農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 56

<<   作成日時 : 2017/03/02 23:47   >>

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「ありがとうございます!! 姫様!!」

 身体が自由になったイワンコフは、床に額をこすりつけるように土下座をして、礼を言う。
「食われなくてよかったな」
 苦笑しながらシュバルツにそう声をかけられ、イワンコフは「ひええええええっ!!」と、悲鳴を上げていた。

「そ、それでは俺はっ! ここで退散させていただきますっ!! お、お世話になりましたっ!!」

 そう言って、イワンコフは取る物も取りあえず、猛ダッシュで出ていく。後には、忍者二人とナディール姫、そして、シェフが、残されていた。

「姫様………!」

 ナディール姫が呼びかけに振り向くと、シェフが申し訳なさそうな顔をして、そこに立っていた。
「シェフ…………」
「申し訳ございません!! 姫様………! 私が不甲斐ないばかりに……!」
「違うわ! シェフが悪いわけじゃない! 貴方だって、被害者ではないですか……!」
「ですが───!」

「………すまないが、礼を言うのも責任を取るのも、もう少し後にしてくれないか?」

 ハヤブサの憮然とした声が、二人の会話を中断させた。
「えっ?」
 振り返る二人に、ハヤブサがぶっきらぼうに言葉を続ける。
「事件はまだ、解決したわけではない」
「え…………」
 戸惑うナディール姫に対して、シェフは、はっと、息をのんでいた。

「『人質』の救出が、まだだ」

「─────!」
 ナディール姫も、ここでようやく残された課題の重要性に気づく。ハヤブサの言葉に、シュバルツも頷いていた。
「そうだな……。さっきの話から察するに、人質はまだ生きている可能性がある………。ならば救出は、急いだほうがいい」
「いえ、それは───!」
 シュバルツの言葉に、シェフは慌てて首を振った。
「私どものことは、どうか構わずに………! 脅されていたとはいえ、あなたに毒を盛ってしまったのは、事実です……! 云わば、『裏切り者』も同然です……! そんな私どものために、貴女のお手を煩わすわけには………!」

「何を言っているの!? だめよ!!」

 ナディール姫は、弾かれたように叫んでいた。

「長年貴方が私たち王族に尽くしてくれた功績を考えるなら、貴方はもう、私たちにとっては身内も同然です! あなたの家族もそうです! シェフ、貴方は─────私に『身内を見捨てろ』と、仰るのですか!?」

「姫様………! しかし………!」

「ううん、『身内』とか、そうではないとか─────そんな問題じゃない! 私たち『王族』には、国民を守る『義務』と、『責任』があるの………! 今、それが危険に晒されているというときに、守ることを放棄するわけにはいかないわ!」

「いや、しかし………!」
 なおも、救出をためらおうとするシェフの手を、ナディール姫はぎゅっと、握った。

「お願い、シェフ………! 貴方の家族を守らせて……! 私のためにも、そして、お父様のためにも………!」

「………………!」

「貴方や、その家族に何かあれば、お父様が一番悲しむわ」

「─────!」
 その一言が、シェフの心を一番深く刺した。

「王が…………!?」

 呆然とつぶやくシェフに、ナディール姫は頷いた。

「ね………。だからお願いです。人質の救助に当たらせてください……! 今まで貴方に助けられた分、そして苦しめてしまった分を、どうか、私に返させて……!」

「姫様………っ!」
 シェフから、滝のような涙が零れ落ちてくる。

 どうして
 どうしてこの方は、
 こんなにも、お優しいのだろう。

 自分は、裏切ったのに。
 一時でも、この方を『毒殺』しようと、していたのに────

「………………」
 ハヤブサは小さくため息を吐きながら、その様子を見つめていた。
 姫の性格は、『王』としては甘すぎると思うし、彼女の言葉は『青い』と思う。
 だが困ったことに、自分はそんな彼女のことを、『悪くはない』と、感じてしまっているから厄介だった。
 そしてきっと、シュバルツもまた────

「─────!」

 ここでハヤブサは、ぎょっと、息をのんでしまう。
 何故ならシュバルツは、と、言うと。
 ナディール姫とシェフの様子を見ながら、はらはらと、涙を落としていたからだ。

「あ………! ハヤブサ………!」

 自分の視線に気づいた愛おしいヒトが、あわてて涙をぬぐっている。
「す……すまない……! もらい泣きを、してしまって………」
 そう言って、涙を拭う手が
 震える唇が
 涙で潤んだ瞳が

 あまりにも可愛らしくて、色っぽくて、愛おしかった、ものだから────

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