農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 19

<<   作成日時 : 2017/01/23 01:22   >>

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「………………」
 ハヤブサは、静かに息を吐く。
(集中……! 集中するんだ……!)

 『気』を張り巡らせろ。
 自分の周りにも。
 姫の周りにも。

 観衆の息遣い。
 音─────
 すべて、自分の物とするんだ。

「ねえ、お義姉様、あそこにいる黒い忍者って強いの?」

 ボックス席で、ナディール姫の隣に座っているノゾムが、こそっと問いかけてきた。
「ええ。強いわよ」
 ナディール姫は笑顔で答える。
 4体のモンスターをあっという間に倒した。彼の腕は、間違いなく本物だ。
「ドモン・カッシュより強い?」

「ドモン・カッシュ?」

 義弟の口から出た聞きなれぬ名前に、ナディール姫は思わず聞き返す。ノゾムは瞳をキラキラと輝かせながら、頷いた。
「お義姉様知らない? 格闘家だよ! ものすごく強いんだ!」
 そういって、彼は元気よく「えいやッ!」と、拳を打つ格好をする。
「ああ……そういえば………」
 格闘家と言われて、ナディール姫もようやくその名前の人物の情報を思い出していた。
「ドモン・カッシュ」────スポーツ新聞やテレビなどで、時々その名前を見かける。その強さゆえに、いろいろな格闘大会に出場しては、彼は優勝をかっさらっていた。テレビでもノゾムがよく好んで、格闘系の番組を見ていたことを姫は思い出す。
「ねえ、『忍者』ってことは、あの人は日本人なのかな?」
「うう〜〜〜ん、日本人……かどうかはわからないけど、名前は……日系っぽい感じだったかなぁ」
 ナディール姫は、義弟の問いかけに首をひねる。
 確かに、『リュウ・ハヤブサ』とは日本人っぽい響きのような気がする。しかし、あの亜麻色の髪といい、色素の薄いグリーンの瞳といい、彼の容姿は、あまりにも一般の日本人からは、離れすぎているような気がしてしまうのだ。
「いいなぁ……。日本人なら、ドモン・カッシュと知り合いだったりするのかなぁ……?」
「そ、それはどうかしらね……」
 義弟のその分析には、ナディール姫も苦笑するしかない。
 日本は確かに島国だが、人口は1億人近くいる。そんな中で知り合いになる確率など、太平洋の中に落とした一粒の真珠を見つけるよりも、低いような気がしてしまうのだ。
「ねぇねぇ、お義姉様………!」

「ノゾム、静かにしなさい」

 近くに座っている大后から、ぴしゃりと言われる。
「はぁい」
 彼は少し口をとがらせるように返事をしたが、おとなしくそれに従っていた。しかし、ノゾムの身体はナディール姫にぴったりと寄り添うようにくっついている。
(可愛いな……)
 ひっついてくる義弟の体温に、少しの安心を覚えながら、ナディール姫の表にも、少し、柔らかい笑みが浮かぶ。しかし、闘技場のほうにむけられた彼女のまなざしは、ひどく愁いを帯びたものになっていた。
 イガールとハヤブサの戦いの行方が、心配でたまらなかった。


「ハヤブサ殿………」

 白銀の鎧をまとったイガールが、正眼で大剣を構えながら、穏やかに声をかけてくる。

「貴公のような戦士と剣を合わせられること────誇りに思います」

「………………」
 対してハヤブサは、特段構えも取らず、ただ、静かにそこに佇んでいるだけだった。
「この戦い……どうか、手加減なしでお願いいたします」
「……………!」
「私も本気です。この戦い────姫様のためにも、貴公の力量を見極めなければなりませんので─────」
 そう言って、彼は白銀の甲冑で、その面を覆う。
 その刹那。

 彼の身体から、凄まじい殺気が立ち上がる。
(な─────!)
 彼の穏やかな様子とは、あまりにもかけ離れたその熱量に、ハヤブサは瞬間気圧されそうになった。
「…………!」
 グッと、気合を入れなおす。
 あわてるな、と、自分に言い聞かせる。

 この戦い、イガールを殺すわけにはいかない。
 かといって、自分も負けるわけにはいかない。
 そして、姫も守らねばならぬ。
 なかなかに厳しいパワーバランスを要求されていると、ハヤブサはすでに悟っていた。
 だから、イガールの力量を見極めながら────戦術を組み立てていこうと思っていたのだが。

「ハヤブサ殿………。来ぬのなら、こちらから参る!!」

 瞬間、イガールが吠えた。
 それと同時に、ダンッ!! と地面をける音がする。
(早………!)
 とっさに、体を後ろに反らす。ハヤブサのその眼前を、大剣が凄まじいスピードで通り抜けていた。
 空を切った大剣。そのまま、通常ならばスキができるはずなのだが。

「うおおおおおおおっ!!」

 強引に身体ごと向けられる切っ先が、まっすぐハヤブサに向かう。
「─────ッ!」
 やむを得ず、ハヤブサも抜刀をした。

 ガンッ!!

 大剣と龍剣がぶつかり、青白い火花が飛び散った。
「受け止めるとは……! さすが……!」
 ぎりぎりとつばぜり合いをする最中、甲冑越しにイガールの声が聞こえてきた。
「……………!」
 ハヤブサは、逆に歯を食いしばっていた。
 このイガールの突進、自分は、弾き返すつもりでいたのに。

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