農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

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zoom RSS されど、龍は手を伸ばす。 257 ――無双OROCHI異聞録―――

<<   作成日時 : 2015/04/06 00:51   >>

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「ハヤブサ……」
「だから、『恩』とか『義理』とか、お互いに感じる必要はないって事だ。そんな事を云っていたら、本当にきりが無くなるぞ?」
「しかし……!」
 まだ納得しかねているのか、反論しようとする愛おしいヒト。ハヤブサは笑いながら優しくその身体を抱き寄せると、そっと囁いた。
「お前にだって、『選ぶ』権利がある。誰の傍にいるか、誰を愛するか――――。お前が俺よりも愛する人が他に出来て、その人の傍にいたいと願うなら―――――お前は、いつでもそちらに行って構わないんだ」
「な…………!」
 ハヤブサのその言葉に、シュバルツはさも心外だと言う顔をする。
「そんな事は絶対にしない! 私がお前より愛する人間なんて――――!」

「絶対だな?」

「―――――!」
 ハヤブサに念を押されるように問われて、シュバルツははっと我に帰った。自分が思わず口走ってしまった内容が、割ととんでもなかった事に気がついて、シュバルツは慌ててしまう。しかし、もう遅い。目の前では龍の忍者が、「我が意を得たり」と言わんばかりの満面の笑みを、その面に浮かべていた。

「つまり、そう言う事だ」

「あ…………!」

「俺も、お前と同じように思っている……。愛するヒトは、お前以外に居ないと」

「ハヤブサ……!」

 涙で潤んだ瞳で見つめてくるシュバルツに、愛しさが溢れる。身体をさらに密着させて、想いを込めて唇を重ねた。

「ん…………!」

 瞬間強張ったシュバルツであるが、すぐにその身体から力が抜けて行く。優しく受け入れてくれているのが分かる。至福の一時――――ハヤブサは思わず、泣きそうになってしまった。

「……………」

 優しい口付けを終え、そっと離れる。
 一糸纏わぬ姿で、潤んだ瞳でこちらを見つめているシュバルツ。酷く美しくて、そして何処までも妖艶だった。素直に『押し倒したい』と、願う。

 しかし―――――

「……………」
 シュバルツの身体のあちこちに残る痣に、ハヤブサは眉をひそめる。
 つい半刻ほど前までその身体を乱暴に穿ち、抱き潰す覚悟で抱いた。その名残が、彼の身体のあちこちに、まだ残っている。人より回復の早いシュバルツの身体であるが、それが追いついていない程のダメージを受けたと言う事になる。そんな彼を、今、これ以上抱くのは憚られた。

「夢の中で、キョウジは何と言っていたんだ?」

 だからハヤブサは、敢えてキョウジに話題を振る。
 ハヤブサにとってのキョウジは、敬愛すると同時に、自身に強く『理性』を手繰り寄せてくれる存在であった。それは、シュバルツにとっても同じなのだろう。彼の瞳にも、理知の光が宿っていた。

「キョウジは……『未来で待っている』と――――」

「…………!」

「『はるか未来で待つ』と………そう、言っていた………」

(キョウジ……!)
 キョウジのその言葉で、ハヤブサは確信する。
 やはり――――取り戻す事が出来るのだ。キョウジの失われた時間を。
 あの『妖蛇』さえ、倒せさえすれば―――――!

「間違いなくキョウジは、そう言ったんだな?」
 問いかけるハヤブサにシュバルツは頷く。
「そうか………」
 ハヤブサはにこりと微笑むと、シュバルツの手を力強く握った。

「ならば行こう、シュバルツ。キョウジの未来を取り戻すために――――」

「ハヤブサ………」
「あの『妖蛇』さえ倒せれば、自分も助かる。キョウジは、そう言っているのだろう?」
「―――――!」
 夢の中でキョウジが言っていた言葉と同じ言葉をハヤブサに言われて、シュバルツははっとする。

 本当だ――――
 本当にハヤブサは、全然あきらめてなどいなかった。
 自分に次いで、キョウジも取り戻そうと、懸命に戦い続けてくれていたのだ。

「ならば、俺たちはもう、立ち止まっている暇はない。妖蛇を倒すために、進み続けなければ」

 立ち上がったハヤブサは、シュバルツに向かって手を差し伸べた。

「シュバルツ、手伝ってくれるか?」

「勿論、ハヤブサ。喜んで――――」

 そう言って自分の手を取ってくれたシュバルツに、ハヤブサも笑顔を見せる。
「なら、身体を洗って、服を着なければな。劉備殿の城に寄って、討伐軍に合流しないと」
「そうだな」
 シュバルツはそう頷いてから、辺りをきょろきょろと見回す。どうやら、何かを探しているようであった。
「どうした? シュバルツ」
 それに気が付いたハヤブサがシュバルツに声をかけると、「ああ、ちょっと……」と、返事をしたシュバルツが、目的の物を見つけたのか、身を屈めて、それを拾い上げた。
「『形代の石』か?」
 シュバルツの手の中にあるそれを見たハヤブサが問いかけると、シュバルツも頷く。
「ああ……。これを、村人たちに返さなければ――――」
「確かにそうだな」
 そう返事をするハヤブサに、シュバルツは頷くと、その石を胸の前で、ギュッと包み込むように握り込んでいた。
(ありがとう、屁舞留……! 貴方がくれたこの『命』を、私は絶対に、無駄になどしない)

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