農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣とその拳と 22

<<   作成日時 : 2015/09/19 23:52   >>

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「よかろう。ならば、好きにしろ」
 少し突き放すように東方不敗はキョウジに言った。
 勿論、彼を命がけで守ると言う自分の決意は揺るぎないものだ。
 しかし、それでもわざと突き放すような物言いをしたのは、見てみたかったからだ。この極限の状況の中で、彼がどう言う戦いをするのか。彼が近頃シュバルツやハヤブサや自分を相手に、戦い方の修業をしているのは知っている。そして彼は自分で『ハヤブサの主治医』と言った。ある意味シュバルツの命を握り込んでいる存在である自覚も、ある筈だ。
 絶対に死ぬことが許されない厳しい状況下で、彼がどういうふうに戦うのか。その修業の成果を見てみたいと東方不敗は思っていた。

「分かりました!」

 キョウジは東方不敗に返事をすると、ダッシュで奥の部屋に引っ込む。それからすぐに大きなスーツケースみたいなものを抱えて、部屋に戻ってきた。そこからいくつかの部品らしきものを取り出して、手早く何かを作り始めている。
「何をしておる?」
 東方不敗の問いに、キョウジは振り向きもせずに答える。
「ちょっと、護身具を………」
(『護身具』……のう……)
 キョウジの手元を見ながら、東方不敗は少し呆れるやら感心するやらしてしまう。彼の手元から次から次へと魔法の様に生み出されていくそれは、訳のわからない形をした物もあるし、およそ法治国家の日本においては所持が許されない様な物にも見える。
(相変わらず、人間離れしておる奴よのう……)
 自分の人間離れした強さを棚に上げて、彼はひとしきり唸り続けていた。


「何!? 何なの!?」
 街の境界線付近で留まり続けていたレインは、警官隊の肩越しに見える異常な光景に激しく戸惑っていた。
 最初は街中に、何か黒い影が走っているな、と言う程度にしか見えなかった。だが、妙だとも思った。実際、街の中の住人は全員退避させられていて―――――中にはドモン達以外に人間はいない筈であったのだから。
 しかし、徐々に増えて行く黒い影。訝しく見ているうちに、黒い影の一体と、何故か視線が合ったように感じた、その瞬間。

「ギシャアアアアアアア!!」

 黒い影達が奇声を上げながら、一斉にこちらに向かって突進して来た。
「――――――!!」
 驚くレインたちと、色めき立つ警官隊。だが黒い影達の突進は、唐突に何かにぶつかったような格好になって止まった。それこそが東方不敗が仕掛けた結界の為せる業なのだが、当然レインや警官隊たちには、何が起こっているのか把握できる筈もなく。
 その光景を見た市民の間に、パニックが起きかけた。
「下がって!! もっと下がって!!」
 警官隊が銃を構えながら皆に呼びかける。しかし、恐慌状態になった街の人たちの叫び声で、その指示もかき消されて行った。
「隊長!! 発砲許可をください!!」
 警官の1人が、黒い影に銃を向けながら叫ぶ。
 隊長格の警官は、一瞬迷った。この得体のしれない黒い影は、街の人たちに危害を加える可能性が高い。十二分に、発砲要件を満たしているようにも感じる。しかし、この黒い影達の行動は、何か壁の様な物に阻まれており、その向こうで壁を叩いて騒いでいるだけなのだ。もしもこちらが不用意に発砲して、この黒い影を阻む『壁』の様な物を壊してしまったとしたら。
 それだけではない。もしも発砲した銃声に驚いて、街の人たちがさらなるパニックを引き起こしたら。
「…………!」
 背中に、嫌な汗が伝う。
 難しい判断に、どうする、と、考えていた時に、中から『それ』は起きた。

 ドコオッ!!

 派手な音を立てて、粉じんが舞い上がる。それと同時に、巻き上げられ、弾き飛ばされたと思しき黒い影達が、粉々に四散して行くのが見えた。

「そこ!! もっと離れてくれッ!!」

 若い男性の声が響く。それに正気に帰った警官たちが、慌てて皆を後ろに下がらせた。

 ドオンッ!!

 派手な轟音と共に、壁を叩いていた黒い影達が文字通り四散していた。

「レイン!! 無事かッ!?」

 爆発の煙が収まると同時に、赤いマントをなびかせた青年が、皆に向かって叫ぶ。
「ドモン!!」
 彼女の声を聞いた青年が、それを見て安心したような笑みを見せた。だが、安心してばかりもいられない。青年――――ドモンの後ろに、複数の黒い影が、また迫ってきている。
「ドモン!! 後ろ!!」
 レインの叫び声に、ドモンが振り向くよりも早く、彼の背後で轟音が上がり、黒い影達が吹っ飛ばされていた。
「シャリーたちも無事か!?」
 ドモンの後ろから、チボデー・クロケットがファイティングポーズを崩さぬまま、顔を出す。
「チボデー!!」
 彼と視線が合ったクルーであるギャルズたち4人も、嬉しそうに手を振っていた。
「シャリー! レインや、皆を頼むぞ!!」
「分かったわ! 任せて!!」
 チボデーの言葉に力強く頷くシャリーに、彼も唇の端を少し上げた笑みを見せると、踵を返して、また黒い影達に向かって行った。
「これは一体何なんだ!? 君たちは一体―――――!」
 警官隊の隊長の問いに、ドモンはぶっきらぼうに答える。
「あまり詳しい事は言えん。どうしても俺たちの正体を知りたければ、内閣総理大臣にでも聞いてくれ」
「……………!」
「それよりも、あんたたちはもっとこの街の境界線から皆を下がらせる事に専念してくれ。今は、師匠の張った結界がここを守っているが、この先はどうなるか分からん」
「な…………!」
 絶句する隊長に、横から貴族然とした長髪の青年が、ドモンの言葉を補足するかのように、静かに語りかけて来た。
「あの黒い影達の目的は、『人間の命』です」
「―――――!」
「影達は、『命』の波動に惹かれて集まってきます。ですからお願いです。もう少しこの結界から離れてください。その方が影達を我々におびき寄せることができる。戦いやすくなりますので――――」
「しかし……! それでは君たちが―――――!」
「心配は無用です」
 青年は優雅に笑うと、手をばっと広げる。その手には、無数のナイフが握られていた。

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