農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 100

<<   作成日時 : 2017/05/10 01:05   >>

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「…………………」
 ノゾムは、ぐっと唇を噛みしめて、義姉である姫を見つめていたが、やがて、「分かりました」と、頷いていた。
「ありがとう」
 ナディール姫が、そう言って優しく微笑む。それを見たノゾムも、(ああ、良かった)と、思った。

 義姉のことは好きだ。
 義姉の、優しく笑う笑顔が好きだ。
 義姉が、こんな風に柔らかく微笑んでくれるのならば、自分が今、義姉に対して頷いたことは、間違ったことではないのだろう。

 義姉の、役に立ちたい。
 力になりたい。
 そのために、自分が前に進むことが、必要だ、と、言うのなら。

 ノゾムは顔を上げると、シュバルツの方に改めて向き直った。

「では、シュバルツ殿。質問をさせてもらっても良いですか?」
 そう言って、小さな王子は、シュバルツにまっすぐな眼差しを向ける。
「どうぞ」
 シュバルツもそう言うと、少し下がって膝を折り、畏まった。こうすることで、ノゾムより、少し低い視線になる。彼が自分に質問しやすいように、と、言う、彼なりの配慮であった。
「え………えっと…………」
 口を開く少年の頬が、少し赤らむ。
 もしかしたら、憧れの『ドモン・カッシュ』の身内かもしれない人に、質問をするのだ。彼がそうやって緊張してしまうことも、無理からぬ事であった。
 それでも少年は、口を開く。
 自分は、前に進む、と、決めたのだから。

「ええと、では………ドモン・カッシュの生年月日を答えて下さい」

「19××年7月24日だ」

「家族構成は?」

「父と母と、兄がいる。両親はもう、亡くなってしまったが………『レイン・ミカムラ』という、恋人がいるよ」

「レインさん……やっぱり、恋人なんですか?」

「一緒に住んでる。近々結婚する、と、言っていたが………」

 その言葉を聞いたノゾムの表情が、ぱっと明るい物になる。
「やっぱり!! あの、全世界が見守る中でドモンさんがレインさんにプロポーズをしたのは、今でも語りぐさになっていますよね!! 結婚式って、何時なんですか!?」

「それなんだよなぁ」

 その質問を聞いたシュバルツが、少し難しい顔をした。
「いかんせん、2人とも忙しすぎて、なかなかそういう暇が取れないみたいなんだ……。さっさと段取りをつけてくれれば良いのに」

(うわあ………!)

 ノゾムは、自身の中の興奮が、抑えきれずにいた。
 今、目の前のシュバルツが話していることは、間違いなく────ドモンと近しい者でなければ、知り得ない内容のものだからだ。
(もう間違いない……! シュバルツさんは、ドモン・カッシュの関係者だ………!)

 しかし、ぬぐえない疑問も一つある。
 この、目の前にいる、どこからどう見ても『キョウジ・カッシュ』(ドモンの兄)に見えるこの人は
 どうしてここにいて
 どうして『シュバルツ』などと名乗っているのだろう。

「ノゾム、どう?」

 義姉に声をかけられて、ノゾムははっと我に返る。彼女の方に振り向くと、ナディール姫は優しい眼差しを、義弟に向けていた。

「その人は、ドモン様と、関係がありそうかしら?」

「はい、お義姉様」

 ナディール姫からの問いかけに、ノゾムは素直に頷いていた。
「間違いなく、この人はドモン・カッシュに近しい方と、見受けられます。ただ………」

「ただ………どうしたの?」

「えっと………その………」

 ノゾムは、シュバルツの方にちらり、と、目線を走らせた後、口ごもってしまう。
(ああ、なるほどな)
 シュバルツは、ノゾムが口ごもる理由に思い当たってしまって、苦笑していた。
 確かに、自分は『キョウジ・カッシュ』でもあるのだが、正確に言うなら、キョウジ本人ではない。DG細胞によって作り出された、『アンドロイド』で、『キョウジの影』と、言っても良い存在だった。ノゾムも、その辺りのことを感じ取って、首をかしげているのだろう。

 どうして────『学者』であるはずのキョウジ・カッシュがここにいて、『シュバルツ』などと名乗っているのか。
 その辺りのことを『説明しろ』と、言われたら、自分も、返答に窮してしまうのが現状だった。

 どう答えるべきなのか。
 どうすれば、皆が納得できる答えを、説明できるというのだろう。


「そいつは間違いなく、『ドモン・カッシュの兄』だぞ」

 その時執務室に、そう断定する声が響き渡る。皆がそちらの方に顔を上げると、執務室の入り口に、市場で買ってきたであろう食料を、両手いっぱいに抱えている、リュウ・ハヤブサの姿が、そこにあった。

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