農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 232 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/03/09 23:53   >>

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「多分ハヤブサは、貴方を救い出せればそれでいいと思っているだろうから、それだけの事があったと言う事は、絶対貴方には言わないと思う。でも、私は知っていて欲しかったんだ……。貴方を救うために、皆がそれだけ手を伸ばしてくれた、と言う事実を」
「ハヤブサ……!」
 シュバルツは、自分を抱きしめながら眠る龍の忍者を見つめる。
 何と言う事だろう。
 自分は、もうハヤブサに、返しても返しきれないほどの『恩』を、受けてしまっている事になるのではないだろうか?

 どうすれば、良い?
 そんな彼に報いるために、自分はいったいどうすれば――――

「シュバルツ……」
 キョウジに優しく呼びかけられて、シュバルツははっと、我に帰った。

「そう言えばキョウジ。屁舞留はどうしたんだ?」

 キョウジの話を聞きながら、疑問に感じた事を、シュバルツは口に出していた。
 キョウジが霊体になってから、常にその行動を共にしていた屁舞留。今この場に、キョウジと共に居てもおかしくはない存在なのに。
 300年生きていると言っても、幼く、男とも女とも区別のつかない不思議な容貌をしていた屁舞留。シュバルツも会いたいと思った。
 だがキョウジは、そんなシュバルツの問いかけに、少し哀しげな笑みを浮かべる。
「…………!」
 割れてしまった土地神の形代の石と相まって、酷く嫌な予感に襲われた。
「まさか――――」
「シュバルツ………」
 少し、逡巡しているように見えたキョウジであったが、やがて、意を決したように顔を上げた。
「そうだね……。話すか話すまいか、大分迷ったんだけど……やはり、貴方は知るべきだ」
 そう言いながら、キョウジはシュバルツの手に、再び己が手を重ねてくる。
「キョウジ……」
「話すよ。総て。私と屁舞留が、あの戦いで何をしたのかを―――――」
 キョウジの手から、再び光芒が溢れだす。
 シュバルツはまた、キョウジの回想の世界の中に、入って行った――――


 太公望が村人たちの話を聞いて、同時にかぐやの力を使って過去への介入を開始する。それと同時に村の方にも変化が現れ始めていた。村の上空に鎮座していた大きな『死の闇』の塊が、徐々に小さくなり始めて行ったのだ。

「す、すごい……!」

 しばらく茫然とその様を眺めていた屁舞留であったが、やがて意を決したかのように立ち上がった。
「吾は決めたぞ。キョウジ」
「えっ? 何を? 屁舞留」

「ここの結界を廃棄して――――村の社に移る」

 そう決断した屁舞留の行動は早かった。
 居住していた結界内から必要な物だけを持ち出すと、キョウジを伴って村へと移り、時空の空間の中に浮かべていた結界を始末して、社の中に新たな結界を築き上げたのだ。
「元はと言えば、吾は最初、この社の中に住んでいたのだ……。村が襲われてからは、ここに居るのが怖くなってしまって――――あそこに逃げ込んでいた様な物だが……」
 情けない話だがな、と、笑う屁舞留にキョウジは静かに首を振った。
「だが仮にも『土地神』と、祀られている者が、他所に逃げ込んでおっては話にならぬな。吾もここに留まって、今度の戦を見守ろうと思う」
「屁舞留……」
「ありがとうな、キョウジ。そなたのおかげだ」
「えっ?」
 驚くキョウジに、屁舞留はにこっと微笑みかける。

「そなたが傷ついても傷ついても………何度も何度も立ち向かう『勇気』を見せてくれたから―――――吾もこうして、立ち向かう決心が出来た」

「えっ………!」
「だから、礼を言わせてもらう、キョウジ。お主は吾に、『勇気』をくれた」
「そ、そんな……! 私なんて、大したことはしていない。何も考えずに、ただ、突っ走ってしまっただけで――――」
 顔を少し赤くしながら、しどろもどろになるキョウジ。そんなキョウジが面白くて、屁舞留も声を立てて笑っていた。

 そんな中、社の結界に意外な人物が現れる。状況を動かすために走り回っていた、太公望その人が訪ねて来たのだ。
「――――!?」
 ギョッ、と、息を飲む屁舞留とキョウジに、いきなり結界に入り込んできた太公望は、中をきょろきょろと見回しながら無造作に問うてきた。
「ここが『土地神』の結界か? ……と、言う事は、『土地神』はどっちだ?」
「――――!」
 瞬間的に怯えの表情を浮かべる屁舞留。キョウジは屁舞留を守るようにその前に立つと、口を開いた。
「『土地神』は、この子です。私は、居候の様な者で――――」
 太公望は敵ではない、と、分かっているから、キョウジはそんなに警戒はしなかった。ただ、何故ここを急に訪ねて来たのか――――その真意が分からず、少し戸惑ってしまう。
「なるほど……。お前が『土地神』か……」
 太公望はしばらく屁舞留を検分するように眺めていたが、やがてポリポリと頭を掻きながら、フッと小さく息を吐いた。

「……やれやれ、全く穏やかな『神』もいたものだ。あの龍の忍者も、気の回し過ぎだな………」

「ハヤブサが?」
 少し驚いた声を上げるキョウジに、太公望は意外そうに問うてくる。
「うん? お前は、あの龍の忍者の知り合いか?」
「ええまあ。いろいろと、紆余曲折がありまして――――」
 そう言って茶を濁すキョウジに、太公望は、そうか、と、呟く。
「お前とあの青年――――」
 結界の中からシュバルツを見つめながら、太公望は口を開いた。
「とてもよく似ているな……。それも、訳あり……か?」
「ええまあ――――」
 探るような太公望の眼差しを受け止めながら、キョウジは頷いた。ふむ、と、顎に手を当てて考え込むような仕種を見せる太公望に向かって、それまで黙ってキョウジの影に隠れるようにしていた屁舞留が口を開いた。
「キ、キョウジも、そして、あのシュバルツも、罰せられるような『悪人』ではないぞ!? 吾らを助けてくれた者たちなのじゃ!! お願いじゃ!! この者たちに害を加える事だけは――――!」
「そのような事はせぬぞ」
 太公望にあっさりそう言われて、屁舞留は思わずつんのめりそうになった。

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