農家の嫁の日記

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zoom RSS ただひたすらに、君を想う。 18

<<   作成日時 : 2015/07/01 14:19   >>

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 そのヒトはただ―――――自分の心の一番深い場所に、するりと入り込んで来ていた。
 自分の何を、暴くでもなく。
 自分の何を、否定する事も無く。
 自分でもどうしようもない、心の奥深い柔らかいその場所に入り込んで――――そっと寄り添ってくれていた。

 そのヒトは誰よりも深い闇に塗れ、孤独の中に居たのに。

 優しい『光』を、俺にくれた。
 闇の中に生きるが故に、時に何も信じられなくなりそうな俺に、「大丈夫だ」と、その背中を押してくれた。
 そして、「幸せになれ」と、言ってくれた。

「じゃあ、お前は!?」

 叫ぶ俺に、そのヒトは小さく頭をふった。

「私は、良いから」

 そのヒトは、『見返り』を求めてはいなかった。


 我慢が出来なかった。

 何故
 何故
 優しい『光』を内包したお前が、そんな救いのない闇の中に、独り、佇んでいなければならないのだ?
 どうして、そんな孤独な場所から、他人の幸せを願えるのだ?

 生まれて初めて、他人を欲した。
 その手を取りたいと、強烈に願った。

 生きるのならば、共に。
 幸せになるのならば、共に――――

 なのに、彼を覆う闇は深すぎて――――俺は、なかなかそこにたどり着けない。

 業を煮やした俺は、半ば無理やり、その身体を奪った。
 身体を繋げれば、せめて――――俺も、彼のヒトを覆う闇に、一緒に塗れる事が出来るのではないか。そう思ったからだ。

「駄目だ!! お前に、DG細胞が――――!!」

 抱こうと、犯そうとしている俺を、案じる言葉しか言わないお前。どんなに凌辱しようとしても、それは、変わらなかった。

 愛してる
 お願いだ
 抱かせてくれ
 それが駄目なら殺してくれ――――!

 懸命の懇願。
 それを、そのヒトはついには受け入れてくれた。
 初めからがっつきすぎた俺を赦して、背中を優しく撫でてくれた。

「しようがない奴だな」

 そう言って優しく笑う、その笑顔が好きだった。
 身体を繋げて、共有する時間を持つようになって――――『想い』は廃れるどころか、ますます募った。

 お前の事を知りたい。
 もっと、もっと
 俺の事も知って欲しい。
 もっと、もっと――――

 それはハヤブサが味わう、人生で一番優しい時間かもしれなかった。

(シュバルツ……。心配しているかも、しれないな………)
 座敷牢の窓から差し込む月明かりをぼんやりと見つめながら、ハヤブサは思った。ここに監禁されてからどれぐらいの時が過ぎたのかは分からないが、もしかしたら、『約束の日』が来てしまっているかもしれない。

 実は、定期的に会うようになってから一度だけ――――ハヤブサは『約束の日』をすっぽかしそうになった事がある。
 ―――と、言ってもわざとではない。全くの不可抗力だった。

 明後日はいよいよ「約束の日」――――ハヤブサが浮き立つ想いであれこれ準備をしている所に、急な仕事が舞い込んだ。
 敵の規模も小さく、大きな事件でもなさそうに見えたため、ハヤブサは早急に片づけるつもりでその現場に向かった――――それが、間違いの元だった。
 想像以上の難敵と事件に手こずり、無事に事件(それ)は解決したものの、ハヤブサ自身も重傷を負った。やっとの思いで日本に帰りついた時には、『約束の日』が終わろうとしている時間帯だった。

(さすがに、もう居ないだろうな……)

 痛む身体を引きずりながら、それでもハヤブサはシュバルツとの待ち合わせ場所に赴く。怪我をしているのだから、早く里に帰るべき――――と、ハヤブサも頭では分かっていた。だがどうしても――――ハヤブサはその場所に行きたかった。
 手当てをするにしても、命が尽きるにしても
 シュバルツに会える可能性があるその場所に、居たかった。
(シュバルツ……!)
 彼がいつも凭れかかって待っている、大木の根元に、ハヤブサが倒れ込もうとした、瞬間。

「ハヤブサ!!」

 飛び出してきた愛おしいヒトが、自分の身体を支えてくれた。

「……待ってて……くれたのか……?」
「当たり前だろう!! 今日は『約束の日』だ!!」
 弱々しく問う俺に、シュバルツから怒鳴り声が飛んできた。
「ああもう―――! こんな大怪我をして――――!!」
 バリバリと自らのシャツを引き裂きながら、シュバルツが応急手当てを施してくれた。

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