農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 14

<<   作成日時 : 2017/01/17 22:41   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

「姫様もイガールも甘すぎる……! よろしいか? 姫様は命を狙われておるのですぞ!? 騎士であるならば、何を置いても姫の護衛を優先すべきはず。妊婦の件も、イガールが自ら行かず、部下に任せるなどの対応の仕方が、あったはずではないのですかな?」
「そ、それは……!」
 イガールが、グッと言葉に詰まっている時、隣にいた兵士が助け舟を出すかのように、口を開いた。
「お言葉ですが、内大臣……。イガール隊長の前には、妊婦だけではなく、次から次へと助けを求める市民が現れまして……」

(内大臣?)
 ハヤブサは思わず、初老の男の顔をまじまじと見つめる。
 まさかこの男が、自分の『クライアント』だと、言うのだろうか。

「はあ?」
 対して、「内大臣」と呼ばれた男は、驚きに目をむいていた。
「何を言っておるのだ、お前は……。そのようなこと、現実にあるわけがないであろう!?」
「いえしかし、現実に次から次へと助けを求める市民が……」
「すみません、まるで呪われているかのように……っ!」
「隊長や皆で、必死になって対処したんですけど……」
 真顔で言葉を紡ぐ兵士の横で、イガールはさめざめと泣き続けている。
(たぶん、本当のことを言っているんだろうな……気の毒に)
 ハヤブサは、この人の良すぎる隊長に、同情の念を禁じえなかった。おそらく、国が平和な時であったなら、彼はこれ以上ないというぐらい、優秀な警備隊長でありえただろう。
 しかし─────

「……お主の気持ちもわからんでもないが、今は非常時である。姫様の警護を優先するように」

「申し訳ありません!」
 まさに正論の前に、彼は頭を下げるしかなかったのであった。
「……まったく……! 姫様も姫様だ! 今回は運よく助かったからいいようなものの、また刺客に襲われたら、いかがなさるおつもりなのか………!」
「大丈夫ですわ、カライ内大臣」
 まだ怒りが冷めやらぬ風の内大臣に、ナディール姫が声をかけていた。
「私に『護衛』がついてくださいました。その方が守ってくださるので、大丈夫です」

「『護衛』ですと?」

 カライ内大臣が、少し驚いたように顔を上げる。ナディール姫は頷くと、彼に見えるように、ハヤブサの方を指し示した。
(この状況……できればこのままやり過ごしたかったのだがな)
 ハヤブサはそう思って苦笑するが、そうも言っていられない。ナディール姫を護衛するのであるならば、ここの関係者とは、しっかり面通しをしておかねばならないと、感じていた。
「……………」
 ハヤブサもカライ内大臣も、互いに無言で見つめあう。探りあうような視線が、ぶつかり合った。
「………お主が来るのは、今日の夕刻と聞いておったが……?」
(ああ、間違いなくこいつが俺のクライアントだな)
 約束を交わした時間────これは、自分とクライアントの間でしか、知らない内容の物であったが故に、ハヤブサはそう確信する。
 だが、自分がアーサーから頼まれた護衛だと証明する手段に、ハヤブサは少し苦慮した。
 この目の前にいる人間の、誰が味方で誰が敵か分からないこの状況下で、果たして、『アーサー』の名前を出してもいいものなのだろうか。
「……下見も兼ねて、少し早く来ていたんだ」
 ハヤブサは、ぶっきらぼうに言い放つ。
「夕刻には、そちらに向かう予定にしていたのだが……」

「刺客に襲われた私を、この方が助けてくださったんです」

 ナディール姫が、ハヤブサに助け舟のようなものを出した
「この方は、本当によく守ってくださいました。この方がいなければ、私も無事では済まなかったと思います」
「左様か……」
 そういったカライ内大臣の目に、安堵の色が一瞬浮かんだのを、ハヤブサは見逃さなかった。
 おそらく、カライ内大臣は、ナディール姫の味方──────そう、判断しても差し支えないようだった。
「其方……念のために、名を聞いておこうか」

「俺の名前は、リュウ・ハヤブサ」

 だからハヤブサは、カライ内大臣の問いに、素直に答えた。彼を信じたが故に。
「リュウ・ハヤブサ……。そうか………」
 カライ内大臣は、口の中で小さく反芻すると、頷いたように見えた。
(もしかしたら、アーサーから俺のことを直接聞いているかもしれないな)
 ハヤブサは、なんとなくそう感じていた。

「よかろう。ハヤブサとやら……これから、姫様の『護衛』として────」

「んまあ!! この由緒あるシャハディ家の城に、余所者を受け入れるというの!?」

 カライ内大臣の言葉が終らぬうちに、王侯のヒステリックな叫びが響き渡った。
「私は反対です! ナディールに『護衛』だなどと、大げさな!!」
「しかし、王后陛下───」
 カライ内大臣が、多少うんざりした声を上げていた。
「ガエリアル王が、病気でお倒れになった今────実質的に王の代理をしておられるのはナディール姫であること、皆が認めて居るところです。その姫に何かあれば────」

「我が子、ノゾムがいるではないですか!!」

 女性の叫びに、ナディール姫に縋りつくように抱きついている少年が、びくっと、身を強張らせていた。
「ノゾムは、ナディールと違って、立派な男子です! 正当な跡取りはノゾムのはずです!」
(子供の前で、する会話ではないな)
 ハヤブサは、かなり苦々しい思いで、目の前の状況を見つめていた。
 かわいそうに、ノゾムという少年は、ナディール姫に縋りつきながら、完全に怯えきってしまっているように見える。それを抱きしめるナディール姫も、辛そうな表情をしていた。

 ハヤブサははっきりと思う。
 こんなもの────情操教育上、悪影響しか出ない。

「しかし、ナディール姫に代理をと望まれたのは、ほかならぬガエリアル王ですぞ」
 カライ内大臣も負けてはいない。王后のヒステリーともいえる叫びを、柳に風と受け流していた。

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