農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 17

<<   作成日時 : 2017/01/21 02:58   >>

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(信じよう)

 ナディール姫は、ハヤブサに対してそう断を下していた。

 きっとこの人は、優しい人だ。
 そして、信頼に足る人なのだ。

 だから、私は信じよう。
 その目的が、お金のためであっても、何のためであってもいい。

 その人格を
 その優しさを
 私は信じよう。

(また、『甘すぎる』って、お父様やカライ内大臣に、怒られてしまうかな)

 そう感じて、ナディール姫は苦笑する。
 会ったばかりの人間を、そんなに簡単に、信じてしまっていいのかと。
 それは、確かに、政治家としての資質には、欠ける行為だ。

 でも基本、人は信じるものだとナディール姫は思っている。
 人を信じることができずして
 どうして────この先、『シャハディ家の一員』として、国を支えていくことが、できるだろうか。

「おかえりなさいませ、姫様」

 部屋に帰ると、侍従であるロゼッタが出迎えてくれた。
「着替えます。手伝ってくれますか?」
「承知いたしました」
 ハヤブサは、姫と侍従が会話をしているそのわずかな隙に、素早く部屋中に視線を走らせて、異常がないか確認する。周囲にも殺気はなく、今すぐ姫に、危害が及ぶ恐れはなさそうだった。
「俺は、外にいる。何かあったら呼べ」
 それに、ナディール姫は「はい」と返事をする。それを確認してから、ハヤブサは、部屋のドアを閉めていた。


 ────思ワヌ事態トナッタナ……。

 どことも知れぬ闇の中、仄暗い声が響く。

 ────姫のボディーガードが来るのが今日の夕刻と聞いていた。だから、そいつが来る前に、一気に片を付けようとしたのだが………。

 ────『下見』に来る可能性を、考慮していなかったな……。詰めが、甘かった……。

 ────だが奴は、今から『闘技場』に来るらしい。

 ────オアツラエ向キダナ………。

 ククククッと、陰鬱な笑い声が、辺りに響き渡った。

 ────邪魔ナ輩ヲ、ココデ一網打尽ニシテヤロウ……。

 悪意に満ちた笑い声が、辺りに響き渡っていた。


「姫様。準備が整いましたので、大后様が。ハヤブサを連れて、闘技場に来るように、とのことです」
「分かりました。参ります」
 シャラ……と、衣擦れの音を響かせながら、ナディール姫は立ち上がる。花浅葱色を基調としたドレスに、金色の長い髪が見目良く映る。こうしてみると、彼女はどこからどう見ても、紛うことなき品の良い王女だった。

「………どこか、変ですか?」

 部屋から出てきたナディール姫は、ハヤブサの視線を感じたのか、立ち止まって問いかける。それに対してハヤブサは「いや………」と、頭を振った。
「やはり、お前は王女だ、と、思っただけだ」
 その言葉に対して、ナディール姫は、面ににこっと笑みを浮かべた。
「ウフフ、ありがとう」
 一応、褒め言葉と受け取って礼を言う。
「でも本当は────この格好、苦手なんですけどね……」
「何故だ?」
 問いかけるハヤブサに、ナディール姫は少し困ったように微笑んだ。
「だって、こんな格好だと、いざというときにとっさに動けないじゃないですか」
「…………!」
「実際困るのよね〜。どうしてこんな長いひらひらしたスカートが必要なのかしら」
「もう! 姫様は、またそのようなことを!」
 侍従のロゼッタが、あきれ果てたような声を上げた。ナディール姫と年頃がよく似た、かわいらしい女性だった。
「だめですよ! 変な格好をしていったら、また大后様に怒られてしまいます!」
「やっぱり、軍服の方がいいわ。ロゼッタ! 今からでも軍服に変えましょうよ!」
「だめったらだめです!」
「何でよ? 闘技場に行くのに!?」
「だめです! 今回の『試合』には、王様も顔を出されます」

「えっ? お父様が!?」

(……………!)
 このロゼッタの言葉には、姫だけでなく、ハヤブサも驚いていた。
 病に伏しているというガエリアル王。まさか、こんなに早く対面できるとは、思ってもいなかったからだ。
「だからこの『試合』は、王室としての公の行事の意味合いが濃くなります。ですから姫様には、きちんと正装をしていただかないと、困ります!」
「はいはい、分かりましたわ」
 ロゼッタの怒り声に、ナディール姫はやれやれ、と、肩をすくめていた。
「ちゃんと『お役目』を果たしてきます。それでいいでしょ? ロゼッタ」
 ナディール姫の言葉に、ロゼッタは満足そうに頷く。それを見てハヤブサは「いいコンビだ」と、思った。

「それでは、行きましょうか」

 ナディール姫の言葉に、ハヤブサは頷く。そのまま使いの者とともに、闘技場へと歩き出していた。

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