農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 41

<<   作成日時 : 2017/02/12 23:39   >>

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(シュバルツ……。どうか、気を付けて………)

 キョウジは窓を開けて、空を見る。重い雲が垂れ込めてた。
(一雨来るかもしれない)
 キョウジは少し不安な心を抱えながら、シュバルツが去っていったと思われる方向を見つめていた。


 それから2、3日が過ぎた。
 ハヤブサはナディール姫を護衛し続けていたが、それは、どちらかと言えば、防御の方に重きを置いた戦いになっていた。
 相変わらず、姫を狙う刺客たちは引けを切らないし、食事にも毒を入れられ続けている。
(このままでは、埒が明かないな……。姫を狙ってきているルートを、一つでも大元からつぶしていかないと────)
 そう考えたハヤブサは、一度、刺客の一人を捕らえて、ナディール姫の前に引っ立てたことがあった。
「こいつから、依頼主が誰か聞きだしてやろうか?」
 ハヤブサはそう言ったのだが、姫の方が首を横に振った。

「それは必要ありません。その人は解放してください」

「………………!」
 ハヤブサは驚いて彼女を見る。ナディール姫は、静かなまなざしでハヤブサとその刺客を見つめていた。
 静かだが、強い意志を感じる眼差し。
 彼女を説得することは、無駄だと知れた。
「…………だ、そうだ。運がよかったな」
 やれやれ、と、ため息を吐きながら、ハヤブサは刺客を解放する。刺客は這う這うの体で逃げていった。

「………どういうつもりだ?」

 刺客が完全に逃げたのを確認してから、ハヤブサはナディール姫に問いかけた。
「いつまでも防戦一方では、埒が明かないぞ。お前を狙う者があるのなら、一つでも潰すことを考えた方がいい」

「ハヤブサ様は、犯人を特定するべきだ、と、言うのですか?」

「当然だろう」
 ハヤブサは、ナディール姫にそう問い返されたことに、少し驚いていた。
「お前に害意を持つ者を、身近に置いておいて、いいのか?」
「………………」
 ナディール姫は、少し考え込むように沈黙したが、やがて、顔を上げた。
「それでも、だめです。自分の身を護るために、誰かを処罰するようなことをしたら、絶対にダメです」
「────!?」

「だめです。きっと一人でも誰かを自分の身を護るためだけに処罰してしまえば、私は次々と、沢山の人を罰していかなくてはならなくなる」

「………………!」

「それは、血塗られた道です。血塗られた玉座です。そんな王が、どうして国を平安に導くことができましょう。誰が、そのあとをついてきてくれる、というのですか?」

「それはそうかもしれないが────」
 ハヤブサは、少し困惑してしまう。
 彼女の言い分も分かるが、それは、理想論に過ぎる、というものではないだろうか。
 現実問題として、命を狙ってくるほどに、向こうは敵意をむき出しにしているのだ。それにはそれなりの対処をしなければ、国は一つにまとまらないし、守ることもできないのではないか、と、ハヤブサは考えてしまうのだ。

「………ごめんなさい。私の言っていることは、甘すぎると、十分に自覚しています………」

 そういって、ナディール姫は哀しそうに瞳を伏せた。

「それでも、私は─────」

「………分かった」
 ハヤブサは、一つ大きなため息を吐いた。
「ならば俺は、お前の望み通り、降りかかる火の粉を払うことに徹しよう。それでいいな?」

「………! ハヤブサ様……!」

 驚いたように顔を上げた姫は、すぐにハヤブサに謝ってきた。

「すみません……! ハヤブサ様には、ご負担と、迷惑を………!」
「良い、気にするな。俺は『仕事』をしているだけだ」
 姫の詫びを、やんわりと拒否する。
(覚悟はあるようだが……実際に、そのような局面で、そのような決断をしたことは、まだないのだろうな………)
 そう感じてハヤブサは嘆息する。
 犯人を探し出すことを、かたくなに拒否する彼女。それはまるで、その犯人と向き合うことを、恐れているようにも見えた。

 気持ちはわかる。
 信じていた人間、愛している人たちから裏切られる事によって受ける傷は、決して小さいものではないのだから。

 だが、向き合わなければ。
 いずれは対峙しなければ、物事は前に進んではいかない。

 彼女が『王』としての資質を問われるのは、まさにその時だろう、と、ハヤブサは思った。

「……すまなかったな。寝る前に。明日も早いのだろう? もう寝ろ」

 そういって、ハヤブサが踵を返そうとするのを、姫の小さな声が引き留めた。

「ハヤブサ様………」
「ん?」
 その声にハヤブサが振り返ると、ベットの上で小さく座り込んでいる、ナディール姫の姿があった。

「ハヤブサ様は………」

「どうした?」

「私が王位に就くまでは、そばにいてくださるのですよね……? 急に、いなくなられたり、しませんよね………?」

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