農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 245 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/24 23:38   >>

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「ここから、何やら人を呼ぶような声が聞こえたのだが……」
 そう言いながら道士風の男がきょろきょろと辺りを見回している。それを見たケイタが、長老の影から出てきて叫んだ。
「きっと、あの『石』です! あそこに『土地神様』が――――!」
「ケイタ?」
 少し驚いて振り向く長老を、ケイタはまっすぐ見つめ返す。
「だって長老様! この人たちは、ハヤブサさんを助けようとしているんでしょう!?」
「……………!」
「ハヤブサさんは、僕たちを助けてくれた! だったら今度は、僕たちがハヤブサさんを助けなくちゃ!」
 ハヤブサは常にシュバルツのために動いていた。
 そして、シュバルツは『土地神』の代理――――ハヤブサのために動くと言う事は、絶対に『土地神』のためになることだ。ケイタはそう信じて疑わなかった。
「………なるほど、確かに、何かいるようだな」
 白髪の青年が手に持った打神鞭をポンポンと打ち鳴らしながら、その『石』をじっと見つめていたが、やがておもむろに、その石に向かって手をかざした。すると、その手から光が溢れだし、『石』の中に居る『モノ』を、皆の目に見えるように映し出す事に成功していた。

「ケイタ!! 長老!!」

 太公望の『術』によって、自分の姿が皆に見えるようになったと悟った屁舞留は、迷わず声を上げた。
「土地神様!? 土地神様なの!?」
「これが………!」
 初めて見る『土地神』の姿に息を飲むケイタと長老に向かって、屁舞留は尚も呼び掛けた。
「お願いだ!! 吾をここから出してくれ!!」
「えっ……?」
「だ、出せ、と、言われても………!」

「………なるほど、何か『結界』の様な物で、『封』をされておる様じゃな……」

 戸惑う二人の横から道士風の男が一歩、石に向かって進み出る。
「お主……『術師』か!?」
 一目で自分の今の状態を看破した道士風の男に、屁舞留は声をかけた。
「如何にも。小生は方術師で、名は左慈と申す」
「では左慈――――お願いだ!! この結界を破ってくれ!! 吾は行かねばならぬのだ!!」
 その言葉を受けて、左慈は赦しを乞う様に長老の方に振り返る。他ならぬ『土地神』の願い故に、長老も一も二もなく頷いた。
「では――――破りまするぞ!」
 左慈は『誦』を唱えながら、札で印を描く。

「破ッ!!」

 裂帛の気合と共に、左慈の札が石に向かって飛ぶ。だが――――破られたのは札の方であった。札は真っ二つに裂けて燃え、左慈に術の反動が帰ってくる。
「ぐッ!!」
「左慈様!!」
「強力な結界であるな……! これをした術者は、相当強い『霊気』を湛えているとみゆる………!」
(やはり………!)
 左慈の話を聞いた屁舞留は歯を食いしばった。キョウジの『呪』の力は、想像以上に大きく強くなっている。
 だが、あきらめてしまう訳にはいかない。
 自分は、何が何でも 外に出なければならないのだから。
「では、左慈!! 今度は内と外から同時に破の術を試みてみようぞ!!」
「心得た!」
 屁舞留の呼び掛けに左慈が応じる。二人の術者が、同時に術の動作に入った。

「「破ッ!!」」

 バンッ!!


 派手な音を立てて、結界が砕け散る。石の中から屁舞留が、転がり落ちるように出て来た。
「だ、大丈夫ですか!?」
 ケイタが驚いて声をかける。屁舞留はすぐにガバッと跳ね起きた。

「おのれキョウジめ……! くだらん策を弄しおってからに……!」

 殺気だった眼差しで前を見据えながら、屁舞留は顔を上げる。その手は結界を叩きすぎて、既に血だらけになっていた。
「許さぬ……! 今すぐ後を追いかけ、て――――」
 ここで屁舞留の姿勢が膝から崩折れ、皆の視界からその姿がフッと消える。
「太公望殿!?」
 太公望の透視の『術』が消えてしまったのではと、左慈は驚いて彼の方に振り向く。しかし太公望もまた、何とも複雑な表情をその面に浮かべていた。
「いや……私も、透視の術を途切れさせたわけではない。ただ、先程の者の『気』が、あまりにも弱くてか細いから――――『捉えきれなくなった』と表現した方が、正しいだろうな……」
 そう言いながら太公望は、手の中に光っていた『術』の光を収める。
「左様か……」
 左慈は小さくため息を吐いた。
「先程の方は、何を言わんとしていたのでしょう……」
 疑問を呈するかぐやに、答えを返せる者はいなかった。ただ1人――――ケイタを除いては。

「『連れて行って欲しい』って、言ってる!」

「ケイタ!?」
 驚く長老に、ケイタはなおも言葉を続けた。どうやら――――ケイタにだけは、屁舞留の姿と声が、見聞き出来ているようだった。
「だって長老様……! 今でも土地神様は叫んでいるよ? 『連れて行け』って。シュバルツさんの向かった戦場に、連れて行って欲しいって!」
「…………!」
 長老は半信半疑で御神体である『石』の方に振り返る。一瞬だけ見えた土地神の姿も今はなく『石』自体は何の変わりもないように見える。しかし、先程見た土地神の必死な様子と、ケイタのこの言葉――――嘘偽りを言われているようにも思えない。だが、「ここから戦場に連れて行く」と言う事は、この村の者達とは何の関係もない、ここに居る誰かに御神体である石を、託さなければならない、と言う事になる。
 土地神自体が望んでいたとしても、村の者以外の余所者に『石』を触れさせても良いものだろうか。
 長老はその判断に少し迷った。
「……確かに、何か『波動』の様な物は感じるがな……」
 そう言いながら方術師の左慈が、石の傍で札をかざす。左慈の手の中の札は、その石から発せられるはどう故なのか、ピリピリと小さく揺らめいていた。それを見た太公望が、フ、と、小さく笑った。
「連れていけばよいではないか。その小さな『石』一つ。何かの邪魔になる訳でもあるまい」
 

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