農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 246 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/26 00:52   >>

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 太公望の言葉を受けた左慈が、長老の方に視線を送る。
「よろしいかな?」
 左慈の問いかけに、ケイタからも「長老様!」と、縋るように見つめられ、長老も反対する理由が無くなってしまった。
「では――――頼みます」
 長老は左慈に御神体の石を託した。その中で屁舞留は、ほっと息を吐いていた。
(良かった……。これで、キョウジの傍に、行ける……)

 朴訥な、心優しい青年。
 そして、恐ろしく高い資質をその身に持つ青年。
 それが今――――自ら『消滅』を選ぼうとしている。

 そんな事をさせては駄目だ、と、屁舞留は思う。
 理屈ではない。
 本能でそう感じていた。
 彼には存在し続けていて欲しいと、願った。

(絶対に早まるなよ……! キョウジ……! 吾らが行くまで、消えるでないぞ……!)

 結界の解けた石の中に身を落ちつけながら、屁舞留は間に合え、と、一心に祈っていた。


(く………ッ!)

 結界を破られた反動は、当然術者であるキョウジにも伝わっていた。
(屁舞留………結界を破ったんだな……。意外に、早かったな……)
 身を斬られるような痛みに耐えながら、キョウジは苦笑する。
 仕方がない。所詮は付け焼刃の術者が作った結界だ。簡単に破られてしまって然るべきものなのだ。
(それにしても……結界を破られただけでこれならば…………壊れゆく物を食い止める『呪』を使った時、どれ程の反動が来るのだろう……?)
 ネガティブな事を考えそうになって、キョウジはブン、と頭を振る。
 今更怖気づく気も、後ろに引く気もない。
 もう――――覚悟は決めていた。

 目の前ではハヤブサとシュバルツが、素戔鳴と相対している。
 しかし、庇う対象の村人もいなくて、誰が敵か味方か分からなくなるジレンマも解消されてしまっているこの戦場――――あの素戔鳴と相対しても、忍者二人は全く危なげなく戦っていた。下手をしたら、「ふざけているのか!」と、怒鳴りたくなるほどに。

「おのれっ!! ふざけるなッ!!」

 素戔鳴も、それは感じているのだろう。怒鳴りながら雷撃を飛ばしまくっているのだが、一向に忍者たちに当たる気配が無い。それどころか、素戔鳴の攻撃を避ける動作に、ハヤブサの方は余裕さえ感じられる。
(無理もないな)
 キョウジはそう思って苦笑した。
 実際、ハヤブサが素戔鳴と相対するのは、これで3度目ぐらいだろう。しかも前の戦いで、ハヤブサは素戔鳴の攻撃をその身に散々喰らいまくっている。素戔鳴は、既に龍の忍者に手の内を曝してしまっているのだ。
 神をも滅してしまう腕を持った龍の忍者が、同じ相手に二度も三度も不覚を取るとは思えない。
 そうこうしているうちに、素戔鳴は罠にはめられてしまう。
 岩攻め、火攻め、水攻め………素戔鳴軍の兵力は、あっという間に3分の1以下にまで削り取られてしまった。更にそこに、関羽、張飛、趙雲と言った、劉備軍の面々が、素戔鳴軍を取り囲んでくる。
 ここで勝負あった――――普通ならば、そうなるところだろう。
 だがここから、素戔鳴の執念が炸裂した。
 シュバルツを『害悪』と判断し、『滅さなければならぬ』と言う執念。
 それが、素戔鳴の闘志を燃え立たせ、挑みかかって行った関羽、張飛、趙雲を退ける。

 結局、素戔鳴とハヤブサの一騎打ちに、総ての勝負の行方は託される事になった。

 相対する二人の力量はほぼ互角――――だが紙一重の差で、ハヤブサの方に軍配が上がった。やはり、龍の忍者は、同じ相手に二度負ける、と言う事はないのだ。
 その『からくり』をハヤブサが素戔鳴に説明すると、素戔鳴は烈火のごとく怒りだした。

「人の子よ!! 汝らに問う!! 何故だ!? 何故その後ろに居る『化け物』を守ろうとするのか!? 時を巻き戻してまで――――!!」

「…………!」
 その言葉を聞いたハヤブサが、怒り故に眉を吊り上げ、シュバルツは哀しみ故に眉をひそめた。
 キョウジは黙って天を仰いだ。
 それは、シュバルツ自身が一番よく分かっている。
 よく、分かっているから――――

「あれは人の形をしているが、人には非ず。その身は、酷く邪悪な物で出来ている……! 放っておけば、人の子の世に害を為すぞ!?」

 その意見は正しい。
 正しくないとは言えない。
 全く反論する事の出来ない自分が、
 キョウジは哀しくて悔しかった。

 ああ

 何て、重い 『十字架』 を

 シュバルツ  に


 ドンッ!!

 シュバルツの前に立っていた関羽が、その手に持つ青龍偃月刀を、思い切り地面に叩きつけたが故に、キョウジの思考はそこで中断させられた。驚いて顔を上げると、関羽が仁王立ちになって、素戔鳴を睨み据えている。

「……拙者はこの者を守る。例えその身が何で出来ていようが、関係無い」

 静かな物言いだが、酷く迫力があった。
「それは、何故か?」
 問う素戔鳴に、関羽は答える。

「……『約定』を交わしたからだ」

「約定? それは、誰とだ? ここに居る、龍の忍者とか?」
 怪訝な顔をして問う素戔鳴に、関羽は頭を振った。

「それもある。だが、それだけではない」

 関羽は真正面から、素戔鳴を見据える。

「拙者が『約条』を交わしたのは、村人たちとだ」

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