農家の嫁の日記

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zoom RSS マリオネット狂想曲 25

<<   作成日時 : 2016/05/24 14:16   >>

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 龍の忍者の頭の中には、逃走ルートが完全に入っている。
 追っ手を撃退しながら、二人は確実に、脱出地点へと向かっていた。

「ありがとう。リュウ……」

 道中でぽつりと、アーサーに言われる。
「俺を助けるために、わざわざ………」
「礼を言うのなら、お前を助けるために動いてくれた同僚たちと、エージェントと、俺を雇うために金を出してくれた政府に言うんだな」
「…………!」
「それを言うためにも、お前は生き延びねばならん。俺がこうしてここにいるのも、皆の意志が働いた結果なのだから」
「……………」
 黙り込むアーサーの手を引き、ハヤブサは走る。
 脱出用の空輸機が待ち構えている地点まで、あと少しと言うところまで迫った。

「いたぞ!!」

 怒号とともに、再び降り注ぐ銃弾の嵐。
「ちぃっ!!」
 ハヤブサはアーサーを建物の陰にかくまうと、追っ手の方に立ち向かっていく。疾走する黒い影は、屋根の上から銃を乱射していた追っ手の一団を、あっという間に駆逐していた。そのまま跳躍した龍の忍者は、路地からアーサーを狙っていた一団のど真ん中に、上空から突っ込んでいく。
「うわっ!」
「おのれ!!」
 不意を突かれた追っ手の兵士の数名が、ハヤブサに向かって銃を向ける。

「馬鹿っ!! 撃つな!!」

 隊長格の男がとっさに指示を出すが、間に合わなかった。狭い路地で発射された銃弾は、同志討ちの悲劇をそこに巻き起こす。

「覇――――――ッ!!」

 銃弾の嵐の中を、裂帛の気合とともに走り抜ける黒い影。戦いの喧騒が静寂に包まれるまで、そんなに時間はかからなかった。
「さすがだな、リュウ!」
 追っ手を駆逐し、こちらに向かって走ってくるハヤブサに向かって、アーサーは素直に賛辞を送る。
「行くぞ!」
 ハヤブサはその手を取って、再び走り出していた。


 町中から、少し開けた郊外にたどり着く。
 目の前には、脱出用の空輸艇が止まっていた。
「アーサー殿! ハヤブサ殿! お早く!!」
 中から同じように捕えられ、ハヤブサに助けられたアーサーの部下たちが口々に叫んでいる。
「今行く!!」
 アーサーもそれに笑顔で応え、空輸艇に向かって走り出す。だが、次の瞬間、艇の中から叫んでいた部下たちの、顔色が変わった。
「追手が――――!」
「――――!」
 それに気づいたハヤブサは、アーサーの背を艇に向かって押した。
「リュウ!?」
 驚くアーサーに、ハヤブサは追っ手を見据えながら叫ぶ。

「アーサー!! 走れ!! 俺に構わず艇に乗れ!!」

「な―――――!」
「俺の『任務』は『お前』をここから脱出させることだ!! ここで死なれたら困る!!」
「…………!」
「行け!! 空輸艇が破壊されたら何にもならん!!」
 ハヤブサの気迫に、一瞬、気圧されるアーサー。しかし、かろうじて彼は問い返していた。
「リュウ、お前はどうするんだ……!?」
「俺のことなら心配いらん。どうにでもなる」

 嘘だ。
 本当はここから脱出する安全な経路は、この空輸艇しかない。
 だが―――――だからこそ、ハヤブサはアーサーをこの空輸艇に乗せることを優先した。

「行け、アーサー! ここでの躊躇は、あそこにいる部下たちの命を奪う!」
「……………!」
「行け!! 早く!!」
 苦い顔をしながらこちらを見ていたアーサーであるが、やがて、ぎり、と、唇をかみしめ、こぶしを握り締めた。

「分かった……! 幸運を祈る!!」

 その言葉を残して、アーサーは空輸艇に向かって走り出す。ハヤブサはそれを背に感じながら、追っ手に向かって走り出した。
 自分に向かって、乱射される銃。だがハヤブサは、それには特に頓着しなかった。
 それよりも今―――――自分が優先的に討たねばならない者は。
 龍の忍者の鋭い眼光が戦場を走り、その対象を見つけた。空輸艇に向かってロケットランチャーを構えている者3人。後――――戦車一台。
 龍の忍者は無言で大地を蹴る。
 凄まじいまでの跳躍力。それは、対象者の一人目の命を、あっという間に屠らせていた。
「ああ!!」
「許さん!! 撃てッ!! 撃て―――――ッ!!」
 怒りに燃え、攻撃してくる兵士たちに向かって、ハヤブサは殺した兵の遺骸を投げつける。兵士たちがそれに怯んだ隙にその間を走り抜けていった。
 ハヤブサは、二人目を目指す。その間に、アーサーは空輸艇にたどり着いていた。
「艇を出してくれ!!」
 アーサーは艇に乗り込みざまに叫ぶ。
「しかし……! まだハヤブサ殿が――――!」
「あいつは、自力で何とかする!!」
 驚く部下たちに向かって、アーサーはなおも叫んだ。
「あいつは、伝説の『龍の忍者』だ! この程度の危地など、何度も乗り越えてきた男だ!!」
「…………!」
「それよりも――――今、我らがここに留まり続ける方が、却ってあいつの足を引っ張ってしまう!! あいつは何を置いても、この空輸艇を守り続けようとしてしまうぞ!! 文字通り、『足手まとい』になってしまうんだ!!」
「――――!!」
「それよりも今、我らができることは、できうる限りの安全を確保し、戦力を整えたうえで、改めて龍の忍者の援護に回るべきなのだ!! 違うか!?」
 アーサーの問いかけに、皆がはっと息を呑む。それを見て、アーサーは改めて皆に声をかけた。

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