身体に、トスッ! と、一本の矢が刺さった。
「お前の身体を盾にしてでも私は逃げるから、大丈夫だ!」
「痛い!!」
 叫びながら矢を抜くハヤブサの口に、またもガボッ! と、仙桃が押し込まれた。シャクシャクとそれを食べるハヤブサの身体の傷が、見る見るうちに治って行く。
「良かった……。また、治ったな!」
 それを見て、にこやかに笑うシュバルツ。

「おのれまたしても!! それは吾の仙桃だと言うに――――!!」

 背後の素戔鳴から、また無数の雷撃が放たれる。だが、完全に頭に血が上っているせいか、こちらに肉薄してくる雷撃は、それほど多くはなかった。狙いが定まっていないのだろう。

「……シュバルツ……! ちょ……!」
「仙桃はまだまだあるぞ? ハヤブサ! だから安心して――――戦ってくれ!」 
「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」

(こ、殺される……!)
 後ろの素戔鳴にじゃない。目の前のシュバルツにだ。龍の忍者は今――――確かに恐怖を感じていた。知らなかった。こんなにも、穏やかな殺気が恐ろしいとは。
 一体どうすればよかったんだ。
 俺はただ、シュバルツに戦いに出て来て欲しくなかっただけだ。
 その為に軍議から締め出したのが、まさかこんな形になって跳ね返ってくるだなんて。
 あんな脅しみたいな忠告だけじゃなくて、いっそのこと、シュバルツをどこかに閉じ込めてしまえば良かったのか――――?

(えっ? シュバルツを閉じ込める?)

 ハヤブサの脳裏に、不意にキョウジの姿がフラッシュバックしてくる。そのキョウジにハヤブサは問うていた。シュバルツを閉じ込めるには、一体どうすればいいのかと。
 キョウジはとても爽やかに笑って答えてくれた。
「あははは……。無理無理。無理に決まってるよ」
「えっ? 何故だ?」
 きょとんとするハヤブサに、キョウジは苦笑しながら答える。
「だってあいつ……縄抜けしちゃうし、壁抜けしちゃうし、姿消せちゃうしね」
「――――――!」
「それにいざとなったら、腕一本脚一本、犠牲にしてでも抜け出してくるよ。治せるって自分で分かっちゃっているから……。そんな惨い事、シュバルツにやらせたい?」
 ブンブン! と、勢いよく首を振るハヤブサに、キョウジも声を立てて笑った。

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