農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 7

<<   作成日時 : 2015/08/29 08:02   >>

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「――――――!」
 はっと覚醒するハヤブサの意識。目の前には心配そうにのぞき込む、シュバルツの顔があった。
「ハヤブサ……! 大丈夫か?」
「シュバルツ……!」
 ハヤブサはシュバルツの姿を認めるなり、手を伸ばして、縋るようにその身体に抱きついて来た。
「シュバルツ……! シュバルツ……ッ!」
「ハヤブサ……?」
 戸惑いながらも、そっと抱き返してくれるシュバルツ。
「シュバルツ……!」
 その優しい感触にハヤブサはホッとしてしまって――――何時しか涙まで零してしまっていた。
「また……悪夢を見てたのか……?」
 問うシュバルツに、ハヤブサは震えながら頷く。
「いやだ……! もう嫌だ……! どうして―――――!」
「ハヤブサ……」
「あんな夢……見たくないのに………!」
「……………」
(妙だ)
 シュバルツは、震えるハヤブサを抱きしめ返しながら思う。
 どうやらハヤブサは、似たような内容の夢を繰り返し見ているようだが、人は、こんなにも何回も同じような夢を見てしまう物なのだろうか?

(……いや、でもキョウジも、同じような夢を見て、よくうなされている事があるものなぁ……。それと、似た様な物なのかもしれない)

 キョウジも、シュバルツを作るきっかけとなった『デビルガンダム事件』の夢を、頻回に見て、うなされていた。そのたびに自分がたたき起こして―――――
 悪夢から覚めたキョウジは、『起こしてくれてありがとう』と、必ず言う。
 しかし、苦しめられた『夢』その物から、キョウジを守れている訳ではない。
 デビルガンダムに取り込まれかけて死にかけた、キョウジが負ってしまった心の傷を、自分が完全に取り除ける訳でもない。
 独り苦しむキョウジを、自分はただ見ている事しか出来なかった。

 今のハヤブサもそうだ。
 親友であるハヤテへの想いと、自分への想いとの間で板挟まれ、苦しんで涙していたお前。自分は、その泣いているハヤブサの手を、取ることができなかった。それは結局、ハヤブサを独り、苦しませる事になる。それを、自分は気付けないままに、彼はそのまま心も身体も消耗して衰弱し切って―――――

(………………!)

 シュバルツは、いつしかギリ、と、歯を食いしばっていた。

 どうして、こんなにも自分は役に立たないのだろう。
 どうして、自分はいつも他人の悲劇の傍観者にしかなり得ないのだろう。

 でも、じゃあ、どうすれば良かった?
 どうすればよかったのだ。
 泣いているハヤブサの手を、強引に取ったところで、ハヤテへの想い故に涙を流していた彼の、真の救いにはなり得なかっただろう。哀しいけれど、それだけは分かる。きっとそれはそれでハヤブサを苦しませてしまって―――――

「ハヤブサ……!」

 シュバルツはギュッと、縋りついてくるハヤブサの身体を抱きしめた。
「そばに居る……」
 そっと、その耳元に囁きかける。
 自分は、それしか出来ないし、言えないから。
 独り苦しんだ彼を、守ることも救うことも、出来なかったのだから。
「お前の傍に、居るから……」
「シュバルツ……!」
 対してハヤブサは、心底うれしそうな笑みを浮かべていた。

 あの時、せっかく差し伸べてくれていたシュバルツの手を、振り払ってしまって、ハヤテの元に留まってから半年。シュバルツが自分に対する『想い』など――――とっくに切れてしまっていても、おかしくは無いと思っていた。自分は、彼を裏切ってしまったも同然なのだから。
 だが彼は、変わらぬ態度で自分を受け入れてくれて、こうして抱きしめてくれる。
 それに自分がどれだけ救われているか―――――彼は分かっているのだろうか?

「シュバルツ」

 呼び掛けて、唇を求めると、彼は優しくそれに応えてくれる。

 ああ
 幸せだ
 自分には、勿体ない程の―――――

「……………」

(……やはり、『薄い』な……)
 キスを終えてからシュバルツは、口の中でハヤブサの唾液を分析する。『アンドロイド』である彼は、味覚が無い代わりに、その口の中に含まれた物の成分を、事細かに分析してそれをデータ化する事が出来た。故にシュバルツにとって「キスをする」と言う行為は、愛を確かめ合うと言う以外にも、相手の健康状態を把握すると言う意味も、含まれていたりするのだ。

「………落ち着いたか?」

 シュバルツがそっとハヤブサに呼びかけると、ハヤブサは「ん………」と、軽く頷いていた。しばらくシュバルツに甘えるようにその身を擦り寄せていたハヤブサであるが、やがて意を決したのか、そっとシュバルツの腕の中から離れて行った。
「……どうだ? 俺の唾液は、少しは元に戻ってきているか……?」
 シュバルツの口の機能を知っているハヤブサも、そう問いかけてくる。それに対してシュバルツは、苦笑しながら答えた。
「まだまだだな……。『健康』と言うには、ほど遠いようだ」
「何でだ……! ここにきて半月も経つのに、どうして俺の身体は治らないんだ……?」
 はあ〜〜〜、と、大きなため息を吐くハヤブサに、シュバルツは宥めるように声をかけた。
「焦るな、ハヤブサ。ゆっくりとだが治って来ているんだ。今は、身体をきちんと休めるのが肝要、と言う事なのだろう」
「そうなのだろうが………」
 ハヤブサは、納得できない、と、言わんばかりにもう一度、大きなため息を吐いていた。

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