農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 230 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/06 13:22   >>

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「ええっ!?」
 驚くキョウジに屁舞留は嬉しそうに笑った。
「本当だ!! 彼女たちの援軍の要請に、城に居る関羽が、やっと答えてくれたのだ!!」
 それと同時に、素戔鳴の方にも斥候から報告が入る。劉備の城から援軍が出て、自分達に敵対する様であると。その援軍がすぐ間近にまで、迫っていると。

「して、劉備軍の将は誰か!?」
 問う素戔鳴に兵が答えようとする。
「はっ! 将の旗印は――――」
 その言葉を最後まで言いきるより前に、馬のいななきと共に、一体の人馬がそこに飛び込んできた。

「我こそは関羽!! 字を、雲長と申す者なり!!」

 燃えるような赤い毛色の馬に乗った、身の丈9尺の流れる様な髯をその面に湛えた偉丈夫が、大音声で名乗りを上げた。

「キョウジ!! 良かったな……! これであの二人も、助ける事が出来るぞ!!」
 それに対してキョウジは、少し哀しげに首を横に振った。
「確かに……ハヤブサは、これで助けられるかもしれない……。でも、シュバルツは――――」
 関羽は、素戔鳴に引き上げるよう忠告する。素戔鳴は、歯噛みしながらもそれに従った――――――かに、見えた。

 しかし。

 一瞬の隙を衝いた素戔鳴の無情の刃が、シュバルツの身体を貫いてしまう。それをすると素戔鳴は、潮が退くが如くそこから引き揚げて行った。
 後に残されたのは、致命傷を負ってしまったシュバルツ。

「シュバルツッ!!」

 ハヤブサの悲痛な叫びが、そこに響き渡っていた。
「な…………!」
 茫然と息を飲む屁舞留の目の前で、シュバルツが「ハヤブサ……」と、微笑みながら顔を上げた。
「何故俺なんかを守った!? 何故あの攻撃を避けなかったんだ!! シュバルツ!!」
 そう。ハヤブサには分かってしまった。
 あの攻撃をシュバルツがもろに受けてしまったのは、シュバルツが自分を庇ってしまったから。
 その言葉に対してシュバルツは、その面に優しい笑みを浮かべる。
「あはは……。本当に、そうだな……。一番ベストだったのは、お前を抱えて飛べればよかったんだが――――」
 ドサリ、と、音を立てて、シュバルツの『左腕』が、地面に落ちる。
「もう………そんな力も……私には、残っていなくて……」
 斬られた場所以外から、彼の身体が崩れた事に、ハヤブサも、そして周りの者たちも皆、衝撃を受けた。ただ、キョウジだけが1人、哀しげに瞳を伏せた。

「どう言う、事だ………?」

 ハヤブサが、茫然と呟く。

「どう言う事だ!? 何故だシュバルツ!! お前まさか――――既に斬られていたのか!?」
 ハヤブサの叫びに、シュバルツは微笑みながら「そうだ」と頷いた。
「い……何時だ……?」
 震えながら問うハヤブサに、シュバルツは淡々と答え続ける。
「最初に……お前を庇った、あの時に……」
「―――――!」
「避けきれなくて……少し、掠ったみたいなんだ……」
「シュバルツ……!」
「駄目だな……。確かに、お前が言った通り……全然、治せなかったよ……。ハヤブサ……」
「―――――ッ!」

 ここでようやく、関羽より遅れてきた部下たちが、この場所に到着していた。兵士たちの間に混じって、孫尚香も、甲斐姫も。
 そして、見てしまう。傷だらけになって倒れているハヤブサが泣き叫び――――その視線の先で、静かに壊れていくシュバルツの姿を。

(何てことなの……!? やはり……間に合わなかった………!)

 自分達の力が及ばなかった事に、甲斐姫は息を飲み、孫尚香は天を仰いだ。誰しもが、言うべき言葉を失っていた。

「もう……敵はいない……。だから……自爆なんて、考えるな。ハヤブサ……」
「シュバルツ……! 嫌だ……!」

 シュバルツは、幸せそうに笑っている。愛する人を守りぬけたから。
 ハヤブサは、絶望に顔を歪めている。愛する人を、守れなかったから。

「ハヤブサ……今まで、ありがとう……」

「嫌だ……!」
 龍の忍者は哀しげに首を振る。
 だけど、彼の願いを叶える手段は、ここにはもう何も無くて。
 それでも、ハヤブサはシュバルツに向かって、必死に手を伸ばしていた。

 願う。
 触れたいと。
 引き止めたいと――――

「ハヤブサ………」

 全身にひびが入り、もうほとんど動かなくなっているであろうシュバルツの右手が、ピクリ、と、動いた。
 彼も、願ったのだろう。
 ハヤブサに、触れたいと。
 だけど、その願いは、叶えられる筈もなく。

「ハヤブサ……あ、り……ガ――――」

 パリン、と、音を立てて、そのヒトは砕け散った。最期まで、優しい笑顔の残像を残したまま―――――

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