農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 龍と剣と、その拳と 80

<<   作成日時 : 2016/01/15 14:39   >>

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 だが当然、そんな制止が間に合うはずもなく、ドモンの拳は球体に向かって動いた。
「―――――!」
 それは、シュバルツにしてみれば脊髄反射のようなものだったのだろう。
 ハヤブサの様子から弟の危機を察してしまった兄の身体は、勝手に動いていた。
(やっぱりか!)
 シュバルツが動くと察していたハヤブサも、間髪入れずに動いた。
 すべては、愛おしいヒトを失いたくない――――その一心からであった。

 ドモンの拳と、球体が接触したその瞬間。

 弾け飛んだ球体から、放射線状に勢いよく飛び出してくる――――質量を伴った『闇』

「ドモン!!」


 その闇が弟に襲い掛かる前に、兄の身体が弟を庇う。そしてその庇うシュバルツの前に、ハヤブサが体を入れた。

 ドゴオオオオオオッ!!

 轟音とともに、その一帯は闇に包まれて―――――

 そこが静けさを取り戻した時には、その場所には誰もいなくなっていた。邪神ラクシャサを除いて―――――

「ククッ………フハハハハハ!」

 邪神の、勝ち誇った笑い声が、辺りに響く。

「思い知ったか! 人間共め! わがディメンション・ホールの力を!! 貴様たちは次元と次元のはざまに落ちた!! 己が無力を呪いながら、そこで朽ち果てていくがよい!!」
 ただ、自分の『核』となるべきものまで、一緒に次元のはざまに落としてしまったのは残念だった。あれだけは手元に残して、着実に自分の中に取り込みたかったのだが。
 ただラクシャサは、無言で復活した自分の身体と、手足を見る。このまま地上に出ても、問題ないほどに身体は出来上がっていた。それに、自分が人間界へ進出するのを阻んでいた龍の忍者の結界も、今はもうない。
(完全復活に足りなかったエネルギーは、人間界で補えばよいか)
 ラクシャサはそう判断すると、もう一度あの闇の球体を今度は己が掌から三体生み出した。己の身体を、人間界に運び上げるために。
『クククク………。待っておれ、人間共め………』
 フオン、と音を立てて、闇の球体が不吉な輝きを帯びる。それがそのままどんどん膨れ上がり――――
 球体同士が接触した瞬間、凄まじい轟音と粉塵が巻き上がった。
 そして、それらが収まり、辺りに静けさが戻ったとき―――――
 その空間には、もはや誰の姿もなかった。


「ぐっ!!」
「うわっ!!」

 間抜けな悲鳴とともにチボデーとジョルジュがキョウジたちのそばに現れた時、そこにいた一同は、ただ目を丸くするしかなかった。
「チボデー! ジョルジュ!」
「どうしたんだよ!? ドモンの兄貴は一緒じゃないのか!?」
 アルゴとサイ・サイシーの呼びかけに、チボデーは肩をすくめるしかなかった。
「いや、それが―――――俺達にもよくわからないんだよ」
「ええ………敵に攻撃を仕掛けていたら、急に激しい爆発が起こって―――――」
「ドモンはどうした!?」
 キョウジの問いかけに、チボデーは首を振るしかない。
「ドモンは、向こうの世界でシュバルツとハヤブサを見つけたんだ。だが、俺たちがそこにたどり着いたときには、シュバルツがもう既に敵の手に落ちて、その姿が変えられていて―――――」
「それでもドモンは、その中にシュバルツさんの『本体』を見つけたようなんです」
 補足説明をするように、ジョルジュが口を開く。
「ドモンはその『本体』のほうに飛び込んでいったんです。我々は外から援護しようと攻撃を仕掛けていたら、いきなり爆発が起こって………」
「おい!! 何だこりゃあ!?」
 ここでようやく現実世界でも変わり果ててしまったシュバルツの姿に気がついて、チボデーが素っ頓狂な悲鳴を上げる。
「まさか………?」
 問いかけるジョルジュに、キョウジは苦い顔をして頷いた。
「そう………あれは、『シュバルツ』だ………」
 その刹那、激しい地鳴りと唸り声が、辺りの空気を揺らす。ドグワッ!! と、響き渡る粉塵を伴った轟音。そして、これまで沈黙を守っていた『シュバルツ』が、ここで初めて動いた。その身体が一回り大きくなり、盗聴部分にヒトの形をした『モノ』が現れる。

「クククク………初めまして、かな? 人間共よ……」

「……………!」
 それを見聞きした瞬間、キョウジは全身が怒りで総毛だつのを感じた。何故ならその『モノ』は―――――『シュバルツ』の形を模していたのだから。
「そして……すぐに別れることになる……。貴様たちは―――――」
「――――お前、何者だ? シュバルツはどうした!?」
 静かだが、ひどく鋭い響きを持った声が、ラクシャサの言葉を遮る。ラクシャサがそちらに視線を向けると、自分が模した格好と同じ姿をした男が、そこに佇んでいた。
「ほう……面白き姿をした者よ。お前は何者だ?」
「シュバルツはどこだと聞いている!!」
 ラクシャサの問いを聞き終わるより先に、声を荒らげるキョウジ。それに『シュバルツ』の格好を模したラクシャサは、冷笑を以って答えた。

「吾が、シュバルツだ」

「嘘だ!! お前はシュバルツではない!!」

 ラクシャサの言葉を一刀両断にするキョウジ。いつもの穏やかな彼の様子からは、考えられない激しさだった。東方不敗はそんなキョウジの様子を見て、その面ににやりと笑みを浮かべた。普段温厚なこの男が隠し持つ鋭い牙―――――それが剥き出しになる瞬間を見るのは、やはり、何度見てもいいものだと、東方不敗は思った。
 それに、キョウジがこれだけ激高するということは、相手は『邪悪』以外の何者でもなく、それは存分に叩きのめしていい、ということになるのだから。
(さあ……わが主はお怒りだ。フフフ……腕が鳴るわい)
 東方不敗は今――――歓喜に震える自分の身体を、抑えるのに苦労しなければならなかった。

「シュバルツはどこだ!? シュバルツを出せ!!」

 そんな東方不敗の心情を知ってか知らずか、激高するキョウジの言葉はなおも続いた。

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