農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 263 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/04/16 14:36   >>

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(結局私は、またこの二人に助けられた事になるのだな……。どうして二人とも、いつもいつも、私の事を――――)
 そう思いながら、キョウジはシュバルツの身体を見る。千切れてしまった彼の首は、もうほとんどくっつきかけていた。
(シュバルツ……。シュバルツはもしかして、こうなる事を知っていたのだろうか……? だから、朝からあんなに……)

 実は今日はキョウジにしては珍しく、朝から機嫌が悪かった。
 何がどうという訳でもない。何が悪いと言う訳でもなかった。
 ただ――――虫の居所が悪いとしか言いようのない、訳の分からないイラつきに、朝から取りつかれていた。
 これではいかん、と、何度も気分転換を試みてみるのだが、何をやってもうまくいかない。あきらめてデスクに座って、書きかけの論文に取り掛かってみたりもするのだが、一向に筆も進まない。
 そして、この訳の分からないイラつきは、当然の如く傍にいるシュバルツに、『八つ当たり』と言う形になって現れていた。
「シュバルツ」
「どうした? キョウジ」
「気が散るんだ。悪いけど、少し離れていてくれないかな」
 キョウジがこう言えば、シュバルツはたいてい大人しく傍を離れる。なのに今日に限って、なかなか彼が離れようとしなかったから、キョウジのイラつきは、さらに悪化してしまう。
「シュバルツ」
「ん?」
「私は『離れてくれ』と、言ったよな? なのに、どうして言う事を聞いてくれないんだ?」
「キョウジ……!」
 何故か哀しげな眼差しをシュバルツから向けられるから、キョウジは少し戸惑ってしまう。
「済まない、キョウジ……! 後少しの間だけでいいんだ。ここに居させてくれないか?」

「駄目だ!!」

 シュバルツの哀願に近い訴えを、キョウジは言下に退ける。
「私は今、1人になりたいんだ! 悪いんだけど、出て行ってくれ!」
「キョウジ……!」
「それとも何か? どうしても、私の傍にいなければならない、用事でもあるのか?」
「い、いや……そう言う訳でもないが……」
 何故か、歯切れの悪い物言いをするシュバルツ。その態度に、キョウジの苛立ちは、ますます煽られてしまう。
「じゃあ、出て行ってくれ!!」
 強く言い放って、部屋のドアを指す。
「…………!」
 キョウジをしばらく茫然と見つめていたシュバルツであったが、やがて観念したのか、やっと頷いた。
「分かった………」
 そう言ってシュバルツは、静かに部屋を出て行く。キョウジはやれやれとため息を吐いた。
 自身の中の苛立ちを何とか宥めながら、デスクに座り直す。
 もう一度、論文の続きを書き始めようとして―――――すぐに、そのペンが止まることになった。『ある気配』に、彼が気がついてしまったからだ。

「………シュバルツ」

 キョウジが足元の『影』に向かって呼びかける。すると、「何で分かった!?」と、言いながら、シュバルツが足元の影から『生えて』来た。
「分からいでか!!」
 キョウジは知らず、怒鳴り散らしてしまう。
「言っただろう!! 私にはお前の気配が分かってしまうんだと!! お前がどんなに気配を消しても、見つけ出す自信が私にはあるぞ!?」
「し……しかし、キョウジ……!」
 だがキョウジに怒鳴られながらも、シュバルツも後には引かない。
「済まない……! 後少しの間だけでいいんだ……! 傍に居させてくれ……! 気配も消すし、お前の邪魔はしないから――――」
「『気配が分かる』と何度も言っているだろう!? お前の気配を感じるだけで、今は邪魔に感じてしまうんだ!!」
「キョウジ……!」
「お願いだ、シュバルツ。少しの間でいい。1人にしてくれ……! 私だってこれ以上、お前に八つ当たりなんかしたくない……」
「……………」
 黙り込むシュバルツ。
 かなりめちゃくちゃだが、ちゃんと筋は通して願い事をした。これで、聞いてくれないシュバルツではない筈だ――――と、キョウジは思っていた。
 しかし、シュバルツはそこから動こうとしない。それどころか、さっきから何度も壁の方にちらちらと視線を走らせている。どうやら彼は、壁にかかっている時計を気にしているようであった。
「どうした? シュバルツ」
「な、何だ?」
「さっきから時計をちらちら見ているけど……何か、問題でもあるのか?」
「いや……」
 また、茶を濁すような反応。キョウジの苛立ちが、さらに煽られてしまう。
「シュバルツ、いい加減に――――」

 その瞬間、外でドンッ!! と言う大きな音がする。

「――――!」
 素早く窓から外を確認したシュバルツが、「キョウジ!!」と、自分に覆いかぶさって来て――――

 派手な轟音と共に、何かが破壊される音が、部屋中に響き渡る。

 そして気がつくと、壁に巨大な穴が開き、部屋の中はぐちゃぐちゃに四散し、自分達は鉄骨の下敷きになっていた。
「シュバルツ……!」
 茫然と呟く自分の目の前で、首から上がないシュバルツの身体が、ぐ、ぐ、と、鉄骨を持ちあげている。僅かに空いた隙間から、キョウジは何とか這い出る事が出来た。それを待っていたかのように、べシャッと潰れるシュバルツの身体。千切れた首からはみ出したケーブルが、バチバチと音を立てて放電していた。

「シュバルツ……! そんな……!」
 どうして
 自分は、理不尽に八つ当たっていたと言うのに。

 ただ茫然と座り込むしかないキョウジ。そこに、ハヤブサが走り込んできたのだった。

「兄さん? 大丈夫か?」
「――――!」
 はっと、我に帰るキョウジ。振り向くと、ドモンが心配そうな顔をして、こちらを覗き込んでいた。

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