農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 13

<<   作成日時 : 2015/09/06 00:26   >>

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「じゃあドモン、もう一つベッドを出すから、手伝ってくれるか?」
「うん、分かった」
 兄弟たちはそのまま、もう一つのベッドをこの部屋に運び込む作業に専念する事になった。


「……それにしても、ハヤブサはともかく、どうしてシュバルツまで起きないんだ? 一体、何があったって言うんだよ?」
「う〜〜〜〜ん………」
 ベッドを部屋に二つセットして、彼らの身体をそこに寝かしつけても、一向に起きる気配を見せないシュバルツとハヤブサに、ドモンは首を捻る。いつものシュバルツであったなら、どんなに眠っているように見えても、自分が声をかけたら必ず、すぐに起きてくれていたと言うのに。
「どうしたんだろうねぇ……?」
 ドモンの問いかけに、明確な答えを返せないキョウジも、首を捻るしかない。
 自分が買い物に出る前まで、普通にハヤブサの横で折り鶴を折っていたシュバルツ。最近行ったメンテナンスでも、異常など見つからなかった。
 なのに、病気で伏せっているハヤブサも、そしてシュバルツも、共に意識が戻らない。
 そして、二人の手は、相変わらずしっかりと握りあわれたままだ。その手の周りには、相変わらず優しく淡い光が、それを守るように包み込んでいた。
(やっぱり、何かあった事は間違いないんだよな………)
 キョウジは、折り鶴の紙を何となく弄びながら、独り考え込んでいた。
 ドモンの話によると、二人はハヤブサのベッド脇で、折り重なるようにして倒れ込んでいたと言う。自分の手元の緊急コールは確かに鳴った。倒れていたシュバルツの姿勢から考えても、自分に直通の緊急コールボタンを押したのは、彼で間違いない筈だった。

 確かに、何か起きている。
 看過できない何かが。
 恐ろしい何かが―――――

 でも、それは何だろう。
 分からないから、余計に性質が悪かった。

(寒い……!)

 うすら寒さを感じて、キョウジは震える。真面目に身体が震えたので、キョウジは思わずドモンに「寒くないか?」と、問うていた。
「えっ? 別に?」
 対してドモンは、きょとん、とした顔をしながら答える。
「…………!」
 それによってキョウジは、寒さを感じているのは真面目に自分だけなのだと感じた。
(それはそうだよな……。今は夏で、『寒い』などと普通なら感じる筈もない……)
 それでは、先程から感じているこの『寒気』は一体。
 風邪でも引いたか―――――と、キョウジが思った時、意外な人物が部屋に入ってきた。

「………心配せずとも良いぞ、キョウジ。その『寒さ』なら、ワシも感じる」

「マスター!!」
 キョウジに「マスター」と呼ばれた『老人』は、三つ網に結った銀色の髪を揺らめかせながら、ゆらり、と、姿を現した。口髭をたくわえ、『老人』と言うにはあまりにも体格のいいその人物は、にやりと笑いながら持ってきたズックをドスン、と床におろすと部屋の一角に落ち着く。
「何やら面白き気配を追って来たのだがな……。まさか、ここに行き当たるとは……」
「師匠!!」
 ドモンは喜々として、その老人の傍に走り寄る。
 この老人こそ、ドモンの『師』にして先代の『キング・オブ・ハート』――――東方不敗マスターアジアその人であった。
「『気配』ですか?」
 東方不敗の言葉に反応して、キョウジが問い返す。自分が、訳の分からない寒気を感じているのとマスターが言うこの『気配』――――何か因果関係があるのか、気になった。
「そうよ……『気配』だ。……それも、とびっきり『邪悪』な物のな」

「ええっ!?」
「何ですって!?」

 東方不敗の言葉を聞いたドモンが、即座に兄の傍に走り寄って身構える。

「おのれッ!! また何者かが、兄さんを狙って来ているのか!?」

「や……多分、私が狙われているとか、そういう話ではないと思うんだけど」
 キョウジはドモンの後ろで冷静に否定するが、ドモンの方が噛みつく様に反論して来た。
「だけど兄さん!! そんなの分からないじゃないか!! 兄さんはよく訳の分からない不幸や理不尽に見舞われたりするから、絶対に油断しちゃ駄目なんだ!!」
 鼻息荒くそう云い張る弟に、キョウジはもう苦笑するしかない。そこに東方不敗から助け船が出された。
「まあそうがっつくな、ドモンよ……。『邪悪な気配』と言っても、まだそこまで危険が迫っている訳でもない。だが、看過も出来ぬレベルになって来ているのも確かなのでな……。ちと武闘家の血が、疼いただけの事よ」
「そうなんですか……」
 東方不敗の言葉にキョウジは何となく納得する。だがドモンは、まだ頭上に疑問符を飛ばしていた。
「しかし師匠!! 邪悪な物の気配は感じているんですよね!? それは一体どこから―――――!?」
「ドモン、お主は何も感じておらんのか?」
 逆に東方不敗から少し驚いたように問い返され、ドモンは一瞬きょとん、となる。
「えっ?」
「寒気とか不快感とか……何かに見られているとか、そう言う気配を、お主は感じぬのか?」
「『みられている』……? 確かに、師匠や兄さんには見られているけど……」
「……………!」
 ドモンのその答えに、東方不敗とキョウジは同時にズルッとこけそうになった。
「キョウジよ……。お主の弟は天然記念物か何かなのか?」
 呆れたように口走る東方不敗に、キョウジも苦笑で答えるしかない。
「ま、まあ………かなり天然入ってますよね……」
 そこがドモンの可愛らしい所でもあるのですが、と、答えるキョウジに、東方不敗も咳払いするしかない。この弟子の天然さは、今に始まった事ではなかった。欠点でもあり強みでもあり、愛すべきそのまっすぐさに、東方不敗もある意味救われたところが多々あるのだから。
「感じておらぬのならまあいい……。いいかお主たち。心して聞けよ」
 気を取り直して東方不敗は語り始める。
「邪悪な気配の匂いを辿って来て――――その出所を、ワシはつきとめた」

「ええっ!?」
「どこですか!? それは――――!」

 驚く兄弟たちに東方不敗はにやりと笑いかけると、おもむろに指を指した。

「この『邪悪な気配』の『源』は―――――あそこじゃ」

「な―――――!!」
 東方不敗の指し示した先を見て、兄弟たちは息を飲む。何故ならそこには、寝台の上で眠り続けるリュウ・ハヤブサの姿があったのだから。

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