農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 刹那の中の永遠 3

<<   作成日時 : 2016/09/17 21:23   >>

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「お、おい! 私はいつまでこの状態なんだ!? まさかずっと────」
「いや、シュバルツに定着させたDG細胞は微量な物だし、その細胞がシュバルツの周りの細胞となじんで落ち着いてきたら、自然と元に戻ると思うよ」
「そ、そうなのか?」
 少しほっとしたような顔をするシュバルツに対して、キョウジは少し渋い顔をする。
「でもなぁ………」
「でも……何だ? キョウジ……」

「シュバルツがそのまま、『女性』として固定されてしまう可能性も、なきにしもあらずなんだ……」

「固定? それは……どういうことなんだ?」

 おそるおそる問い返してくるシュバルツに、キョウジは少し、困ったような笑みを見せた。

「たとえば、シュバルツが『子ども』を妊娠した場合」

「──────!!」

 絶句するシュバルツに向かって、キョウジはさらに言葉を続ける。
「お腹の子どもを育てるために、女でいる必要があるでしょ? そうなったら、生物の本能的に、シュバルツは『女性』になってしまう可能性も────」

「……キョウジ。私はしばらく身を隠すぞ」

 キョウジの言葉が終わらないうちに、シュバルツが手早く身支度を始める。
「えっ!? 身を隠すって、どうしたの!?」
「当然だ! こんな状態の私をハヤブサが見てしまったらどうなるか────分かるだろう!? ハヤブサとの間に子をもうけるわけにはいかん!!」
「そ、それはそうかもしれないけど………」
「分かったなら、しばらく私のことは探さないでくれ! 身体が元に戻れば帰ってくるから────」

 そう言って、部屋から出て行こうとするシュバルツ。
 だが、その足は、すぐに止まることとなってしまった。
 何故なら部屋の出入り口には────

 シュバルツが今最も会いたくなかった、『リュウ・ハヤブサ』の姿があったからだ。

「……………」
 無言でシュバルツを見つめているハヤブサ。シュバルツは、そんなハヤブサから、一歩、身を引こうとする。だがそれよりも早く、龍の忍者はシュバルツの腕を捕まえていた。
「あっ!!」
 酷く強い力で腕を掴まれ、引き寄せられる。シュバルツはそれを振りほどこうと足掻いたが、それは徒労に終わっていた。
「シュバルツ……? これは、シュバルツ、なのか………?」
 腕を頭上に一括りに捕らえながら、自分より少し小さくなったシュバルツの姿をまじまじと凝視する。いつものロングコートが明らかにぶかぶかで丈がだぶついているのに、胸の辺りが酷く窮屈そうだった。
 ぐ……と、捕らえる腕に力をこめると、「う……!」と、小さな声で呻くシュバルツ。眉をひそめるその横顔が美しくて、捕らえた腕があまりにも華奢だったから、ハヤブサは色々たまらなくなる。
「シュバルツ………」
 ハヤブサがふらふらと、シュバルツに触れようとした、刹那。

「ふざけるなっ!!」

 シュバルツの強烈な蹴りが、ハヤブサの手首を襲う。ハヤブサの手が離れた隙に、煙幕弾がいきなり炸裂した。
 瞬間、部屋は真っ白な煙に包まれる。
「わっ!?」
 キョウジが驚いている間に、忍者二人の気配が部屋から消える。シュバルツが部屋から脱出し、ハヤブサがその後を追っていったのだとしれた。

「ど、どうしよう………」

 煙が晴れた部屋で、キョウジはただ、呆然とするしかなかった。

(冗談ではない!)

 シュバルツは懸命に足を走らせていた。

 絶対に駄目だ。
 今の身体の状態で、ハヤブサに捕まってしまうことは。

 キョウジの話では、ハヤブサは私との間に子どもを望んでいる節があるという。

 それは駄目だ。
 それは絶対に─────許すわけにはいかない。

 自分が女性に定着するだけならば、まだ良い。
 だが、産まれてくる子どもは?
 私の腹から産まれてくる子どもは、どんな宿命を背負ってしまう事になる?

 DG細胞と、無縁でいられるはずがない。
 死ねない。
 暴走する危険性を孕む細胞で構成されているが故に、誰とも触れ合うことが出来ない。
 人外。
 人の世から、排斥されるべき物にすら、なってしまう可能性がある。

 DG細胞の闇。
 まさに、DG細胞の闇だ。

 駄目だ。
 そんな宿命を、ハヤブサとその子どもに背負わせるわけにはいかない。
 ハヤブサは、幸せになる権利がある。
 ハヤブサの子どもも、幸せになる権利がある。
 闇に、孤独に、汚泥に塗れるのは、私1人で十分なんだ。私の『闇』に、つきあう必要はないんだ。

 お願いだ、ハヤブサ。
 私を追ってこないでくれ。
 今の私を、求めないでくれ─────!


 ハヤブサは、そんなシュバルツの後ろを、つかず離れずの距離でぴったりと追い続けていた。
(理想が服着て走っている……)
 ハヤブサはシュバルツの後ろ姿を見ながら、そんなことを感じていた。

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