農家の嫁の日記

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当ブログでも発表している『キョウジ兄さんに捧げる物語』を小説同人誌にしました。手作り感満載ですが、興味ある方はどうぞ〜

災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 103

<<   作成日時 : 2017/05/16 13:20   >>

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「それにしても、本当にドモン様をここに呼べるのですか?」

 ナディール姫の質問に、ハヤブサは起き上がりながら答えた。
「問題ない。こいつがいるから、すぐにでも飛んでくる」
「すぐにでもって………!」
 驚くナディール姫をよそに、ハヤブサはシュバルツに声をかけていた。
「シュバルツ、ドモンの予定は、今特に埋まっていなかったよな?」
「ああ…………」
 だがシュバルツがその問いに答えるよりも早く、幼い声が執務室に響きわたっていた。

「ドモン・カッシュ様は、特に今、試合の予定は入っていませんね」

「─────!?」

 全員が、驚いてその声の方に振り返る。すると、そこには慣れた手つきでタブレット端末を操る、ノゾム王子の姿があった。

「ドモン様は、ちょうど一か月前に、世界超級格闘王選手権に出て優勝してから、3か月ぐらいは予定が入ってなかったはずです。何か公になっていない、ほかの用事が入ってはいるかもしれませんが───」

「……合っているのか?」

「………正解だ」

 ハヤブサの確認に、シュバルツは頷くしかない。
「3か月後にまた、『宇宙バトルロワイヤル』という大会に、シードで出場されるから、それに備えて体調を整えられているのかもしれませんね……。チケット取れているから、見に行きたいけど………」
 ちらり、と、ナディール姫に視線を走らせるノゾム。姫は、苦笑していた。
「お義母様に、相談してみましょうか」
 姫の言葉に、少年の瞳はぱっと明るく輝いていた。

「じゃあ、ここに呼びつけても、取り立てて問題はない、と、言うわけだな」

 ハヤブサの言葉に、少年は弾かれたように振り返る。

「ほ、本当に、呼ぶんですか………?」

「当然だ。直接確認した方が、話は早いだろう」

「あ……! あう…………!」
 ハヤブサの話を聞いたノゾムが、固まってしまう。
「お、おい………!」
 いろいろまずいものを感じたシュバルツが、思わず声を上げていた。
「ちゃんと手段は選んでくれるんだろうな? あんまり騒ぎが起きるような真似は────」
「心配するな、シュバルツ」
 シュバルツの言葉を聞いたハヤブサが、にやりと笑った。

「最短でこちらに来るよう、呼びつけてやる」

「な────!」
 固まるシュバルツを横目に見ながら、ハヤブサは懐から携帯電話を取り出していた。


「なあ、兄さん」

 パソコンに向かうキョウジの後姿を見ながら、ドモンは少々むくれっ面をしていた。
 ここは、日本の東京。その郊外にある、アパートメントの一室に、ドモンは兄を訪ねてきていた。
 大きな大会が終わり、そのあとのマスコミの対応とか、関係者各位への挨拶回りとか、巡業とか巡業とかボランティアとか、シャッフル同盟の仕事とか、とにかくいろいろな雑事をこなして、やっとできた空き時間に、ドモンは兄を訪ねてきていた、というのに。

「どうしてシュバルツは、いないんだよ?」

 実の兄であるキョウジには会えたから、もちろんうれしい。しかし、自分はシュバルツにも会いたかった。久しぶりに、彼に組み手の稽古をつけてもらいたかったのに。

「仕方がないじゃないか。ちょっと用事を頼んだんだ」

 ドモンの質問に、キョウジは振り返らずに答える。手元には、山のような書類があり、キョウジは黙々と、それをパソコンに打ち込む作業を続けていた。
「そのうち帰ってくると思うからさ……。帰ってきたら、改めてこちらから連絡を入れるから………」

「う〜〜〜〜ん…………」

 パソコンに向かい続ける兄の後姿を見ながら、ドモンは唇を尖らせ続ける。
 キョウジはキョウジで、大変そうだった。だからここは、自分が一つ大人になって、駄々をこねないようにしなければならない、と、ドモンは頭では、そう自分に命じ続けているのだが。
(でも、このまま帰るのもなぁ……)
 久しぶりにまとまった休みが取れたのだ。このまま、兄のそばから離れてしまうのも、なんとなく勿体ないかな、と、ドモンは思った。
(もうちょっと、そばに居ようか……。何か、手伝えることがあるかもしれないし)
 部屋に、軽快なキーの音が響き続けている。一心不乱に打ち込みをつづける兄の後姿を見ながら、ドモンは妙な懐かしさを感じていた。
(そういえば、小さい頃も、こんな感じの光景を見た気がする………)
 優秀な科学者であったドモンの父母は、よく家を留守にして、研究所に寝泊まりしていた。必然的に、自分は兄と二人で留守番する機会が増えていた。
 自分が遊んでいるそばで、机に向かっていることが多かった兄。
 退屈を持て余してしまった自分は、ついつい、駄々をこねてしまって、よく兄を困らせてしまっていたような気がする。
 そんな自分に、兄は、いつも笑顔で────
(兄さん………)

 ブルルルルルッ!

 ドモンが知らず感慨に浸り始めていたとき、不意に、懐にしまい込んである携帯電話が振動した。
「!?」
 少し驚いて、携帯電話を取り出すと、外部からの着信を、知らせる光が点滅していた。
(誰だ?)
 電話をかけてきた相手を確認しようと画面を見て、ドモンは、思いっきりしかめっ面になっていた。
 なぜならそこには
 彼にとってはある意味『天敵』といっても過言ではない
『龍の忍者』の名が、そこにあったからである。

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