農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 14

<<   作成日時 : 2015/09/07 15:48   >>

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「……感じぬか? ドモンよ……。あの者の身体から発せられている、邪悪な気配を―――――」

「邪悪………」
 眉をひそめるドモンの横で、キョウジは息を飲んでいた。
 今まで気がつかなかったが、眠るハヤブサの背中から、黒い『邪気』の様な物がジワリ、と、漏れ出て来ているのが見える。
(そうか……。これが私の感じていた『寒気』の原因……!)
 ハヤブサの病気が治らないのも行動がおかしくなったのも、この『邪気』が原因なのだとしたら、総ての辻褄が合う。しかし―――――
 邪気なんてどうやって治せばいいんだ、と、頭を抱えるキョウジの横で、ドモンが憮然とした表情をしている。
「やっぱりこいつが原因で、シュバルツが気を失っているんじゃないか! あの手を何としても引きはがさないと――――!」
「だからそれは止めておけって、ドモン」
 二人の繋がれている手の周りに見える白い光が、どうしても悪いものには見えないキョウジは、殺気立つドモンをやんわりと止める。東方不敗も、それに同意した。
「そうじゃな……。あの手はそのままにしておいた方が良いかもしれぬ。しかし、キョウジよ……」
「はい」

「お主は、あの二人の手を包む『光』が見えておるのか?」

「ええ。どう言う訳か」
 東方不敗の問いに、キョウジは苦笑しながら答える。
「分かってはおると思うが、あれは常人には見えぬ物の筈ぞ。それが見えるとは、お主――――」
「止めてくださいよ。私は普通の人間の筈です」
 東方不敗の勘繰りを、キョウジは身を引いて否定する。
 自分には、そんなに対して霊感は無かった筈だった。
 だが最近になって時々、普通には見えざる物が見えてしまう現象が起きている。その事で少し悩んでいた自分に、シュバルツが教えてくれた。自分は一度死して、霊体として彷徨っていた経験があるのだと。一度そうして死んでしまった自分を助けるために、ハヤブサが、時を巻き戻せる巫女『かぐや』の力を借りて、時間を巻き戻し、その運命を否定してくれたのだと言う。

「死んで『霊体』になっていたお前と、私は時々話をしていたのだが……覚えていないか?」

 シュバルツのその問いかけに、自分は『覚えていない』と首を振るしか無かった。死んだことすら経験していない事になっているのに、霊体になった時の事など、憶えているはずもない。

「……だよなぁ」

 そう言って笑うシュバルツが、少し淋しそうだったから、キョウジもなんだか申し訳ない様な気持ちになる。
「ご、ごめん、シュバルツ……。覚えてなくて……」
「いや……謝ることでもないだろう、キョウジ。それに、『霊体』になった時の記憶など――――憶えていない方がいいのかもしれない」
「そうなのかな?」
 疑問を呈するキョウジに、シュバルツは「そうだ」と頷く。
「……じゃあもしかしたら、もう一度死んで『霊体』になれば、その時の記憶を思い出すかもしれなかったりして」
 そう言っていたずらっぽく笑うキョウジにシュバルツが「止めてくれ!!」と、怒鳴り声を上げた。
「死なないでくれ、キョウジ……! あんな経験はもうごめんだ!」
 そう言いながらシュバルツは、本当に泣きそうな顔をしている。
「ごめん……。悪かったよ……」
 キョウジはそう言いながら、思わずシュバルツを抱きしめていた。何故か彼が、幼い子供のように見えてしまったから――――
「約束する……。すぐには死なない……。生きる努力を、ちゃんとするよ……」
「キョウジ……!」
「だからシュバルツ……。泣かないで………ね?」
「泣いてなどいない……ッ!」
 涙を流しながらそんな事を言うシュバルツに、「素直じゃないな」とキョウジは苦笑していた。

(でも、こうやって『見えない』はずの物が『見える』様になってしまったから……全く影響がない訳じゃないんだろうな……。一度死んだ経験と言うのは……)

 後で念のために別の機会を捉えてハヤブサにも確認してみたが、彼も『霊体』になっていた自分を確かに見たと言っていた。
 自分が死んでから暫くは、シュバルツと自分は、全くコンタクトが取れていなかったらしいのだが、とある事件を経てからは、シュバルツと自分の間に意志疎通ができる『パイプ』が出来たらしい。度々霊体である自分と話し込んでいるシュバルツの姿を、ハヤブサは陣屋の中でよく目撃していたのだと言う。

「俺も話がしたかったのだがな……。何せ『霊体』であるお前の姿は俺には見えない、声は聞こえないだから――――」

 ハヤブサが言うには、シュバルツ以外には自分の霊体は見えていないようだった。にも拘らず、何故ハヤブサが霊体である自分と話しているシュバルツに気が付いたかと言うと―――――

「……あいつの表情が、酷く穏やかで幸せそうだったからな……。すぐに分かったんだ」

 そう言ってハヤブサが、少し憮然としている。どうしてそんなに怒っているのか、と、キョウジが問えば、龍の忍者は「少し悔しいからだ」と答えていた。

「俺の前ではあんな表情、めったに見せてくれないのに……!」

 そう言ってむくれているハヤブサに、キョウジは苦笑する。
「そうなの? シュバルツは私の前で貴方の話をする時、結構幸せそうな顔をしているけどなぁ」
「本当か!?」
 驚くハヤブサに、キョウジは頷いた。
「本当だよ? シュバルツは本当に、貴方の事が好きなんだな〜って思って、ちょっと妬けるなぁって思っていたぐらいなのに」
「…………!」
 その話を聞いたハヤブサが、耳まで朱に染めている。面白い、と思いながらキョウジがハヤブサの様子を観察していると、そこに所用で外出していたシュバルツが帰ってきた。

「シュバルツ!! 愛している!!」

 部屋に入ってきたシュバルツの姿を確認するなり、ハヤブサはシュバルツに抱きつこうとする。だがそれは、シュバルツの手に持った分厚い本に阻まれていた。

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