農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 128

<<   作成日時 : 2017/07/23 00:44   >>

驚いた ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

「ノゾム様………!」
「僕は、本当に大丈夫………」
「………………」
 そう言って、一つも大丈夫じゃないような表情で、『大丈夫だ』と、言い張り続ける少年に、メリルは何が言えただろう。

「承知いたしました」

 メリルは、静かに頷いていた。そして、できうる限り穏やかにほほ笑んだ。

「大丈夫ですよ、ノゾム様。私は、何も聞いてはいません」

「メリル……!」

「ですからノゾム様……。どうか、私のことはお気になさらず、今まで通りにお過ごしください」
 少し驚いたようにこちらを見つめてくるノゾム少年に、メリルは静かに頷いていた。

「私は今まで通り────ノゾム様に、お仕えするだけですから」


 その言葉通り、メリルは、ノゾムに忠実に仕え続けた。
 ノゾムが希望すれば、ナディール姫の元に通うことを、メリルは取り立てて止め立てはしなかった。
 姫と、普通の姉弟のように、仲良くし続けたい─────
 それが、ノゾム王子のたっての願いだと、メリルはもう、悟ってしまっていたからだ。
 だから、自分はそれを邪魔しない。できうる限り、それを忠実に助け続けるために、動く。
 そう決意して、メリルはその通りに行動し続けていた。


「まあ……! また、ノゾムを姫などに会いに行かせて………! 貴女は何を考えているの!?」

 時折、王太后から、チクリ、と、嫌味を言われたが、メリルはそれを、柳に風と受け流していた。
「申し訳ございません。以後、気を付けます」
 謝罪をする気のない謝罪で、頭を下げ、王太后に取り繕いの姿勢を見せる。そのまま王太后は、ノゾムの方にも、何か、言葉を投げつけるかと見守っていたが─────

「………………」

 意外にも、王太后は、ノゾムの方をじっと見ているだけで、それ以上彼に、何か声をかけるでもなかった。そして、そのまま立ち去っていくことが、間々あった。
 不思議なこともあるものだ、と、メリルは思った。
 どうして、ノゾム王子自身には、王太后は、きつい言葉を投げつけないのだろう?
 やはり、『自分の実の子供には、嫌われたくない』と、言う『母親』としての心理が、彼女に働いているからなのだろうか。

「………どうして、王太后様が、姫様に辛く当たり、ノゾム様を遠ざけようとなさっているのか、私にはわかりかねます……。人の心は移ろいやすい物、と、よく言われてもいますが……」

 メリルは、王太后の話をしながら、首をひねるしかない。

 王家とは
 王家を取り巻く『権力』とは─────

 こんなにも容易く、人の心を歪めてしまうものなのだろうか?

 もしかしたら、王太后の周りに、心を歪めてしまうだけの『異常事態』が、起きているのかもしれない。
 でも、それを調べるには、自分はあまりにも非力すぎたし、危険すぎた。

「もう、本当に────ノゾム様のために、私はどうすればいいのか……。どうして差し上げるべきなのか………」

 ベッドの上で眠り続けるノゾムを見つめ続けるメリルの瞳に、光る物が宿る。
 本当に、ノゾムのために何も出来ない自分が、歯がゆくて仕方が無かった。
「メリル。すると君は…………」

 それまで黙っていたシュバルツから声をかけられる。メリルは「はい」と、顔を上げた。

「君は………王太后の周りを、調べてみるべきだ、と、思っているのか?」

「は、はい………」
 メリルは、少し躊躇いながらも頷いた。
「どうして、そう思うんだ?」
 少し不思議そうに問いかけてくるドモンに、メリルは少し、困ったように微笑んだ。

「先輩から聞いた話と、今の王太后様の態度が、あまりにも違いすぎたから────だから、知りたくなったんです。王太后様と姫様の間に、一体何があったのか……。王太后様自身に、一体何が起きているのか………」

 そう。
 おそらく先輩は、それを調べようとしたに違いない。
 そして、帰らぬ人に────

「そうか………」

 シュバルツは、しばらく腕を組んで、何かを思案するかのように瞳を閉じていたが、やがて顔を上げた。

「分かった。メリル………話してくれてありがとう。後は、私たちに任せてくれないか?」

「え………?」

 少し驚いたように顔を上げるメリルに、シュバルツはにこりと、微笑みかけた。

「きっと、この先は、私やハヤブサの領分なんだ」
「……………!」
「君の言う通り、王太后の周囲は、一度きちんと調べておいた方がいいのかも知れないな……。姫を取り巻く問題を解決する糸口も、もしかしたらつかめるかもしれない……」
「では……! ノゾム様や姫様や、王太后様のために、お力添えいただけるのですか?」
 縋るように聞いてくるメリルに、シュバルツは力強く頷いた。
「元よりそのつもりだ。私もハヤブサも、そのためにここにいるのだから───」

「兄さん」

 シュバルツのその言葉が終わらぬうちに、ドモンが声をかけてきた。

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