農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 34

<<   作成日時 : 2017/02/05 23:28   >>

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 でも、いいのだろうか?
 本当に
 本当に────

 ベットで朝まで眠っても───?

「案ずるな」

 目の前の黒の忍者が、力強く言葉を紡ぐ。

「そのために、俺がいるのだから」

 ナディール姫は、半ば夢見心地で、部屋までの道のりを歩いていた。ドアを開け、明かりをつける。
「………………」
 しばらく呆けたようにベッドを見つめていると、ハヤブサから声をかけられた。
「どうした? まだ、不安か?」
「ハヤブサ様………」

「ベッドも確認してある。毒針の類は、仕掛けられていなかったぞ」

「─────!」
 ハッと、息をのむナディール姫に、ハヤブサは淡々と言葉を続けた。
「俺は、専門ではないが、『殺し』に関しては、それなりに知識はある。お前を殺すために暗殺者がとる手段や行動も、ある程度は読むことができる───」
「……………!」

「………俺が、怖いか?」

「い、いいえ!」
 ナディール姫は、あわてて首を振った。
 怖いか、と、問われた瞬間
 グリーンの瞳が、寂しげに揺らめいたように思えたから。

 怖くはない。
 怖いとは、思わない。

 ただ────想像がつかなかった。

 人の命を屠り
 殺しの知識を淡々と話す。

 この人は今まで
 どんな道を歩んできた、と、言うのだろう。

「ハヤブサ様……。ありがとうございます」

 心のままに、礼を言い、頭を下げる。その刹那、彼女の腹の虫が、再び「ぐう」と、大きな音を奏でた。
(しまった……! ちょっと心が緩んじゃったから………!)
 あわてて咳ばらいをし、ごまかす。しかし、顔がほてるのを抑えることができない。
(恥ずかしい……! 聞かれちゃったかな……?)
「あ、あの……! 私そろそろ────!」
 しどろもどもになりながらも、彼女が『休みます』と、言おうとしたとき、ハヤブサの方から姫の方に何かを投げ渡してきた。

「?」

 きょとん、としながらも、それをパシン、と、受け取るナディール姫。不思議そうに手の中の丸い物体を見つめていると、ハヤブサがぶっきらぼうに口を開いた。

「食え」

「えっ?」

「それは、忍者用の非常食だ。小さいが、腹持ちがいい。栄養価も高い」

「……………!」
「食え。腹が減っているのだろう?」
「ハヤブサ様………!」
「毒は入っていないぞ? 味は保証しないが……」
「で、でもこれは、ハヤブサ様のでは………!」

「俺の方に気を使うな。何回言わせる」

 そう言いながら黒の忍者は、顔を覆っていた覆面をずらす。その下には、半ば呆れ返ったような、ハヤブサの表情があった。

「俺は市場の買い食いで、十分に腹を起こしている。お前も見ていただろう?」
「あ…………!」
 ハヤブサにそう言われて、ナディール姫も思い出す。
 市場を走り抜けながら、両手いっぱいに抱えた食料品を、あっという間に口に入れて、平らげていた彼の姿を。
「それは『非常食』だから、当然まだ予備もあるんだ。だから、お前は気にせずそれを食え」
「ハヤブサ様………!」
「食え。腹が減っていては、眠れないだろう」
「……………」
 じっと、手の中の非常食を、彼女は見つめ続ける。その姿を見ているうちに、ハヤブサの中で、別の懸念が生じてきていた。
 もしかして、「こんな変わりすぎた物なんか、食べられない」と、思われてはいないだろうか。
 そうなると、この状況は食料品の押し売り状態になるわけで。
 しかし、今はまともに料理したものなぞ、彼女の前に出すことも用意することもできないから、これで勘弁してほしい、と、ハヤブサは思っていた。

 腹が減ったままでは満足に眠れない。
 これは、確かなのだ。
「眠る」ことにだって、存外体力は使う。

「……やはり、無理か? それは、食べられそうに───」
「いえ、いただきます」
 ハヤブサの言葉が終わらないうちに、ナディール姫は手の中の物に、かぶりついていた。
 口の中いっぱいに、確かな歯ごたえと、香ばしい香りが広がる。
 これは昔、どこかで食べたことがあるような、懐かしい味がした気がした。
 
 これは、何だろう。
 いつどこで、味わったものなのだろう。

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