農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 9

<<   作成日時 : 2017/01/12 23:34   >>

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「走れ!!」
 敵を撃退したハヤブサが叫ぶ。
「逃げるのだろう!? 早く!!」

「─────!」

 ハヤブサの叫び声に、ナディール姫が、はっと我に返る。
「行きましょう!!」
 ナディールの声に、兵士二人もハッと我に返る。走り出したナディール姫に続いて、彼らも走り出した。もちろん、ハヤブサもそのあとに続いていた。

 狭い路地を、ナディール姫は迷うことなく走る。
「ここは、私の庭」
 その言葉を証明するかのように、彼女の走りは縦横無尽だった。
 それでも、刺客たちの追撃は執拗だった。
 狭い路地に次々と刺客が現れ、ナディール姫を討とうとしてくる。
 ハヤブサはそれらを、時に手裏剣で
 槍で
 拳や回し蹴りを使って、対応していた。姫たちが走り抜けた後には、気を失った刺客たちの身体が、折り重なるように転がる結果となった。

(妙だ)

 刺客たちを倒しながら、ハヤブサは思う。
 刺客たちの目的は、はっきりと一致していた。『ナディール姫を殺すこと』────これはもう、疑いようがなかった。
 しかし。
 この刺客たちは────

 ───冗談抜きでナディール姫を狙う連中は、たくさんいるぞ……

 アーサーの言葉がハヤブサの中で、現実味を帯びて回る。
(くそっ! アーサーの奴……! 厄介な案件を押し付けやがって……!)
 敵を撃退しながら、ハヤブサはいつしか唇を、強くかみしめていた。 
「うわ………!」

 トマスがはずみで転んでしまう。
「トマス!!」
 『案の定』ナディール姫がトマスを庇おうとする。
「姫様!?」
「姫様!!」
 そんな二人をモガールが庇おうとして、ちょっとした団子状態になった。それを、刺客たちが見逃すはずもない。
「馬鹿めが!!」
「死ねい!!」
 ここぞとばかりに刺客たちが群がってきた。
(チッ!)
 この3人がそうなることは想定内なので、ハヤブサは特に慌てはしない。

「覇ッ!!」

 3人を背に庇い、刺客たちを槍で一掃する。
「…………!」
 驚いたようにこちらを見るナディール姫。それに向かって、ハヤブサは怒鳴りつけた。
「立てっ!! 早く!!」
「ヒッ!!」
「うわ、はいっ!!」
 兵たちがナディール姫を助け起こしながら、慌てて立ち上がる。4人は再び走り始めた。


「こっちよ!」
 ナディール姫が、郊外のマンホールから、地下へと飛び込む。トマスとモガールが、後に続いた。ハヤブサも一瞬立ち止まり、追っ手がかかっていないことを確認する。それをしてからハヤブサも下水道に飛びこみ、下からマンホールの蓋を閉めていた。
 しばらく、狭い水路の中を走る。
 いくつかの水路を潜り抜け、いくつかの分岐を走り抜け────

 やがて、地下にしてはやけに広い空間へと躍り出ていた。

「みんな、怪我はない?」

 地下の空洞に、ナディール姫の声が響き渡る。
「はい!」
「大丈夫であります! 姫様!」
 姫の問いかけに、兵士二人が元気よく答える。
「よかった」
 ナディール姫はくすくすと笑ってから、ハヤブサの方に視線を向けた。
「あなたは?」

「えっ?」

 声をかけられたハヤブサの方が、少し目をしばたたかせる。ナディール姫はハヤブサの目をまっすぐ見て、もう一度、声をかけてきた。
「あなたは、大丈夫? 怪我はない?」

「あ……ああ。平気だ」

 特段傷を負ったわけでもないので、素直にその旨を告げる。すると、ナディール姫も「よかった」と、屈託のない笑顔を見せた。
「ありがとう。どこのどなたかは存じませんが、おかげで助かりました」
 そう言って、頭を下げようとするナディール姫を、ハヤブサはやんわりと押しとどめた。
「礼には及ばない。俺は、俺の『仕事』をしただけだ」
「『仕事』………ですか?」
 小首をかしげるナディール姫に、ハヤブサは頷く。
「ああ。そのうち城の者から正式に話があると思うがな……。俺は、お前の『ボディーガード』として、雇われに来たんだ」
「え…………?」
 びっくりした表情を見せるナディール姫に対して、兵士二人はぱっと輝いたような笑みを、その面に浮かべていた。
「すごい……! 姫様! よかったではないですか!」
「そうですよ! この人にガードしてもらえるなら、百人力ですよ!」
「……………」
 対して、ナディール姫は、なぜか複雑な表情をその面に湛えている。
「姫様?」
 しかし、トマスが怪訝そうに声をかけた瞬間、ナディール姫の表情も、ぱっと、明るいものになっていた。
「そうね……。本当に、その通りだわね!」
 そのまま3人で、よかった、よかったと笑いあっている。それを見たハヤブサは、やれやれとため息を吐いていた。

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