農家の嫁の日記

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zoom RSS 戦う君に、花束を 153

<<   作成日時 : 2017/11/07 21:39   >>

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「そんなことが分かるのですか?」
 驚くナディール姫に、ロシャは、少し肩をすくめる仕草をした。
「いえ……これは私の『感』のようなものです。あまりあてにはならないのですが………」
 そう言った後、ロシャは、少し眉を顰めていた。

「何か………山が………」

「山が………どうかしたのか?」

「………………」

 ロシャは、黙してそれ以上は答えない。
 だがハヤブサは、その彼の態度に、かえって確信を深めた。
(やはりロシャは………山に異常を感じている………)
 ロシャのように、常に自然と、そこに息づく命と接している人間の『第6感』は、結構あてにして良い、と、言うことを、ハヤブサは経験的に知っていた。間違いない。確かにこの山には、何らかの『異常事態』が起こっている。

 まだ周囲に、殺気や不吉な気配は、近づいてきてはいない。
 しかし、必ず何かある。

 ハヤブサは、静かに覚悟を新たにしていた。

「彼の言うとおりです。この洞窟を出ましょう」

 姫の下した決断に、皆異論無く頷いていた。


 それから一行は、二つ目の洞窟に入る。
 その洞窟も、人が入った気配はなく、引き返すことになった。

 と、なると、残りは一つ。

「もしも、本当に調査団が来ていたのなら……この洞窟に、入って行ったことになりますが……」

「………………」

 全員が無言で、洞窟の入り口を見つめる。一見、何てことはない洞窟に見えるが、そこから吹いてくる風の中に、かすかに『妖気』めいたものを感じたから、ハヤブサは、少し眉をひそめていた。

「な、なぁ……。何か、風が冷たくないか……?」

 兵士達も、何かを感じるのだろう。小声でそう呟きながら、互いに身を寄せ合っている。

「確かに………あまり、よくなさそうな洞窟ですね………」

 ロシャも、少し険しい目つきで、洞窟を見据えている。

「そんなに悪いのですか?」
 問いかけるナディール姫に、ロシャは少し、苦笑した顔を向けた。

「私が、狩りをするだけの目的であるなら、絶対に、ここには入りません」

「……………」
 ナディール姫が、青い顔をして、無言でハヤブサのそばに寄ってくる。
(やはり、不安なのか……)
 命を狙われている彼女からしてみれば、この洞窟は、自分に向かってくる『悪意』や『死』が、漠然と手招きしているように見えているだろう。

「ここに残るか?」

 ハヤブサは、そう言いそうになる。
 しかし、思いとどまらざるを得なかった。
 今の彼女は本当に、どこから狙われているか、分からない状況にあるのだから。

 何かあった場合、同行してきた兵士達の腕では、心許なかった。
 だから、自分は姫と洞窟の出入り口にとどまり、兵士達だけで、調査に行かせる選択肢もあるにはあるのだが。

「………………」

 ハヤブサは、姫に着いてきた兵士たちを、改めて見る。そして、洞窟から微かに流れ出てくる、妖の気配を鑑みる。

(駄目だ………)

 ハヤブサは、ため息とともに、結論付けざるを得なかった。
 この兵士たちだけで、洞窟の探索に行かせるには、あまりにも、彼らの力量が不足しすぎていた。彼らだけでは、下手をしたら犠牲者が出てしまいかねない。
 そのような事態になってしまうこと─────姫は決して、潔しとはできないだろう。

「では、行こう」

 ハヤブサは、短くそう言った。
 これが罠であろうとなんであろうと、事態を打開するためには、前に進まねばならぬ。
 もしも、目の前に『悪意』という名の壁が立ち塞がる、というのならば、自分たちは、それを食い破って、その先に行くだけだ。

「そうですね。行きましょう」

 姫もまた、ハヤブサのそばで頷いていた。
 彼女の表情は硬く、顔色も青ざめてはいるが、瞳には、力強い意志の光が宿っていた。
 彼女もまた、戦う気でいるのだ。
 前に進む気でいるのだ。

「中にいる調査団の人たちが、助けを求めているかもしれませんから………」

 姫の言葉に、兵士たちもはっと、その姿勢を正す。
「姫様! 行きましょう!」
「我ら命に代えても、姫様をお守りいたします!」

「ありがとう……」

 姫の言葉に、兵士たちは力強く頷く。その様子を、ロシャはしばらく無言で見ていたが、やがて、静かに口を開いた。

「では、私があなた方の露払いを務めましょう」

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