農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 龍と剣と、その拳と 95

<<   作成日時 : 2016/02/10 01:34   >>

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

「う………! う………!」
 光が爆ぜ、爆風が渦を巻く。
 次元を突き破ろうとする衝撃が、ハヤブサたちを襲う。
「ぐ…………!」

(切れるな! 破れるな……!)

 押しつぶされそうな衝撃の嵐の中、ハヤブサはただそれだけを祈った。
 愛おしいヒトを、キョウジの元に帰したい。
 二人で、幸せそうに笑いあっていてほしい。
 それ以外の、望みはなかった。

 それが叶うのならば、自分の身はどうなってもいい。
 必要ならば、この命だって喜んで差し出す。

 だからお願いだ。
 今だけ、どうか
 どうか―――――

「ああ……! ハヤブサ……!」

 ハヤブサの顔色は悪く、口の端から血がしたたり落ちている。
 印を結ぶ、その指先が震え続けている。もう限界が――――近いのだろう。

 もういい、止めてくれ!

 もうシュバルツは、ハヤブサに向かって何度、そう叫びそうになったか分からない。
 だが、叫べなかった。
 ハヤブサの命がけの行為を止める手段など、自分は持ち合わせてはいなかった。
 止めるべきではない。
 止めるべきではないのだ。
 彼の『パートナー』でいたいと、そう望むのならば。

 自分に出来ることといえば
 ハヤブサの身体をしっかりと抱きしめて
 ここから脱出しようとしているドモンの後ろを、離れずについていくことぐらいだ。

 確かに、自分はキョウジの元へ帰りたいと願っている。
 だがそれは、ハヤブサの命と引き換えにしてまで、叶えたい願いではなかった。
 今ここでハヤブサを殺してしまうぐらいなら、自分独りで次元の狭間を永遠に彷徨ったほうが、余程ましだった。
「ハヤブサ……!」
 苦しむハヤブサの身体を、せめて抱きしめる。
 万が一結界が解けて、時空の嵐の中に投げ出されたとしても――――何が起こっても、せめて彼の身体を守れるように。
(本当なら、彼だけでも……現実の世界に返してやりたいのだがな……)
 今の段階では、自分にそれができるだけの有効な手段を持ち合わせていない事実。重くシュバルツの胸に突き刺さった。

 なんて、無力。
 なんて無力なのだろう。

「うおりゃあああああああっ!!」

 黄金の光を纏ったドモンが、撃ち抜いた鳥の方に向かって真っすぐ突き進んでいく。シュバルツもそのあとに続いた。進めば進むほど、前方に明るい光が射し込んできて、周りが明るくなっていくのが分かった。
「頑張れ!! ハヤブサ!! 後少しだ!!」
 出口が近いと確信したシュバルツは、ハヤブサを励ますために声をかける。しかし、龍の忍者から反応が返ってくることはなかった。彼は蒼白な顔色をしたまま――――唇を真一文字に引き結んで、印を組み続けている。もうこちらに応える余裕すら、彼にはないのだろう。

「壁がある――――!」

 前方を進んでいたドモンから、声が上がった。石破天驚拳と共に飛び続けていた鳥が、その壁の向こうにすっと消える。そのあとに天驚拳が、間をおかずに壁に激突した。雷鳴のような轟音とともに、あたりに衝撃波が走り――――その壁にひびが入る。
(出口だ……!)
 直感的にそう判断したドモンは、再び構えをとった。
「撃ち抜く!! 兄さん、下がってて!!」
「――――!」
 ドモンの言葉に、シュバルツははっと息をのむ。
 そして、覚悟を決める。
 もしかしたら次に受ける衝撃で、もうハヤブサの結界が、保てなくなるかもしれないからだ。
 シュバルツは瞬時に、ありとあらゆる事態をシミュレートする。
(結界が解けてしまっても、一瞬でいい。外の世界とつながった瞬間に、ハヤブサをそこに放り込むことが出来さえすれば――――!)
 外の世界にはキョウジがいる。彼ならば、ハヤブサを助けることができるだろう。
 シュバルツはハヤブサを抱きしめる手に、ぐっと力を入れていた。

「石破!! 天驚拳!!」

 ドモンから放たれた天驚拳が、凄まじい轟音を伴って、壁に激突する。
 光が爆ぜ、粉塵が舞い上がる。
 振動が
 衝撃波が
 ハヤブサの結界を襲う。

「――――――」

 龍の忍者はとうとう、物も言わずに昏倒してしまった。
「ハヤブサ!!」
 シュバルツは覚悟を決めた。
 ついに結界が切れ―――――
「……………」
(切れない?)
 ハヤブサは昏倒し、いつその術が切れてもおかしくない状態であるのに、相変わらず自分の周りは、静寂が保たれたまま――――結界が張られていると悟る。
(まさか………ハヤブサが………?)
 ハヤブサは、印を結んだまま昏倒していた。もしかしたらその状態でも結界を張り続けることは可能ではあろうが、強度と安定性に支障が出てきてもおかしくはないはずだった。
(私が結界を張れるわけはないし……。では、いったい誰だ? 誰が、何が――――この安定した結界を、張ってくれているんだ?)
 疑問に思ったシュバルツは、周りを見渡す。そしてそこで、あるものを見つけた。
 

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