農家の嫁の日記

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災害で亡くなられた方、被災された方に哀悼の意を捧げるとともに、心よりのお見舞いを申し上げます。
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zoom RSS 戦う君に、花束を 130

<<   作成日時 : 2017/07/28 00:35   >>

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「俺は昔、とある「事件」に巻き込まれた時………俺は、周りから『兄が犯人だ』と、聞かされ、そう思い込まされていた………」
「ドモン様………」
 ドモンの話を聞きながら、ノゾムは、思い当たることがあった。

 ドモン・カッシュが高名な格闘家になる前───世界を揺るがした、ある一つの『事件』が起きた。
 ただ、その『事件』には、『緘口令』が布かれているのか、ノゾムがその事件について調べようとしても、詳しく知ることはできない。しかし、どうも、ドモンの身内が事件の中枢にかかわっていたらしい、ということだけが、うっすらと確認することができる程度だった。

 故に、その事件でドモンがどのような想いをし、どのような体験をしたのか、ノゾムは、うかがい知ることができない。けれども、今、こうして目の前に立っている『ドモン・カッシュ』という格闘家は、ノゾムにとっては、間違いなく憧憬の対象であることに、何ら、変わることはない、と思った。
 たとえ、ドモンから、どのような過ちや後悔を、告白されたとしても─────

「俺は、周りから与えられる偽の情報のままに、兄を疑い、諸悪の根源として、この手で殺そうとしていたんだ………」

「え…………!」
「おい、ドモン………!」
 少し、驚いて小さな声を上げるノゾム。シュバルツもドモンに向かって、一歩、踏み出そうとする。

 しかしドモンは、そんなシュバルツの動きを手で制して、なおもノゾムに語り続けた。

「俺は、今でもそのことを後悔しているんだ……。なんて、未熟だったのだろうって」

 そう。
 自分は、知っていたはずなのに。
 自分の兄は、優しくて、信じるに足る存在である、と。
 幼いころから、十分に、分かっていた、はずなのに。

 信じられなかった。
 信じきれなかったのだ。自分は。

 周りの『偽の声』に、簡単に、振り回されてしまっていた。

 後悔だけが、ただ残った。

「俺は、お前にはそんな想いはしてほしくない、と、願っている………」

 ドモンの脳裏に、サインをもらいに来ていたときに見た、ノゾム王子とナディール姫の、仲睦まじく微笑みあっていた姿がよぎる。
 もしも、その姉弟を、誰かの明確な『悪意』が踏みにじり、その仲を引き裂こう、と、言うのなら。
(許さん………!)
 ドモンは何時しか、己が拳を強く握りしめていた。

 理不尽に振り回される兄弟の悲劇など─────自分たちだけで、十分だ。

「お前は姉さんを、信じ続けていろ!」

「ドモン様………」

「信じ続けることの方が、実は難しい……。俺はそれを、知っているから……」

「……………!」

 しばらく、呆然とドモンを見つめていたノゾム王子であったが、やがて、はっと、我に返ったかのように、小さく息をのむと、「分かりました」と、こくりと頷いていた。
 義姉を信じ続けること─────それはそのまま、自分の望みでもあったからだ。
「よし」
 ドモンもノゾムに頷き返すと、兄の方にくるり、と、振り返った。

「と、言うわけで兄さん。俺はしばらくこいつのそばに─────って、あれ? 兄さん?」

 シュバルツの方に振り返ったドモンが、変な顔をする。
 それもそのはずで────ドモンの視線の先のシュバルツは、彼らに背を向けて、その肩を震わせていたからだ。
「うううう………」
 気のせいではなく、瞳からきらりと光るものが、零れ落ちている。
「兄さん?」
「わっ? ドモン!? 急に声をかけてくるな……!」
 シュバルツは慌てふためいていたが、完全に不意を突かれた格好になっているのは、誰の目にも明らかだった。
「兄さん……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、ドモン。もうちょっとで落ち着けるから……」
 その言葉とは裏腹に、シュバルツが落ち着くまで、もう少しの時間を、必要としたのだった。

「それにしても、ドモン………」

「何だよ、兄さん」
 少しぶっきらぼうに答えてくる弟に、シュバルツは少し、感慨深い笑みを見せた。

「嬉しいよ……。お前はちゃんと、他人を思いやれる、優しい人間に育っているのだな………」

「な…………っ!」

 兄からの不意打ち的な言葉に、今度はドモンの方が、顔を赤らめねばならなくなった。
「た、他人を思いやる、なんて、当たり前の話だろう……! そんな改めて言うほどのことでもないはずだ……!」
「そうだけどな……」
 慌てるドモンを、シュバルツは優しく見守っている。ドモンは、少々の居心地の悪さを感じていた。

「と、とにかくだ……!」

 ドモンは、一つ、大きく咳払いをした。この妙な空気を変えるには、話題を変えるのが、一番手っ取り早いのだ。
「俺はしばらく、ノゾム王子の傍に滞在させてもらう。文句はないだろう? シュバルツ」
「ああ。お前がいてくれるのなら、私としても願ったり叶ったりだが────」
 シュバルツの方が、少し思案するような表情を浮かべる。それに、少し思い当たるところのあったメリルが、口を開いた。

「少なくとも、王太后様と、姫様の許可がいるでしょうね」

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