農家の嫁の日記

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 244 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/23 14:17   >>

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 夜更け。
 城下町の村人たちの幕舎の一角で、シュバルツの膝に寄りかかる様にして、ケイタが寝ていた。
「すみません、うちの息子が………」
 その様子を見たケイタの両親が恐縮しきりと言った按配で、シュバルツに声をかける。それに対してシュバルツは苦笑を返した。
「大丈夫です。今日1日、子供たちの面倒を見てくれていたから、きっと、疲れたのでしょう」
 ここは大丈夫ですから、貴方がたもどうか休んでください、と、シュバルツに言われ、ケイタの両親も頭を下げる。そのままそこから下がる二人と入れ替わる様に、孫尚香がシュバルツに声をかけて来た。
「今のところ、皆ゆっくり休めているみたい。何処にも異常はないわ。ケイタ君は………って、あら? 寝てる?」
 孫尚香の言葉に、シュバルツが頷く。それを見た彼女の顔にも、柔らかい笑みが浮かんだ。
「そっか……。今日1日頑張っていたものね……。そうだ、毛布を持って来ましょうか?」
「いや、それには及ばない。もう少しケイタが深く寝たら、私が布団まで運ぼう」
「そう? じゃあ、お願いします。私は、甲斐と見張りを交代してきますね」
 彼女はそう言って、シュバルツ達の居る幕舎から出て行く。刹那、シュバルツの瞳が鋭く光る。
 彼はケイタを素早く布団に寝かしつけると、幕舎の中からかき消える様に居なくなってしまっていた。
(シュバルツ……やはり、行くんだな……)
 ハヤブサや皆が、シュバルツを戦場に行かせないように、手を尽くしてくれていたのは、キョウジにも分かっていた。だけど、あの程度でシュバルツを思いとどまらせることは不可能である事を、彼は知っていた。

 行こう。

 静かにそう決意をして、彼もまた、シュバルツの後を追った。


「あれ……? シュバルツさん……?」

 当然、孫尚香と交代して幕舎に来た甲斐姫は、彼の姿を見つける事が出来るはずもなく。
「シュバルツさん!? おかしいな……? 何処に行っちゃったんだろう――――?」
 甲斐姫はそう独りごちながら、慌てて幕舎から出て行った。

 それから、どれくらいの時がたった事だろう。

「…………?」
 不意に、誰かに呼ばれた様な気がして、ケイタは目を開けた。
「シュバルツさん……?」
 ぼんやりとする意識の中で、シュバルツの姿を探す。だが戦場に向かってしまっているシュバルツからは、当然返事が返って来る事はない。シュバルツの不在を悟って、ケイタはガバッと跳ね起きた。
(しまった――――!! お姉さんたちから、『シュバルツさんから目を離さないでね』って、頼まれていたのに――――!!)
 焦りの色を隠せないケイタは、慌てて外に飛び出そうとする。するとそこに、また、誰かからの『声』が、ケイタの耳に届いた。

(誰か来てくれ!! 誰かここから出してくれ!!)

 必死に訴えかけられる。ケイタはこの声に聞き覚えがあった。
(ええと………どこで聞いたんだっけ……)
 ケイタは必死にそれに思いを巡らす。
 そしてついに――――思いだした。

「その声は、土地神様!?」

 叫ぶケイタに、土地神の方からも声が帰ってきた。
(その声は、ケイタか!?)
「はい! 土地神様!! どうしたんですか!?」
(…………!)
 屁舞留はケイタと『会話ができている』と言う事実に身震いするほど感動した。

 やった……!
 ついに『届いた』のだ。
 自分の声が――――

 だがいつまでも、感動の余韻に浸っている訳ではないと悟る。
 自分の為すべき事を、為さなければ。

(頼むケイタ! 長老の傍に吾の本体が祀られておる! そこまで来てくれ!!)

 『土地神』の頼みに、この朴訥な少年が否やを唱える筈もない。
「分かりました!!」
 ケイタはそう叫ぶと、真っ直ぐ長老の幕舎に向かって走り出していた。


「長老様!!」

「な、何じゃ!?」
 何となく浅い眠りと戯れていた長老は、ケイタの叫び声であっという間に覚醒させられた。
「長老様――――! 『土地神』様が……!」
「どうしたのじゃ? ケイタ……。『土地神』様が、一体どうされたと――――」
 長老の言葉が終わらぬうちに、1人の道士風の男が、ふらりと幕舎に入って来る。

「………何やらここから、騒がしい『声』が聞こえてくるようじゃが……」

「な、何じゃ!? その方は――――!!」
 突然の珍客に驚いた長老は、咄嗟にケイタを庇うように、その道士風の男に振り返る。すると、道士風の男の後ろから、白髪の青年が苦笑しながら幕舎に入ってきた。
「その様に警戒するな。吾らは、怪しい者ではない故――――」
「し、しかし……!」
 まだおろおろする長老たちに、もう一人――――巫女風の長い黒髪の女性が楚々と入って来る。
「お騒がせして申し訳ございません……。ですが、私たちはハヤブサ様の手助けをする者にござりますれば――――」
「ハヤブサ殿の?」
 巫女のその言葉に、長老もようやく警戒を解いた。

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