農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 21

<<   作成日時 : 2017/01/24 13:51   >>

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「姫様!! なりません!!」
 当然、姫の警護に当たっていた兵士たちが、彼女を止めようとする。しかし。

「行かせてやりなさい」

 それまで黙っていた王が、口を開いた。
「お父様!?」
「陛下!?」
 驚く姫と大后に向かって、王は言葉をつづけた。

「ナディール……。お前が止めるべきと思うのなら、行きなさい」

「お父様……」

「止めれるものならな」

 ズバッと言い切られた王の言葉に、ナディール姫は、はっと息をのんでいた。

「真剣に戦っている者たちであればあるほど、その仲裁は難しいぞ………」
「……………」
 ナディール姫は、少し考え込むように下を向いていたが、やがて、その顔を上げた。

「行きます……! だって、この戦い─────意味があるとは思えないもの……!」

 そう言い置くと、彼女は長いドレスを翻して、ボックス席から走り出していた。

「愚かなこと……。止められるはずもないわ………」
 その後ろ姿を見送りながら、大后は口の中でつぶやいていた。
「身の程を知ればいいのよ」
 彼女の心の内を映すようなどす黒い空に、稲光が走り、雷鳴がとどろく。大粒の雨が、コロッセオ全体を濡らし始めていた。

(ク…………)

 仄暗い笑いが、闇の中に響く。

(サア……舞台ハ整ッタ………。一網打尽ニシテヤル………)


「……………」
 ハヤブサはただ、静寂の中で剣を構えていた。雨が、静かに彼の身体を濡らしていく。
 ここまでのイガールの戦いは、実に見事だと思った。彼は、間違いなく一流の戦士だ。彼と剣を合わせられたこと─────誇りに思わねばなるまい。
「……………」
 イガールは肩で息をしているが、その身に宿す殺気は、確固たるものになっていく。
(ああ、終わりが近いな)
 イガールと相対しながら、ハヤブサはそう感じていた。次の一撃─────おそらく彼は、それにすべてをかけてくるだろう。
(どうすれば、いい?)
 彼の息遣いを感じながら、ハヤブサは自問自答し続けていた。このままではどう足掻いても、どちらかが、いや、下手をすれば両方が、傷を負うことは避けられない。下手をすれば、命を落とすことにもつながりかねなかった。
 そんな事態は、断固として避けたい。
 自分のガードの対象であるナディール姫を、ひどく悲しませてしまう事になる。それだけは、何としても避けたい。

 しかし、どうすればいい?
 それを避ける方法が
 方法が、見つからない。

 どうすれば

 どうすれば
 どうすれば─────

「……………!」

 不意に。

 ハヤブサの全身を、ザワ、と、いやな感覚が襲った。

 それは、何度も死地をくぐり抜けてきた彼だからこそ持ち得た、『死』に対する『嗅覚』のようなものであった。それが、彼に強烈に訴えかけてきたのだ。

 危ない。
 死ぬぞ。
 このままでは、お前は死ぬぞ─────

 何かの、誰かの凄まじい『悪意』を感じる。
 コロッセオの空気が変わった。
 殺気が押し寄せてくる。

 何だ?
 この殺気は、いったい誰のものだ─────?

「…………!」
 ナディール姫は、懸命に階段を駆け下りていた。
 足に、長いドレスがまとわりつく。これが邪魔で仕方がない。
 早く、早く走って。
 もっと早く─────!

 ドオオオオオン!!

 雷鳴が、地響きを伴って鳴り響く。
(近い……。危ないかもしれない)
 ナディール姫は、危機感を強くした。
 この雷の近さ─────下手をしたら、観客である兵士たちに落ちる可能性もあった。
 兵士たちを、避難させる必要がある。でも今、本当に危ないのは、闘技場で戦っているあの二人の方だ。
 だめだ。
 やめてほしいと思った。
 この戦いは本当に────何も生み出さないものであったから。
「─────!」
 ヒールが脱げた。
(邪魔!!)
 彼女は迷わず両方共を脱ぎ捨てた。裸足で、彼らのもとへと急ぐ。

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