農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 72

<<   作成日時 : 2017/03/20 01:17   >>

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「ほら……! 体調が万全じゃないのに……!」
「地下は、通路が複雑に入り組んでいます! 不用意に入るのは危険すぎます!!」
「うう…………!」

「姫様のそばには、ハヤブサ殿が付いています! だから、大丈夫です!」

「ハヤブサ殿………」

 イガールは、茫然とその名をつぶやく。
「………………」
 へたり込んでいたイガールであったが、そのままドカッと、腰を完全におろしてしまっていた。
「隊長………?」
「大丈夫で、ありますか………?」
 覗き込む兵たちに、イガールは、一瞬顔を上げ、軽く笑みを見せると、はあ、と、深いため息をついて、がっくりとうなだれてしまった。

「姫様は…………」

 消え入りそうな声で、イガールは言葉を落とす。

「どうして…………ハヤブサ殿ばかりに、頼るのであろうか…………」

「えっ?」
「隊長?」

 きょとん、とする兵士たちに気づいているのかいないのか、イガールの独白はなおも続いた。

「私では、姫様のお力になるのは、不足、なのであろうか………」

「いや、隊長………」
「それは…………」
 兵たちは、落ち込む隊長の姿を見て、兵たちは、気の毒になるやらあきれ果てるやら─────複雑な心境に襲われていた。
「姫様は、隊長のことを頼りにしていないわけではない、と、思いますよ」
「どちらかといえば、隊長がお忙しそうだから、遠慮されているのでは?」

「………………」

 兵たちの言葉を黙って聞いていたイガールであるが、やっぱり、がっくりとうなだれていた。
「確かに、そうかもしれないが…………」
「隊長………」
「城の方々は、結構私に用事を言いつけてくるのに、姫様だけに言いつけられないのは………」

(それは隊長がもう少し雑用を減らせば、解決できるのでは………?)

 兵士たちはみな一様に、強く心に思ったが、その言葉が口に出されることはなかった。
「……………………」
 シュバルツは、手の中のロープの感触に全神経を集中させていたが、兵士たちとイガールの話も、なんとなく耳に入ってきていた。
 よくわからないが、あのイガールという男もまた、ナディール姫のことを好いているのではないだろうか、という感想を、持った。


 牢の中で、バキッ! と、音を立てて、机の脚が折れる。
「キャ…………!」
 バランスを崩したミレイは、再びベッドの上に落下していた。
「ミレイ!!」
「いたたたた…………!」
 何とか起き上がりながら、ミレイは崩れ落ちた家具の山を見る。もう一度くみ上げるのは、ほぼ不可能そうであった。
「あ……………」
「ミレイ…………」
 呆然とそれを見つめるミレイを、ロアンヌは、抱きしめた。
「もう、十分よ、ミレイ…………」
「母さん………」

「貴方は十分、よくやったわ」

「………………!」
 母に抱きしめられながら、ミレイはグッと、唇をかみしめる。
 窓の外では満ちてくる波音が、不吉な音を奏でていた。


 ナディール姫の手を引いて、走り続けるハヤブサ。
「………………!」
 彼は急に立ち止まり、姫を物陰へと導いた。どうやらまた、『殺気』を捉えたらしい。
(今までの通路と違って、この通路はモンスターがたくさん出てくる……。人質たちの場所も、近いかもしれんな………)

「誰かいないか!?」

 龍の忍者が叫ぶ。すると、応えてくるのは、モンスターの唸り声ばかりだ。
「うおおおおおおっ!!」
 襲ってくるモンスターを瞬殺する。地下に潜ってからの時間を鑑みるに、おそらく、潮が満ちるまでの時間的猶予も、もうそんなには残っていないだろう。最悪、人質を救出することもかなわないまま、撤退せざるを得ない可能性も見えてきていた。

「誰かいないか!?」

 祈りを込めて、龍の忍者は叫ぶ。
 人質が救出できなかったという結末は、何としても避けたい。そんな結末を迎えてしまったら、姫もシェフも、誰も報われないではないか。
 そんな悲劇を彼女に背負わせてしまったら、彼女はもう二度と、闊達に笑うことなどできなくなってしまうだろう。

「誰かいないか!?」

 焦るな。
 落ち着け。
 人質たちは、必ずこの近くにいる。
 いるはずなのだから。

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