農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 71

<<   作成日時 : 2016/01/03 02:21   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

    第5章


(おや?)
 邪神ラクシャサは、すぐに気が付く。今攻撃を仕掛けた者の、その身体の異常性に。
 人間ではない、異物でできたその身体は―――――自分の『負の魔力』と、不思議とよく馴染んだ。
(なんと………! 龍の忍者以上に、わが『憑代』となるのにふさわしき存在が、ここにいるとはな………!)
 ラクシャサはほくそ笑みながら、捕まえた獲物を我が物にするべく、攻撃を開始していた。

「く………! う…………!」
 腹に突き刺さった触手が、シュバルツの身体を侵食していくのが分かった。

「おのれッ!!」

 すぐにハヤブサは、シュバルツに刺さる触手を龍剣で断ち切った。しかしそれで、ラクシャサの悪意に満ちた魔力が止まるはずもなく。
 シュバルツは『人間』の形をすぐに保てなくなってしまった。
 ボコッ!! ボコォッ!!
 不吉な音を立てて、歪に変形していくシュバルツの身体。

「シュバルツ!!」

 ハヤブサは咄嗟に、シュバルツのわずかに残る右手に必死に手を伸ばし――――そこを握りしめていた。


「―――――!?」

 シュバルツを突然襲った悲劇は、当然外界でキョウジが懸命に治療をしている『本体』の方にもすぐに影響を及ぼしていた。
 ブシュッ!! と、音を立てて、シュバルツの腹の付近が突然裂ける。
「な―――――!!」
 驚いたキョウジが、慌ててそこに手を伸ばそうとした、刹那。

 ドグワァッ!!

 轟音を立てて、シュバルツの腹から無数の触手のようなケーブルが伸びる。
「いけない!!」
 それがDG細胞が暴走したせいだと気付いたキョウジは、すぐに腹の傷口に高圧電流を流し込む。そのショックで、ケーブルの動きがピタッと止まった。
「止まったか!?」
 東方不敗がそう声を上げた、次の瞬間。

 ドゴォッ!!

 キョウジの治療をあざ笑うかのように、爆音とともにさらに多くの触手のようなケーブルが、シュバルツの腹から飛び出してくる。それは、隣で寝ていたハヤブサの身体をも巻き込んで、うねりながら、一つの巨大な『樹』のように成長していった。
「シュバルツ!! シュバルツ!!」
「危ない!! キョウジ!!」

 なおもシュバルツの治療を続けようとしたキョウジであるが、このケーブルの勢いに巻き込まれたら危険だと判断した東方不敗がそれを無理やり止めた。シュバルツに縋ろうとするキョウジを強引に引き剝がして、そこから横っ飛びにジャンプする。それと同時に、キョウジのいたところに伸びてきた触手のようなケーブルが、獲物を捕らえられずに空回りするような動きをするのが見えた。
「そ、そんな……! シュバルツ!! シュバルツ――――ッ!!」
「キョウジ!! 危ない!! 落ち着かんか!!」
「放してください!! マスター!! シュバルツを助けないと!!」
 キョウジは叫びながら、東方不敗の腕から逃れようと必死に足掻く。だが、東方不敗は頑としてそれを聞き入れなかった。東方不敗にとっては何を置いてもキョウジの命が最優先であるが故に、たとえ彼の意思に反していたとしても、その命に危険が及ぶようなことを、許すわけにはいかなかった。シュバルツの元に向かおうとするキョウジを、必死に押さえ続ける。
 そしてその行為は、東方不敗にとっては、敵の前に無防備にその背中を晒すことにつながった。当然周りのモンスターたちが、そんな隙だらけの東方不敗の姿を見逃すわけもなく―――――ここぞとばかりに彼に向かってモンスターたちが殺到し始めた。
「…………!」
 当然それに、東方不敗も気づく。しかし彼が、自身の保身のためにキョウジを手放すことを選ぶはずもなく。モンスターたちのいくつかの攻撃が、キョウジを押さえ、庇い続ける東方不敗の背中にダメージを与えた。

「ぐうっ!!」

 悲鳴はかみ殺すが、低い呻きは漏れる。その声に、キョウジはようやく状況に気付き、東方不敗の腕の中で暴れるのをやめた。
「マスター!!」
「案ずるでない! こんなものは、かすり傷じゃ!!」
「で、でも………!」
 言っているそばから、さらに殺到してくるモンスターたちの攻撃。
「マスター!!」
 顔色が変わるキョウジ。しかし、東方不敗がキョウジを庇うことをやめるはずもなく。彼はキョウジを深く抱き込みながら、襲い来る背中の痛みを予感した。だがその予感は、見事に外れることとなった。

 バシッ!! バシッ!!

 東方不敗とモンスターたちの間に飛び込んできた小さな影が、彼への攻撃をことごとく蹴散らす。
「大丈夫か!?」
 声をかけてきたサイ・サイシーに、東方不敗もその身をのそりと起こした。
「………礼は言わんぞ!」
「要らないよ!」
 東方不敗の言葉に、少年もぶっきらぼうに答えた。
「おいらが助けたのは、キョウジの兄ちゃんだ!」
 サイ・サイシーの言葉に東方不敗はフン、と、鼻を鳴らし、キョウジはかなり冷静さを取り戻していた。
 そうだ。自分の不用意な行動は、皆を思わぬ危険に晒してしまうことにつながるのだ。落ち着いて、冷静に事を判断せねばならぬと、キョウジは自分で自分に喝を入れる。
「……………」
 自分が押さえつける手を緩めても、シュバルツの方に不用意に走っていこうとしないキョウジの様子に、東方不敗もようやく安堵のため息を漏らす。キョウジをモンスターたちから背中で庇いながら、皆の方に向き直った。
「あれは……シュバルツ殿なのか?」
 サイ・サイシーより少し遅れて二人のそばにやってきたアルゴが、『樹』のように聳え立つ黒いケーブルの塊を見ながら、問いかけてくる。それに、キョウジはほぞをかみながらも頷いた。
「ああ……。残念ながら、そうみたいだ……」
「シュバルツがあんなになるなんて…………ドモンの兄貴は何をしているんだよ!?」
「ドモン………!」
 サイ・サイシーの言葉に、キョウジは、異界に行っている弟の言葉を思い出す。
「兄さんのために、必ずシュバルツを連れて帰ってくる!!」
 あの弟は、確かにそう言い切っていた。彼は今、どこで何をしているのだろう? シュバルツがこうなってしまったことに、彼は気づいているのだろうか?

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

龍と剣と、その拳と 71 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる