農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 5

<<   作成日時 : 2015/08/27 00:11   >>

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「そう言えば……!」
 驚くシュバルツに、キョウジは頷く。
「人間の身体にも、自己治癒能力は備わっている。DG細胞ほど強烈な物じゃなくても、その人の生命力が尽きていなければ、身体はゆっくりとだけど回復するようになっているんだ。それなのに、今のハヤブサは……」
 食欲も戻らず、体力も無い。
 死の危険からとりあえず脱してはいるものの、予断を許さない状態である事に、変わりはなかった。

「……もしかしてキョウジは、ハヤブサが治ろうとしているのを、妨害する『何か』があるかもしれない、と……?」

「まだ、そこまでは分からない……。でも、このデータを見てくれ」
 シュバルツの言葉を受けて、キョウジは自分のデスクの方にパタパタと走る。手にハヤブサのカルテを持って、戻ってきた。

「こっちが健康な時のハヤブサの血液の成分。そして、こっちが今の血液の成分。………どう? 見比べてみて、何か気づかない?」

「これは………!」
 シュバルツには二つのデータの違いがすぐに分かった。
 健康な時のハヤブサの血に在るあるたんぱく質が、今のハヤブサの血液からは全く検出されていないのだ。
「分かっていると思うけど……このたんぱく質は、普通の人間の血液からは検出されない特殊な物だ。このたんぱく質があって初めて、『龍の忍者の血液』と言っていい物になるんじゃないかと、私は思ってる」
 キョウジの説明を聞きながら、シュバルツもまた、ハヤブサとキスした時に口の中で分析した唾液の成分を思い出していた。
 一見、普通の健康な人間の物とそんなに変わらなかったハヤブサの唾液。
 だがシュバルツは何故か、その唾液をハヤブサの物にしては『薄いな』と感じていた。
(……まさか、これが原因なのか……?)
 データを見ながら息を飲むシュバルツの横で、キョウジもポリポリと頭を書いていた。
「このたんぱく質が血液の中から出て来て、その数値が上がってくれば―――――ハヤブサも治っていくと思うんだけどね……。でも、どうやったらこれの数値が上がっていくのか、私にもさっぱり分からなくて――――」
「確かに………」
 データを見て考え込むシュバルツの横で、キョウジも頭を抱え始めている。
「私の加療、投薬方法に問題があるのか………。それとも……別の、何らかの原因があるのか………」
「別の原因………例えば?」

「………『邪悪な者の呪い』とか」

「―――――!」
 キョウジの言葉に、シュバルツは目を2、3回しばたたかせる。2人はしばらく互いの目を見合わせてから―――――「ないな。それは無い」と、同時に苦笑しながら視線を逸らしていた。
「馬鹿な事を言っていないで、現実を見ろ、キョウジ。とりあえずその原因っぽい物まではつき止めているのだから、後はそれをどうにかするだけだろう」
「うう〜〜〜ん………。そうなんだけど………」
 シュバルツの言葉に、キョウジは難しい顔をしている。
「いかんせん、ハヤブサの血液が特殊すぎるからなぁ。与助さんに聞いておけばよかった……。里の方に、ハヤブサ専門の主治医がいるかどうか――――」
「そう言う人がいれば、真っ先にここに派遣されていると思うがな……」
 シュバルツも、今まで何回か隼の里に逗留した事があるが、そう言う主治医的な存在など聞いた事が無いし、ハヤブサが仕事がらみの怪我以外で薬師にかかっているところを見た事が無かった。

「俺、あんまり病気とかした事が無いんだ」

 何時だったか、ハヤブサにそう聞いた事がある。
「それに、実は『病院』とか『医療器具』に、あまり良いイメージは無いな……。ああいう類の連中は何故か皆、俺の身体のデータを執拗に欲しがる。人をモルモットか何かみたいに実験対象にして――――」
「ハヤブサ………」
 嫌な事を思い出させてしまったと、瞳を曇らせるシュバルツに、ハヤブサは、優しい笑顔を見せた。
「お前がそんな表情をする事は無い。もう、過ぎた事だ」
「しかし………!」
「なら………忘れさせてくれるか? お前の温もりで――――」

「えっ?」

 きょとん、とするシュバルツの顎を、ハヤブサの手が捉える。

「シュバルツ………」

 そのまま、ハヤブサの顔が近づいて来て―――――


「シュバルツ? どうしたの?」

「―――――ッ!!」
 いきなりキョウジに声を掛けられて、シュバルツははっと現実に返る。「わ―――――ッ!!」と、大声を出しそうになるのを、かろうじて堪えなければならなかった。
「大丈夫? シュバルツ。何か顔色が赤い様な………」
「い……! いや、大丈夫だ、キョウジ……! 何でも、ないから……!」
 シュバルツはそう言いながら、火照る頬を懸命に両手で押さえている。
「もしかして、熱が出てたりする? ハヤブサの看病で、疲れているんじゃないの? あれ? でもお前に『熱』って………」
「いや、本当に、何でも無いんだ……! 私の事は気にしないでくれ……! 具合が悪くなったら、ちゃんと言うから……!」
 シュバルツはキョウジに必死に言い訳をしながら、内心少し舌打ちをしていた。
(ハヤブサ……! あの馬鹿!! あいつが何かにつけて私を抱く口実を見つけては、抱こうとするから―――――!)
 何をしていてもハヤブサとの思い出に繋がり、最終的に身体を奪われる所まで容易く繋がってしまう。この状態は、結構困った物だと思う。
「そうなの?」
 キョウジはしばらくシュバルツの方をじっと見つめていたが、やがて小さくため息を吐いた。
「……やっぱり念のために、朝一番で隼の里に使いを出すかな……。もしかしたら、何かヒントになる様な事が分かるかるかもしれないし……」
 そう言いながら、ハヤブサの血液のデータを食い入るように見つめているキョウジ。彼にして見れは、もう藁にもすがる思いなのだろう。

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