農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 146

<<   作成日時 : 2017/10/02 21:20   >>

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「その調査団から、連絡が途絶えてしまったのです」

「えっ?」

 ワヒムが、あまりにも意外そうな声を上げるので、姫も思わず顔を上げた。

「何か……話を聞いていませんか?」

「いえ………」
 ワヒムが懐から白いハンカチを取り出し、己の汗を拭き始めた。
「どうしました?」
 姫の問いかけに、ワヒムから帰ってきた答えは、かなり意外なものだった。

「調査団が、来ていたのですか?」

「えっ?」

 ナディール姫は、キツネに抓まれたような心境になる。二人は、たがいに目を二、三度しばたたかせた後、姫の方から口を開いた。

「1週間ほど前に城を出て、こちらに向かったのですが………」

「1週間前?」
 ワヒムは腕を組みながら、首をひねり始めた。

「………私どもの方では、その調査団の姿を、見てはおりませんが………」

「………えっ?」

 驚き、息を呑むナディール姫の前で、ワヒムは皆の方に振り返っていた。
「この中で、誰か『調査団』の姿を見た者は?」
 その問いかけに、ラナン地区の各地から集まってきた長たちは、一様に首を横に振る。
「いえ、全く」
「私どもの方でも、見てはおりませぬ」

「………どういうことなの? これは………」

 あまりのことに、動揺が隠し切れないナディール姫に対して、ワヒムは状況を整理するために、口を開いた。

「確かに、カライ殿から、『この地に眠るレアメタル鉱脈を探るための調査団を派遣する』と、連絡は受けておりました。ですから、私どもとしては、いつ来るのかと待っておったのですが………」

「見ておりませぬな」
「ええ、まことに」

「そんな………!」

 姫は混乱しながらも、自身も頭の中で、状況を懸命に整理していた。

 カライ内大臣は、確かに、調査団を派遣したと言っていた。
 イガールからも、『調査団から定時報告があった』と、報告が上がっていた。
 なのに、ラナン地区では、『調査団の姿を見ていない』という。

 どういうことなのだろう?

 自分は確かに、調査団の出発式に、立ち会ったはずなのに。

 彼らは間違いなく、現地に旅立ったはずだ。
 それが、どうして、ここに着いていないのだろう。
 本当に、行方不明になってしまったのだろうか。
 そして、それを誰かが隠蔽していた可能性が────

「………………!」

 初めて、明確な『悪意』を感じて、ナディール姫の背中に、冷たいものが走る。

 誰?
 誰が、本当で、誰が嘘を言っているの?
 いったい何を信じれば─────

「これはやはり、早急に、現地に赴く必要があるな………」

 それまで黙っていた龍の忍者が、ポツリ、と口を開く。それを聞いて、姫もはっと我に返った。

「そうですな。姫様、わしもその意見に賛成です」

 ワヒムも、ハヤブサの言葉に頷いていた。

「そのような不確かなことが、この地区で起こっているなど、ここの責任を預かる者として、捨て置くわけにはまいりません。早急に調査されることを、望みます」
 彼の言葉に、その後ろに控えていた長たちも、皆刻々と頷いている。

「ワヒム様………」

「もちろん、調査をされる、というのなら、我らも全面協力いたします」
「ぜひ、調査を。姫様……!」

「では、私はカライ内大臣に、調査団がどこへ向かう予定だったか、問い合わせてきます」

 皆の言葉を受けて、それまで議事録をつけていたハーシェルが、あわただしく席を立つ。
「頼みます」
 ハーシェルの姿を見送りながら、ナディール姫は、身体が小さく震えるのを、止めることができずにいた。

 何故
 どうして

 調査団が行方不明になっている、というのなら、どこへ行ってしまったのだろう。
 そして、その事実に
 どうして誰も、今まで気づかなかったのだろう───

 調査団の団員にも、家族や恋人が、いたはずだ。
 その人たちも、まだ何も気づいていない、というのだろうか。

「おい、トマス、お前大丈夫か?」

 その時、自分の後ろに控えていた兵士たちから、その声が聞こえてきた。
 姫は、はっと後ろを振り返っていた。

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