農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 36

<<   作成日時 : 2015/10/13 23:59   >>

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「ここから外に出たい」
 男はそう言った。
 しかし―――――外に出る以外に、何か目的は無いのだろうか?
(それに、妙だ)
 戦いながらハヤブサは、時折奇妙な感覚にとらわれる。
 早く鋭い、男の剣。
 だが自分は、何故かこの男の剣を知っている様な気がする。妙な懐かしさすら感じて戸惑ってしまう。
 何故だ?
 この男と太刀を交えるのは、ここが初めての筈なのに。
 時折感じる―――――妙な懐かしさは何なのだろう?

 ガツン!!

 何度目かの太刀を合わせて、体を入れ替えた時―――――男が提案してきた。

「少し休憩をしよう」

「まだ戦える!!」
 息巻く自分に、男が苦笑しながら宥めて来た。
「落ちつけハヤブサ。私を相手に燃焼し切ってどうする」
「……………!」
「君が真に戦うべきは、あの『守護者』だ……。そうだろう?」
 この言葉に、ハヤブサは反論の余地を失う。あきらめたようにどかっと座ると、男が竹筒を差し出してきた。それを少々乱暴にひったくると、男は軽く苦笑しながら少し離れた場所に腰を落ち着ける。つかず離れずと言ったところの位置―――――それが、今の二人の距離感だった。
 こくこくと水を飲み、一息を吐く。落ちついてくると、脳裏に描くのは先程の男との戦いだった。

 太刀捌き。
 何処を踏みこんで、どう打たれたか。
 次はどうすればいいか。
 打たれないためには。
 打ちこむためには―――――

 無意識のうちに口が動き、手が動く。
(熱心だな………)
 その様を見て、シュバルツは感心するやら呆れるやらしてしまう。剣術の修行に余念がないハヤブサ。なる程、強くなる訳だ。
 飽くことない強さへの求道―――――その根源に、流れる物は何なのだろう。
 知りたいと思った。
 しかし、今のハヤブサからは、絶対にそれを聞きだす事は不可能だろう。自分は『仇』と憎まれている。そんな人間に、自分の根本に流れる大切な物を、おいそれと話してくれるとは思えない。
 今はそれよりも、ハヤブサの修行の手助けをするべきだ。それが―――――この世界の自分に課せられた、役目なのだろうから。
「―――――!」
 ふと気配を感じて振り向くと、龍剣の前に『仁王』が姿を現して、こちらを睨み据えていた。

 ――――龍剣を、欲する者は誰だ?

 静かにそう、問いかけるかのように。

「ハヤブサ」
 呼び掛けると、少年ハヤブサも気がついたのか、剣を手に立ち上がった。ふうっと小さく息を吐き、歩み始める。そして、自分の横を彼が通り抜ける時――――ある事実に気がついた。
(背が伸びた?)
 そう思いながら後ろ姿を見送ると、子供じみていた彼の背格好に、いつの間にか青年の匂いが混じり始めている。声も、少年の高い声から大人の低い声への過渡期なのか、少し低く、かすれ気味になっていた。
(成長している………? そうか、ここは彼の『心』の世界なのだから―――――)
 彼の心が少しずつ己を取り戻して行くたびに、彼の外見も成長する。そう捉えてよさそうだった。
(思い出してくれ、ハヤブサ……。お前の本来の姿を――――)
 ハヤブサの後ろ姿を、シュバルツは祈るように見つめる。彼が総てを思い出すために、自分は、どうすればいいのだろう。
「…………!」
 ふと、強烈な殺気を感じてシュバルツは振り返る。
 すると、空間に『ひび』が入り、その隙間から巨大な黒い化け物の様な塊が、こちらを覗いていた。ひびの淵に鋭い爪をかけ、こちらの空間に強引に入り込もうとしている。ぎょろり、と、鋭い眼光がシュバルツを睨み据え、巨大な口から牙を覗かせながら、唸り声を上げていた。
(ハヤブサの戦いを、邪魔させる訳にはいかない)
 強くそう感じて、シュバルツは抜刀しながら黒い化け物の方に歩き出す。どんな形の化け物なのか見極めようとシュバルツが目を凝らすと、こじ開けて入ってこようとしている化け物の後ろに、もう一つぎょろりと光る眼光がある。
(2体か………)
 シュバルツは小さく息を吐くと、改めて刀を構えなおしていた。


「フン! 他愛ない奴らよ」

 この部屋にいた最後の『影』を四散させると、東方不敗はふうっと息を吐いていた。顔には不敵な笑みが浮かんでいるが、額からは汗が滴っている。
(す、すごい……!)
 キョウジは東方不敗の後ろ姿を、ある種の畏敬と感慨を持って眺めていた。
 ある程度結界に守られているとはいえ―――――最後の方は、ほぼ自分は手助けをしなかった。それであれだけ自分たちの周りをひしめいていた、有象無象の影達を、総て屠ってしまうとは。
 この人の強さは本当に底が見えない。
 一体――――どれほどの力を秘めているのだろう?
「フフフ……キョウジよ……。わしの力を測りおったな?」
 にやりと笑いながら図星を突いてくる東方不敗に、キョウジも苦笑するしかない。
「あはは………ばれてました?」
「あれだけ手助けをしておった物が止めば、どんな鈍感な者でも気が付く。………どうじゃ? キョウジよ……。ワシの力――――お主の期待に見合う物であったか?」
「想像以上でした」
 キョウジは素直な感想を述べる。それを聞いた東方不敗は、満足そうにその面に笑みを浮かべた。内心主と仰ぐキョウジに認められた事が、東方不敗にとって喜ばしい事であるのだろう。
「一まず攻撃は止んだようじゃが……油断するでないぞ? 敵の数も強さも――――こんな物では済まぬじゃろうからな」

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