農家の嫁の日記

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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 68

<<   作成日時 : 2015/12/24 14:06   >>

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 では、こんなに殺気を漂わせている、男の『真の目的』とは何だ?

 ハヤブサは懸命に、今までの男の言動行動を思い出す。

 龍剣を、自ら手に入れる気はないと言った。
 俺に龍剣を手に入れさせるという目的の元、男の行動は一貫していた。
 そして俺は、龍剣を手に入れることができた。男の言葉によると、自分が龍剣を手に入れることができれば、この閉じられた空間から抜け出せるという。
(しかし……もうこの状態だと、龍剣を持ってなくても外に出られそうだがな……)
 ハヤブサは渋い顔をしながら、あちこちに亀裂が走り、ボロボロになっている祠の結界の状態を見る。どうやらこの結界と龍剣の間には、結界を解く『鍵』のような明確な関係があるわけでもなさそうだった。

 では、龍剣を手に入れた俺に、あの男は何を望む?
 いったい何を―――――

「……………!」

 ハヤブサはここで、ある可能性に行き当たっていた。


(クククク……。まさかあの男が、こちらの期待通りの動きを、してくれるとはな………)

 漆黒の闇の中、ラクシャサは邪悪にほほ笑む。予定では、シュバルツを操り、ハヤブサに彼を殺させて―――――龍の忍者が絶望の淵に叩き落されたところを、『憑代』として乗っ取るつもりであったのだが。

 何故かこちらが操らずとも、ハヤブサに斬られたがっているシュバルツ。

 非常に好都合だった。このままいけば、こちらの魔力を消耗せずとも、龍の忍者の身体を容易く手に入れることができるだろう。
(龍の忍者にかけてある『まやかし』を解くのは、あの男が斬られてからで良いな……。さあ、存分に絶望するのだ。リュウ・ハヤブサ………)
 ラクシャサは、己が解放される瞬間を、今か今かと待ち構えていた。


(まさかこいつ……! 俺に斬られたがっている………?)

 剣の修業をつける前に、あの男の身体は龍剣でなければ殺すことはできないと、確かにハヤブサは男から説明を受けていた。
 もしも
 もしも万が一、男の目的がそれだとしたら。
 死ねない自分の身体を抹殺するために。
 龍剣に斬られるために、俺の修業を手伝ったのだとしたら―――――

 今、こうして目の前で凄絶な殺気を漂わせながら立っている男の言動行動の辻褄が、ハヤブサの中ですべて合ってしまう。

「……………!」
 あまりのことに、背中に寒気が走った。それと同時に、自分の中で怒りにも似た感情が、あとからあとから湧き上がってきた。
(……ふざけるな……!)
 きつく龍剣を握りしめ、歯を食いしばる。

 この男にどんな事情があるのかは知らない。
 だが、男の自殺願望に、付き合う義理は無いと思った。
 生きてこそ―――――
 生きるからこそ、前に進める。罪を犯していたとしても、償う機会に恵まれるのではないのか。
 それを、安易に死を選ぶなど許せない。
 死んでしまったらそれまでではないか。
 何もかもが途中で途切れて、そこで終わってしまうのではないのか。

 自分は人間で、命に限りがある身だから、『不死』の苦しみなんて知らないし、理解もできない。
 だがこの男を、自分の手で今ここで殺したくはなかった。
 仇でもないし、男の事情を何も分からないのに『敵だから』という短絡的な理由だけで、切り捨ててしまいたくはない。繰り返し言うが、自分の方には男を斬る理由など、全くないのだから。

(男を斬らない決意をする……やはり、俺は甘いのかな)

 ハヤブサはそう感じて、知らず、苦笑してしまう。
「『敵』と断定したならば、情けなどかけず、迷わず斬り捨てろ」
 これが、自分が歩んでいく世界のセオリーであるのだから。
 それなのに、自分は今また、『敵』かもしれぬ相手に、要らぬ情けをかけようとしている。父がそれを知ったら、また、大目玉を喰らってしまうことだろう。

 だけど、自分はまだ足掻いているのかもしれない。
 人間に、世界に、問いかけたいのかもしれない。

 信じていい、優しい『光』はここにあるのかと。
 修羅だけではない、裏切りだけではない綺麗な世界が、まだそこにあるのかと。

 信じたい。
 信じさせて、くれ。

 男から放たれる殺気は空気を切り裂き、はち切れんばかりに膨れ上がっている。手にした白刃がギラリと不吉な光を放ち、『お前を殺す』と明確な意思を伝えてきている。
 それなのに、自分は、この男をまだ信じようとしている。この決断はおかしい。まったく、狂気じみている。

 だが―――――賭けてもいい。
 この男は、おそらく自分を斬っては来ない。
 陰に日向に俺の修業を支え続けてくれていたこの男が、この土壇場の局面で、いきなり自分を裏切ると考える方が、自分にとっては不自然すぎるのだから。

 ――――モシ、本当ニ斬ラレタラ、ドウスル?

 誰かの声が、頭に響く。ハヤブサはそれに、微笑みながら頭を振った。

 斬られるのなら、それもいい。
 だが、龍剣の声に負けて、自分の恐怖心に負けて――――
 斬らなくてもいい男を斬る。この男の自殺の手伝いをする。それだけは――――

 絶対に、いやだ。
 龍剣よ。お前が喰らうものは、俺が決める。
 たとえ死んでも、お前の言いなりになど、なってやらない。

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