農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 35

<<   作成日時 : 2015/10/11 14:39   >>

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 ちょっとキョウジはシュバルツがいてくれた場合を少し頭でシミュレーションしてみる。
「ああもう!」
 そう叫びながら工具を抱えて飛びだしたシュバルツは、停電の原因である電線が分断した場所に辿り着く。
 そこでドモンを説教している間に今度は別の場所が断線して――――
「私は電気工事技師か!!」
 と、怒鳴りながらあちこち走りまわる彼の姿が目に浮かぶようだ。
 駄目だ。
 戦いが終わった後で、静かに切れている彼からドモンと一緒に小1時間八つ当たりに近い説教を喰らうコースが目に見えてくるようだ。
(やっぱり自力で何とかしなきゃ駄目なのか……)
 そう思いながら、眠っているシュバルツを少し恨めしそうに見るキョウジ。今都合よく起きろシュバルツ、と、念を送ってみるが、当然そんな物でシュバルツが起きる筈もなく。
「キョウジ!! この戦い、72時間以内に決着をつけるぞ!!」
 目の前で東方不敗は東方不敗で、とても嬉しそうに戦っている。そこに「あの………発電機を作りたいんですけど………」などと提案しようものなら、
「馬鹿者!! 男児ならば潔く、短期決戦で決着をつけんか!!」
と、身も蓋もなく怒鳴りかえされるのが目に見えるようだ。
(ああもう………!)
 キョウジは深いため息を一つ吐いた後―――――顔を上げた。

 仕方がない。
 やるしかない。
 とにかく――――絶対に『保険』は必要なのだから。

(見極めなければ……)
 ショットガンに弾込めをしながら、キョウジは東方不敗の方を見る。
 今までは、この人の戦いをフォローする戦いを、自分はしてきた。しかし、この先は違う。
 この人が、この状況下で何処まで自分を守って戦えるか、見極めなければならないと思う。
 まだ動きに、技に、余裕がある様に見える東方不敗。もう少し、自分が戦いに手を出すのを止めても、大丈夫なように見える。
 ならば、自分は少し、戦いに手を出すのを止めてみる。
 その間に――――きっと、発電機を作っていく隙も、見つけることができるだろう。
 キョウジは片手でショットガンを構えながら、もう片方の手で工具箱を引き寄せていた。

(フフフ……。キョウジめ……。また何か考えておるな……)

 キョウジの戦い方が変わったこと―――――気づかぬ東方不敗ではない。
 だがどう変わろうと、自分のやる事に変わりはない。
 自分はただ――――キョウジを守り抜くのみなのだ。
 キョウジがどのような手を打とうと、それを信じ抜くのみなのだ。

「さあ!! もっとかかって来んか!!」

 戦いの喜びに震える老人の瞳に、さらに凶悪な光が宿り始めていた。


「へっくしょん!」

 間抜けなくしゃみを放ってしまった瞬間、ハヤブサの刀が身に肉薄していた。
「おっと!!」
 すぐにシュバルツは、体勢を立て直して避ける。大きな隙を見逃して、「チッ!」と、舌打ちをする少年ハヤブサの姿が、すぐ目の前に在った。
 そのまますぐに、剣の打ち合いが始まる。激しい金属音と青白い火花が、二人の間に爆ぜた。
 太刀を合わせながら、シュバルツはどこか懐かしささえ感じる。こんな風に真剣に、ハヤブサと剣を交えるのは、一体、いつ以来だろう?
 鋭い打ち込み―――――だが。

「甘い!!」

 僅かに生じた隙を突いて、シュバルツはハヤブサの身体に、剣の峰を入れる。
「ぐっ!!」
 吹っ飛ばされて尻餅をついたハヤブサに、男からの容赦ない指導の声が飛ぶ。
「切っ先を簡単に下げるなと言っただろう!! 今みたいに打ち込まれるぞ!!」
「…………!」
 ギリ、と歯を食いしばった少年ハヤブサであるが、すぐに立ち上がり、こちらに向かってくる。
(やはり強いな、ハヤブサは………)
 『仇』と目している男から剣の指導を受けるなど、彼にとっては屈辱以外の何者でもないだろうに。それらをすべて飲み込んで――――目的のために突き進むハヤブサの強さ、したたかさは、やはり得難いものだと思うのだ。
 早く思い出せ、ハヤブサ。
 お前は間違いなく――――龍剣に選ばれし『龍の忍者』なのだから。

(強い……!)

 剣を振るいながら、ハヤブサは男の強さに改めて、ある種の敬意を払う。
 最初に『本気を出せ!』と、挑みかかった勝負は、あっという間に終わった。
 刀を構えて睨み合っていた――――と思った刹那、男の姿が自分の視界から消えた。
「―――――!?」
 あいつは何処だ、と探す間もなく、あっという間に自分の身体が吹っ飛ばされる。何が起こったか分からぬうちに、気がつけば自分の喉元に、男の刀の切っ先が突きつけられていた。
「勝負あったな」
 そう言いながら、刀を引く男。自分は、あまりにも男との腕の差が開きすぎている事実に、茫然とするしか無かった。
(これからどうすればいいのだろう)
 己の剣の腕の未熟さを痛感して、座りこんでしまっているハヤブサに、男から声がかけられる。
「君は攻撃を仕掛けようとする瞬間に、刀の切っ先を下げ過ぎる癖があるな。直した方がいい」
「…………!」
 驚いて顔を上げるハヤブサに、男から更に声がかけられる。

「座り込んでいる暇は無いぞ」

「―――――!」

「もう一勝負―――――行くか?」

「望むところだッ!!」

 そしてそのまま何度も男に挑みかかって―――――現在に至る。
 男が修行をつけてくれるのはありがたいのだが、本当に――――いいのだろうか?
 確かに、男の目的は『自分に龍剣を手に入れさせる事』――――だ。それに向かっての男の言動行動は一貫しているように見える。
 しかし。
 男の『目的』が、いまいち明確に見えてこない。
 自分に龍剣を手に入れさせて―――――一体、どうするつもりなのだろう。

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