農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS マリオネット狂想曲 30

<<   作成日時 : 2016/05/31 00:30   >>

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 ふらり、と、少女がこちらに向かった歩を進めてくる。しばらく呆然とそれを見守っていたシュバルツであるが、いきなり、その顔色が変わった。
「―――――!」
 ダッ! と、少女に向かって飛びかかるように突進する。
「シュバルツ!?」
 シュバルツの唐突すぎる行動に、瞬間ハヤブサは面食らう。だがハヤブサは、すぐにシュバルツの行動の意味を『理解』した。シュバルツは少女の身体から『何か』を強引にもぎ取ると、それを空高く放り投げる。それと同時に少女の身体を自分の腹の下に守るように、その上に覆いかぶさった。
「…………!」
 ハヤブサもそれが『何』か分かったので、とっさにその身を伏せる。その刹那、放り投げられた『物』が、『ドンッ!!』と、派手な轟音を立てて爆ぜた。少女はこちらに、自爆攻撃を仕掛けていたのだ。
「シュバルツ!!」
 爆発が収まるのを待ってから、ハヤブサはシュバルツの身を案じて立ち上がる。シュバルツは、少女の身体を守るように、瓦礫の中にうずくまっていた。
「シュバルツ!! 大丈夫か!?」
 ハヤブサは、少女の上からシュバルツを強引にもぎ取るように引き起こす。
「う………! あ………! あ………ッ!」
 案の定、シュバルツは少女の身体にその身を触れさせた所為で、凄まじい激痛に襲われていた。それでも彼は、少女を守ろうとしていた。
「馬鹿野郎……! 無茶をする……!」
 ハヤブサは思わず、ぎゅっとシュバルツの身体を抱きしめていた。
 そしてシュバルツが、あの瞬間確かに『正気』に戻っていたのだとハヤブサは確信した。

 どんな状況でも自分がどうなろうとも――――彼は必ず、自分より弱い者を守ろうとする。
 ああ、それでこそ、シュバルツだ。
 やはり死ぬほど―――――愛おしい。

 よくぞ守った。
 よくぞ少女を、守り通した。

「ハヤブサ……!」
 涙で瞳を潤ませたシュバルツが、腕の中で息を喘がせながらこちらを見上げてくる。

「大丈夫か?」
 ハヤブサは、できるだけ己の身をシュバルツに密着させながら問いかけた。こうして彼の身体に触れていれば、彼の身体を襲っている痛みを、和らげることができるのだから。
 嬉しい。
 愛おしいヒトを、癒すことができる事実が。
 ハヤブサの面に、自然と柔らかい笑みが浮かんでいた。
「………………」
 しばし、ハヤブサの腕の中で、小さく震えながらその身を摺り寄せるようにしていたシュバルツであるが、唐突に、カッとその目を見開いた。いきなり、ドンッ! と、ハヤブサの身体を突き飛ばす。
「シュバルツ!?」
 完全に不意を突かれたハヤブサは、後ろに尻餅をついてしまう。
 その目の前でシュバルツは、こちらに近づいてきていたフードを被ったもう一人の女性につかみかかっていた。彼はハヤブサから女性を離しながら、懸命に女性から何かをもぎ取ろうとして―――――

 ドゴォッ!!


 激しい轟音とともに二人のいた場所が爆ぜた。もう一人の女性が、自爆攻撃を仕掛けてきていたのだ。
「……………!」
 爆風の中、シュバルツが自分を守るように立っている背中が見える。ハヤブサはシュバルツを守りたいと願う。だが、どうすることもできぬまま、自身もまた、爆風と轟音の嵐の中に、巻き込まれていった―――――

 やがて、爆発が収まり、あたりが静寂に包まれる。

「う……………!」
 瓦礫の中からハヤブサが身を起こした時には、周りに生きて動いているのは、最初に自爆攻撃を仕掛けてきた少女と、自分しかいなかった。少女は爆心地を見ながら、茫然としている。
「シュバルツ……!」
 ハヤブサは、瓦礫の中に愛おしいヒトの姿を求める。爆心地には、黒焦げでバラバラになっている『遺骸』らしきものがあった。

「あ………あ…………」

 バラバラになって、焼け焦げた『部品』
『肉片』
『千切れ飛んだ腕』―――――

(落ち着け………!)

 ハヤブサは、シュバルツの『手』らしきものを己の手の中に握りこみながら、唇を噛みしめていた。
 たとえこの状態でも、シュバルツは『死んでなどいない』のだ。彼の身体を構成している『DG細胞』の『自己再生能力』が、彼を必ず、甦らせてくれるのだから。

 それでも
 それでも―――――

「…………ッ!」

 何故こうも、御しがたい『怒り』が、自分の中からふつふつと、湧き上がってきてしまうのだろうか。

「やったか!?」
 兵士たちが爆発後にわらわらとやってくる。そして、遺骸の一部を抱えて呆然としているハヤブサと、そのそばでうずくまるように座り込んでいる少女の姿を見つけた。
「生きているじゃねーか!!」
「いや、でもあれだけの爆発だ。無事では済んでいないだろう」
「こいつも……! なんで生きているんだよ!! きっちりと自爆しやがれこの役立たず!!」
 兵士の一人が、座り込んでいる少女に向かって、無造作に発砲する。タン!! と、乾いた銃声が響くと同時に、その少女の命はあっさりと奪われていた。

「――――――!!」

 その瞬間、ハヤブサの中で、「ブチッ!!」と、何かが切れた音がする。当然そんなことに気付くはずもない兵士たちが、彼の周りを取り囲みだした。
「さあ! 観念しやがれ!!」
「『遺骸』の一部でも、懸賞金が付くんだよな……。本体丸ごとだとどれぐらいだ?」
「おめぇ、独り占めする気か!? そんなことは許さねぇぞ!!」
 勝ち誇った嘲笑と殺意がハヤブサを取り囲む。
 だが――――本当ならばここで、この兵士たちはなりふり構わず逃げるべきだったのだ。何故なら次の瞬間、彼らは本当に――――『地獄』を見ることになったのだから。

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