農家の嫁の日記

アクセスカウンタ

本の販売を始めました!
ここより本の注文画面に飛べます。
当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
がんばれ日本!!

zoom RSS 戦う君に、花束を 90

<<   作成日時 : 2017/04/16 13:35   >>

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0


「あ………! えっと………! その…………!」

 瞳をキラキラと輝かせながら、手足をばたつかせ、必死に言葉を紡ごうとするノゾム。

「は、はじめまして……! こ、こんにちは………! 僕の名前はノゾム・ユラ・シャハディ。じゅ、10歳です……! す、好きな食べ、食べ物は……!」

 そのまま、必死に自己紹介をしようとする。緊張しすぎているのか、あからさまにろれつが回っていなかった。

「ま……! 待て………! ちょっと、落ち着こうか………」

 シュバルツは、慌ててノゾムを制止しようとする。
 自分は、ドモン本人ではない。あくまで『兄』で、しかも、『兄のようなもの』なのだ。それなのに、そんなに舞い上がってしまったら、ドモン本人に会ったら心臓が持たないのではないかと、心配してしまう。
「落ち着いて……。私は君が、そこまで舞い上がるほどのモノではないんだ」

(舞い上がるけどなぁ)

 ハヤブサは腕を組んで、深いため息を吐く。

 全く、この男は、自分の存在がどれほどのものか、分かっていない。
 俺が、お前がそばにいる、というだけで、
 どれほど舞い上がり
 どれほど幸せな気持ちを、味わい
 どれほどその身体を抱きしめたい、と願っているか
 全く、分かってくれていないのだ。

「で、でも………! そのっ………! 僕は………!」

「とにかく深呼吸をして……な………」

 ノゾムにやさしく微笑みかけるシュバルツ。その後ろ姿を見て、何かを思わないハヤブサではない。その優し気なまなざしと、ノゾムを思いやる心根と仕草に、どうしても、ハヤブサの心中では、割と邪な想いが、鎌首をもたげてきてしまう。

 今すぐ抱きたい。
 お前の心を
 その身体を

 暴いて
 晒して
 奪って─────

 お前の中を、俺だけで、満たしてしまいたい。

(シュバルツ………!)
 悶々としながら、シュバルツの後姿を見つめるハヤブサ。
 そこに、突如として、鋭い女性の声が響き渡っていた。

「なりませんよ! ノゾム! その男から離れなさい!」

「え…………!」
 その声に、ノゾムの身体は硬直し、周りの兵士たちも、驚いてその声の主の方を見る。
 するとそこには、ひどく険しい目つきで、シュバルツの方をにらみつけている、王太后の姿があった。
「お義母様!?」
 驚きの声を上げるナディール姫を、王太后がきっと睨みつける。
「良いですか? ノゾム……! 私たちは『王族』です。私たちの持つ権力を目当てに、近寄ってくる輩はたくさんいるのです。それを常に、忘れてはなりません!」
「で、でも………」
 ノゾムは、弱弱しく反論をしようとする。だが、彼が言葉を発する前に、それは封じ込められてしまった。
「貴方が『ドモン・カッシュに憧れを抱いている』というのは、世界中に知れ渡っていることです! それを『悪用しよう』と、近づいてくる輩など、それこそ五万といるのですよ!? そこの男が、貴方を陥れようとしていない、という保証が、どこにあるというのです!?」
「─────!」
 母の言葉に、ノゾムは、気の毒なほどに顔面蒼白になってしまっていた。
「お義母様!!」
 それを見たナディール姫が、たまらず声を上げる。
「お義母様!! その言葉は失礼すぎます!! ここにいるシュバルツ様は、先ほどまで私たちのために───!!」

「お黙りなさい!! ナディール!!」

 ナディール姫の叫びを、王太后はぴしゃり、と、払いのけていた。

「良いですか!? 貴方は能天気で、人を信じすぎるきらいがあるから、忠告して差し上げます!! 人を陥れるために、最初は善人のふりをしてこちらに取り入ってくる輩など、それこそ吐いて捨てるほどいるのですよ!? その男が、まさに『ドモン・カッシュの兄』だという保証が、どこにあるというのですか!?」
「……………!」
 王太后のその言葉に、ナディール姫は息をのみ、シュバルツは苦笑していた。

 確かにそうだ。
 今この場で、自分が確かに「ドモンの兄」だと、証明する手段が、実は無いに等しいということに、シュバルツは気づいてしまっていた。「自分は怪しいモノではない」と、証明するのは、存外、難しいものなのだ。

「とにかくノゾム、その男から離れなさい!」

「う……………!」
 ノゾムは顔を引きつらせながら、その場に固まってしまっている。見かねたナディール姫は、ノゾムと王太后の間に、割って入っていた。
「お義母様……! シュバルツ様を、どうなさるおつもりなのですか……」?」

「決まっているでしょう? ひっ捕らえて、私が直々に検分いたします」

「─────!」
 その言葉に、ナディール姫とノゾムの顔色が、同時に真っ青になる。シュバルツは哀しみ故に、その眉を少し顰めていた。
「『ドモン・カッシュの兄』だなどと名乗るなんて、怪しすぎる……! 尋問して、真の目的を確かめなければ───!」

「ほう」

 王太后がここまで口走った時、やけに殺気立った声が、その場に響き渡っていた。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
面白い 面白い 面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
 いつも愛読していただいてありがとうございます(^^)。
また、気持ち玉へのクリックもありがとうございます! 
ものすごくものすごく励みになります。
アンケート実施しています(*^^*)ご協力お願いいたしますm(__)m
 当方のブログの内容とあまり関係の無いTBは、削除させていただきます。
 悪しからず、ご了承ください。

アンケート実施中

戦う君に、花束を 90 農家の嫁の日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる